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日本大学工学部との二国間交流事業の一環として、オランダのデルフト工科大学の研究者が福島県を訪れました

安積疎水の水路の補修と長寿命化を目指し、
日本とオランダの共同研究を促進させる取り組み

 建築学科 鉄筋コンクリート(RC)構造・材料研究室のサンジェイ・パリーク教授は、長年に亘りオランダのデルフト工科大学ヘンドリック・M・ヨンカース教授が率いる研究チームと共同で、バクテリアを用いたコンクリートのひび割れ自己治癒技術の研究に取り組んできました。2023年4月から老朽化が進む安積疎水の水路の補修と長寿命化を目指して、この技術を水路の一部に導入した実証実験が始まりました。


 さらに、オランダとの研究課題『激甚化する自然災害に耐えるレジリエントな建築・インフラ構造物のあり方』が独立行政法人日本学術振興会の令和6年度二国間交流事業に採択されました。オランダは日本と同様、地震や水害のリスクが高いため、河川氾濫など自然災害の被害軽減、建築・インフラ構造物の安全性などの向上を目指し、知見を共有し共同研究を促進することが狙いです。

 7月15日(月)・16日(火)には二国間交流事業の一環として、オランダのデルフト工科大学の教授ら研究者7人が福島県を訪れました。15日、工学部キャンパスでセミナーが行われた後、自己治癒コンクリートを使った実証実験現場である猪苗代町の安積疏水の十六橋水門を視察。老朽化が進む同疏水水路の修復状況や長寿命化への取り組みにオランダの自己治癒コンクリートの技術が使われていることに感激していました。

 この安積疎水開削に尽力したファン・ドールン氏はオランダの技術者で、来日した全員と同じデルフト工科大学出身です。約100年前に福島県の田舎の猪苗代に訪ねてきたファンドーレン氏の話を聞いたデルフト工科大学の教授らは大変驚いていました。100年の時を越え、同疏水水路の修復に携わっていることに感激し親しみを持って見学されている様子が印象的でした。サンジェイ・パリーク教授は、2012年に1年間長期海外出張時にオランダのデルフト工科大学に客員教授として滞在したときの研究室のメンバー全員を日本大学工学部のキャンパスに招き入れ、工学部のロハスヘの取り組みとして、ロハスの橋、ロハスのトイレや最新のロハスの森を紹介し、工学部への高い評価が得られました。

 16日は東京電力福島第1原発を訪れ、原発事故の被害の実態や廃炉に向けた取り組みを視察しました。

 パリーク教授は、「この視察を通して両大の親睦も深まりました。今後の研究活動の進展にもつながる有意義な共同研究セミナーになった」と話しており、自己治癒コンクリートの普及に向け、意欲を見せていました。