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土木工学科の岩城一郎教授と前島拓専任講師が可搬型蛍光X線分析装置を用いたコンクリートの塩分濃度測定技術を開発しました

コンクリート塩分濃度測定を1ヶ月から30秒に大幅短縮した技術が国土交通省新技術情報提供システム(NETIS)に登録されました

 土木工学科の岩城一郎教授と前島拓専任講師の構造・道路工学研究室は、東北大学未来科学技術共同研究センター及びオリンパスの子会社である株式会社エビデント、株式会社復建技術コンサルタント、株式会社XMATとの共同研究により、コンクリートの塩分濃度を30秒ほどで測定する『可搬型蛍光X線分析装置』と『拡張現実技術』の組み合わせによる、新たなコンクリート塩分濃度測定技術の開発に成功し、この度、その技術が国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されました(NETIS登録番号:TH-220006)。

 凍結防止剤や海水の影響等により、塩分がコンクリートに浸透することで鉄筋腐食等の劣化が進行するため、早期対策が求められています。従来のコンクリート塩分濃度調査技術は、塩分濃度測定予定場所を指定し、ドリル削孔によりサンプル粉末を取得し、化学分析により塩分濃度を測定していたため、多大な労力・時間を要することが課題でした。今回開発した技術は、コンクリート塩分濃度測定前の段階で、あらかじめ測定対象のコンクリート表面に座標割付し、基準位置座標マーカーをコンクリート表面に貼り付けるだけでウェアラブルグラス上からの位置座標投影が可能となり、従来のチョーキング作業が不要になります。そして投影された位置座標を元にハンドヘルド型蛍光X線分析計(エビデント VANTA)により塩分濃度を計測します。この操作では1点あたりの計測時間は約30秒であり、またその場で計測データを電子データで取り扱えることから作業工程が大幅に短縮可能となります。計測データは、塩分濃度可視化システム(XMAT InfraScope)にアップロードすることで、ウェアラブルグラス上に塩分濃度計測データが同期され、塩分濃度計測値がヒートマップとして出力され、一目で塩分濃度の高いエリアを特定することが可能となります。

デモンストレーションイメージ

 今回、発表した技術の実用化により、コンクリート塩分濃度調査の人的負担・時間・コストの何れにおいても負担を大きく軽減させることが可能となります。コンクリートの塩分濃度調査の効率化により、コンクリートの主要な劣化要因としての塩害を未然に防ぐことに繋がり、インフラ長寿命化への貢献が大いに期待できます。

 

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