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建築学専攻の大学院生チームが、『第9回JSCA 東北支部構造デザインコンテスト』で最優秀賞&最多得票賞を受賞しました

水の流れをイメージした美しいデザインと実現性の高い構造を統合した歩道橋の提案で実務者チームに競り勝つ

(後列左から)小熊 康太さん(福島県 葵高校出身)、前田 泰佑さん(石川県 星稜高校出身)、大谷地 陽人さん(宮城県 仙台育英学園高校出身)、新田 太一さん(福島県 福島工業高校出身) (前列左から)浅里和茂教授、濱尾博文非常勤講師

 7月1日(土)、「JSCA東北支部第9回構造デザイン交流会」(一般社団法人日本建築構造技術者協会東北支部主催)が開催され、第1部で行われた構造デザインコンテストにおいて、建築学専攻博士前期課程1年の大学院生チームが発表した作品『木々を結ぶ流路~公園と神宮をつなぐ歩道橋』が「最優秀賞」と「最多得票賞」の2冠を達成しました。

 大学院1年次のカリキュラムの一つ、建築構造設計特別実習(担当教員:浅里和茂教授、濱尾博文非常勤講師)では、実際に実施計画されている具体的な設計課題を対象にして実務演習を行っています。本年度は構造デザインコンテストの『歩道橋をリ・デザインする~街に新たなアクセントとなる身近な歩道橋を架けよう~』をテーマに構造設計制作に取り組みました。そこから発展し、構造班の大谷地 陽人さん(鋼構造デザイン研究室/浅里和茂教授)、新田 太一さん(鉄筋コンクリート構造デザイン研究室/堀川真之専任講師)、デザイン班の小熊 康太さん、前田 泰佑さん(ともに建築・地域計画研究室/宮﨑渉専任講師)がチームを組み、浅里先生と濱尾先生のご指導のもと、実際のコンテストに応募しました。審査の結果、わずか1点差ではありますが、実務者チームを抑えて最優秀賞を受賞、さらに2票差で一般聴講者投票による最多得票賞も獲得し、最高の成績を収めることができました。

 受賞したメンバーの喜びの声とともに、提案した作品『木々を結ぶ流路~公園と神宮をつなぐ歩道橋』について詳しく紹介します。

―最優秀賞&最多得票賞の2冠達成おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 最優秀賞と最多得票賞のダブル受賞には驚きましたが、大変嬉しかったです。デザイン班としては、できるだけ構造を損なわないように、どれだけ綺麗な物を作れるかということを主眼においてデザインしました。構造班にとっては、それを成立させる構造にできるのかが鍵でしたが、最後には上手く形にすることができました。当初の予定より3週間遅れのスタートだったので時間も足りず、もう少しブラッシュアップできたのではないかと悔いは残りますが、賞が取れるような作品になるとは思っていなかったので、最優秀賞を獲得できて本当に良かったです。みんなの頑張りの成果と、浅里先生と濱尾先生にご指導いただいたおかげです。感謝しています。

―提案された作品『木々を結ぶ流路~公園と神宮をつなぐ歩道橋』について詳しく説明いただけますか。

 コンテストの応募内容は、実際に存在する横断歩道橋を新たにデザインして架け替える計画で、構造架構形式を検討して美しく、その場に調和した、渡ってみたくなるような横断歩道橋を提案するというもので、設置場所は市街地にある横断歩道橋に限定されていました。私たちは、歴史的なストーリーがあり郡山市のシンボルともいえる開成山大神宮と開成山公園をつなぐ、「木々と人の調和」をテーマにした歩道橋を提案することにしました。

 郡山市には猪苗代湖より水を引き込み、開拓を行った歴史があることに着目。歴史の変化と共に新たな方向に導くという意味合いを持つ“流路”を題材にして、水の流れを彷彿とさせるように2本の曲線を交差させるデザインを考えました。開成山大神宮と開成山公園にある豊かな環境を活かし、時代や歴史が変化しても、人々と自然が交わる居心地の良い空間になるように建築計画を行いました。神社、公園共に様々なイベントが行われ、地域コミュニティの発展に大きく貢献しているので、神社と公園を結ぶ新たな歩道橋が賑わいを共有し、更なる繋がりに発展することが期待できます。

 材質に関しては、杉の木を利用したCLT(Cross Laminated Timber)と呼ばれる直交集成板を使用。杉はこの場所にある木々にも溶け込むだろうと考えました。CLTの特性として、耐久力も強くかつ曲げ性能もあり、他の木材と違い耐火建築物としての役割を果たします。CLTパネルを重ね合わせ、表面には仕上げ材を張り付け使用。PCケーブルをCLTパネルの間に通し、いかだ状に連結させます。

 構造としては、歩道の下が吊り橋のように三角のトラスで綺麗に支え合い、上側の橋に圧縮力、下側の橋に引張力がかかることで、両方の力を打ち消し合う造りになっているところが大きな特徴です。細い鉄骨の角形鋼管を用いることで、橋の自重の軽量化を図り、見た目にも美しいデザインに仕上げることができました。

―審査はどのように行われたのですか。

 昨年度はオンライン開催でしたが、本年度は対面式(Web同時配信)に戻り、会場には多くの来場者が集まり活気に溢れる審査会になりました。当日は実務者3 組、学生8 組の11チームが参加。発表7分・質疑応答5分で審査が行われました。私たちのチームは2次選考に進み、さらに5分間の自己PRの時間が設けられていましたが、全く準備していなかったので焦りました。審査員からの質問内容を絡めながら、なんとかまとめた感じでした(笑)。

―最優秀賞と最多得票賞の2冠を達成できた要因は何だと思われますか。

 実行委員会からは、⼒学的にシンプルな形態をこの場所にあった歩道橋にうまく落とし込めている、パース図、模型も美しく、最優秀に値する作品という講評をいただきました。ポイントになったのは、曲線美と曲線にかかる応力の綺麗なつりあいだと思います。構造的な実現性の高さも評価されました。審査員から真っ先に「これは建つ」と太鼓判を押していただきました。

 昨年、最多得票賞を受賞した同じ研究室の先輩から発表資料についてアドバイスをいただくなど、先輩方の思いやこれまで積み重ねられてきた実績も力になっていると思います。大学院に進学して早々にコンテストに参加して、このような成績を収めることができたことは、大きな自信になりました。また、これを超えるような成績を残せるよう精進していきたいと思います。

第9回JSCA東北支部構造デザインコンテストの結果はこちら