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竹筋コンクリートの復活をめざすプロジェクトが、実用化に向けて始動しました!

産学官民の協働で地域課題解決にも貢献!

 11月26日(日)南会津町田島横町地内において「竹筋コンクリート復活プロジェクト」による竹筋コンクリートU字溝産学官民設置事業が行われました。
 土木工学科コンクリート工学研究室(子田康弘教授)、機械工学科サステナブルマテリアルデザイン研究室(杉浦隆次教授)が企業と共同で進める「竹筋コンクリート復活プロジェクト」は、鉄筋の代わりに竹材を利用した竹筋コンクリートを開発し、その実装化に向けて様々な実験を行ってきました。

 これまでの結果から鉄筋コンクリートの60~70%の強度で実用化できることを確認、JIS規格に適合する荷重データも取得しています。竹の特性を生かし、強度の高い外側の根本部分を有効に活用するため、切削加工機についても生産性と使いやすさを重視した装置を開発しました。まずは孟宗竹と真竹で実用化を目指しています。
 次なるステップとして実証実験が可能な場所を探していたところ、南会津町からの紹介で、田島横町地内の休耕田が見つかりました。側溝が未整備のため、雨量が多いときは水があふれ、住民が対応に苦慮していた場所です。

 この日は、産学官民が協働で長さ約20メートルの区間に、竹筋コンクリート製のU字溝を設置し、農業用水路を完成させました。参加したのはプロジェクトを進める竹筋コンクリート協議会のメンバー各社に加え、地元横町行政区の皆さん、南会津町役場建設課の方々、土木工学科と機械工学科の学生も含めた約70名。協議会の中心である新和設計株式会社高橋明彦氏より工程の説明があり、作業を分担して設置を行いました。







 今後はその効果を検証していきます。子田教授は「将来は身近なインフラに竹筋が当たり前のように使われることを目指したい」と語りました。

 自然素材である竹を活用した環境に優しいコンクリートであることはもちろん、地域の高齢化により人の手をかけることができず荒れてしまいがちな竹林問題の解決にもつながるこの取り組みは、地域課題であるインフラ整備の面でも重要な役割を担うこととなります。今後ますます注目を集めることでしょう。

学生の声

高橋 颯さん(土木工学専攻博士前期課程2年・コンクリート工学研究室)

 竹材を利用した竹筋コンクリート製品を開発するために、これまで製品をつくる上での竹とコンクリートの実用性について検証してきました。研究の一環として学部4年の時から取り組んできたものなので、実装できて大変嬉しく思います。施工に関しても私たち学生が主体となって、建設会社の方々にご指導いただきながら、竹筋コンクリート製U字溝の設置を行いました。決まった高さに設置するのが難しかったですが、将来、コンクリート関係の仕事に就く上でも、実際の現場を体験できたことは大変貴重な経験になりました。プロジェクトを通して地域に貢献し、竹の可能性を広げていくことにつながればいいなと思います。

佐々木滉一さん(機械工学専攻博士前期課程2年・サステナブルマテリアルデザイン研究室)

 竹はうねりを持っているので、2mという長さを真っすぐに切断するには高度な技術が必要です。さらに品質を一定にして量産することが求められます。そこで、当研究室では竹筋コンクリートとして竹を使用するための切削加工機を開発しました。完成した加工機を企業の工場に設置させていただき、今回は1mの竹筋を20本加工しました。福島県産の竹を地場で加工し地場で活用することで、地産地消にもつながります。機械工学分野から地域のインフラに貢献できて、大変やりがいを感じました。今回はプロトタイプとなりますので、後輩たちにはさらに性能を高めてもらえるよう期待しています。

紹介記事はこちらから
https://www.asahi.com/articles/ASRCW6VQGRCVUGTB008.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/6f6aa046daa33c52cc7d2a852b04e61e184dd42e

これまでのプロジェクトの様子はこちらから
https://www.ce.nihon-u.ac.jp/newinfo/221223_publicexperiment/