SDGsへの取り組みによる社会貢献を目指す『竹筋コンクリート復活プロジェクト』に期待が高まる
土木工学科コンクリート工学研究室(子田康弘教授)では鉄筋の代わりに竹を補強材として用いる竹筋コンクリートの実用化を目指し、2021年より新和設計株式会社(本社・米沢市)を中心とする福島県内の企業とプロジェクトを立ち上げて共同で研究を進めています。竹筋コンクリートは鉄筋と比べ環境への負担が少ない上、竹林の整備や新たな雇用創出にもつながり、社会貢献の可能性が高いことから、「竹筋コンクリート復活プロジェクト」の取り組みを広く周知させるために、12月16日(金)の午前と午後の2回に分けて、建設業の発注者を対象とした「竹筋コンクリート公開実験」を開催しました。
公開実験に先立ち、新和設計株式会社の湯澤洋一郎社長がご挨拶され、事業概要と現在までの経緯について説明しました。湯澤社長は、「地域産業の発展、SDGsへの取り組みとして、大変意義のあるプロジェクト」だと強調しました。
次に、子田教授が「竹筋コンクリート公開実験の概要と実験結果による評価」について説明しました。子田教授は脱炭素社会実現に向け、昭和初期まで建設されていた竹筋コンクリートに着目し、耐久性に関する基礎実験を進めてきました。竹を補強材としたコンクリートはりの曲げ特性について検討した結果を詳しく説明するとともに、比較的強度が弱い竹の節を考慮した設計上の工夫の必要性と、竹筋コンクリートがひび割れ抑制の補強筋として十分に活用できることを示しました。今後は疲労載荷試験を実施し、耐疲労性の評価と節部の位置と曲げ特性について検討し、実用化に向けた研究へと移行していくとのことです。
続いて行われた公開実験では、コンクリート工学研究室の学生が竹筋2本を配置したコンクリートはり部材の曲げ載荷試験を実施し、見学者は曲げ破壊する様子を見ることができました。
さらに、本研究の経緯について説明するとともに、今後のプロジェクトの展開についても明示しました。現在、製品化に向けて竹筋コンクリート協議会を結成し、実用化モデルを製品製作しながら、ノウハウを蓄積しているところで、機械工学科の杉浦隆次准教授もメンバーの一人として、ISOの基準を満たすための安全性評価に関する実験を進めています。2023年3月には白河市の民間施設に竹筋コンクリート製の側溝を埋設して、実用性の検証を始める予定で、社会実装に向けて大いに期待が高まっています。