機械工学科の下權谷祐児准教授が東京大学大学院医学系研究科の山本希美子准教授らと共同で取り組んだ研究論文が、生理学分野の主要学術誌の一つであるAmerican Journal of Physiology-Cell Physiologyに掲載されました。
血管内皮細胞(EC)には「層流」と「乱れた流れ」という2つの異なるタイプの血流が作用しますが、ECはそれらを別々の力学的刺激として感知し異なる細胞応答を示すことが知られています。しかしながら、ECがそれらをどのように識別しその情報を細胞内に伝達しているのかは不明でした。本研究では、ECの細胞膜およびミトコンドリア膜において膜脂質の相状態(lipid order)がそれぞれ逆方向に変化することを介して、「層流」と「乱れた流れ」の識別およびその細胞内情報伝達が行われていることを示しました。この研究では、それら2種類の力学的刺激を明確に区別できる流れ負荷装置の開発が一つの鍵となりましたが、下權谷准教授が有する数値シミュレーションの技術と血管病の流体力学的研究の知見が重要な役割を果たしました。
★発表論文
論文 タイトル |
Endothelial cells differentially sense laminar and disturbed flows by altering the lipid order of their plasma and mitochondrial membranes |
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著者 | Yamamoto K, Shimogonya Y, Maeno R, Kawabe K, Ando J |
雑誌名 | American Journal of Physiology-Cell Physiology |
DOI | 10.1152/ajpcell.00393.2023 |
URL | https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpcell.00393.2023 |