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ロハスの池プロジェクトの一環として、産学官民による古川池現地視察に学生も参加しました

郡山市も注目するロハス工学の取り組み
産学官民連携による古川池環境整備を推進する原動力へ

 ロハス工学センタープロジェクトの一つである『古川池の持続可能な防災親水公園化プロジェクト(ロハスの池プロジェクト)』では、古川池の独自の特徴を活かしつつ、治水・利水・環境保全といった多面的機能を最大限に引き出し、その機能を円滑に持続させる方法について、地域の方々や行政とともに検討しながら活動を進めています。

 古川池は阿武隈川の旧河道で、線形改良により現在は三日月湖となっており、第一から第四池の4つの池で構成されています。ロハスの池プロジェクトと古川池近隣の4町内会で発足された古川池愛護会が協力し、徳定川・古川池清掃活動を年2回行っていますが、進入するための管理通路が整備されていないため、十分な清掃が実施できていない状況です。環境整備を進めるにあたり、地域住民からは管理用通路を河道脇に整備することを郡山市に要望しています。

 そこで、実際に状況を見ていただくために、7月12日(金)、産学官民による古川池の現地視察が行われました。郡山市からは村上一郎副市長をはじめ、建設部長や河川課職員と河道掘削工事を行う工事関係者、古川池愛護会からは髙橋晋也会長をはじめ地元住民及び企業の方々約10名、そして工学部からは土木工学科の手塚公裕准教授と環境生態工学研究室及び課外講座「ロハスの池プロジェクト」の学生7名が参加。

 工学部学生寮の駐車場に集合し、工事用進入路が整備された第四池から視察が始まりました。河川敷や工事用進入路等を歩きながら、河道掘削が済んだ箇所や工事予定の箇所、整備の検討が必要な箇所などを視察しました。



 第二池ではロハスの池プロジェクトで進めている『植生浮島による水質浄化効果の検証』の実験風景もご覧いただきました。研究に従事する環境生態工学研究室の木村晃章さん(土木工学専攻博士前期課程2年)が研究方法について説明。学生たちも研究を通して古川池の環境整備に取り組んでいることを伝えました。



 視察後は神明下集会所で意見交換会が行われました。参加者に配付された資料をもとに、郡山市から現状と今年度以降の工事概要について説明があり、地域住民の方々からは通行できない箇所の整備や河川とその周辺の樹木伐採や雑草の除去などの要望が出されました。ロハスの池プロジェクトが目標に掲げる、「子どもたちが遊びながら学習できる場」になることを目指してほしいという思いも伝えました。



 工学部土木工学科の卒業生でもある村上副市長は、国・県・市そして地元住民の方々が連携を取り、治水対策を重視しながら環境整備を行っていくことが大事だと強調し、さらに「工学部で取り組んでいるロハスの考え方を郡山市でも推進していきたい」と話し、工学部との連携強化を示唆しました。学生たちも資料を見ながら、行政の土木工事の進め方やどのようにして治水対策や環境整備が行われていくのかを学んでいました。最後に、古川池愛護会の髙橋会長は「産学官民で連携していることが大事であり、互いの意識や思いを共有して進めていきましょう」と呼びかけました。



 意見交換会の後に、学生たちが村上副市長のお話を聞く機会もありました。村上副市長は、ロハス工学を軸にした工学部との連携協定について触れ、「ロハスの考え方や取り組みを工学部と進めていき、具体的な形として市民の方々に提供していきたい」と話すとともに、学生たちには「古川池というフィールドを使って実践的に学んでほしい」とその思いを伝えていました。学生は、「環境生態工学の観点でロハスの池の研究を進めていますが、今回の意見交換で防災や減災の観点から、古川池の流域治水に関する課題を知れたのは新鮮でした。違う角度から考えることも大事だと思い、今後の研究活動にも活かしていきたいです」と意欲を見せていました。

 手塚准教授は、「治水と環境整備は並行して進めていくことが重要。この古川池流域全体での取り組みをモデルケースとして、全国に発信していけるよう活動を進めていきたい」と今後への意気込みを語っていました。

 ロハスの池プロジェクトが産学官民連携をより活性化させる原動力になることが期待されます。学生の皆さんの研究活動にも大いに注目が集まることでしょう。