ソフトウェアとハードウェアの知識を駆使した作品
「IoTサバゲーシステム」が高く評価される
「もの創り」を展示するピッチコンテスト『技育展2022』(株式会社サポーターズ主催)「ゲーム部門」において、情報工学科4年 卯木優大さん(情報ネットワーキング研究室/見越大樹准教授)の作品「IoTサバゲーシステム」が優秀賞を受賞しました。『技育展』は、アウトプットの促進を目的としたエンジニアを目指す学生のためのピッチコンテストです。自らのアウトプット(作品)を展示(プレゼン)し、もの創りの楽しさ、厳しさ、可能性を知ることができます。受賞した作品は、BB弾の代わりに光を使って撃ち合う新しい感覚のサバイバルゲームで、スマホと連携させることでデジタルゲームと体を動かすサバイバルゲームを融合させたシステムになっています。卯木さんは昨年度も出場し、「世の中を便利にする部門」で最優秀賞を受賞しています。
卯木さんの喜びの声と受賞した作品について、詳しくお話を聞きました。
―優秀賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。
技育展には毎年応募しており、当時2年生だった2020年度に『はじめてのアウトプット』部門に応募して最優秀賞を受賞しました。まさか賞を取れるとは思っていなかったので驚きました。でも、評価されたことが自信になり、2021年度にはライフスタイル部門で『最優秀賞』を受賞。今回は優秀賞ではありますが、Webシステムをつくるアルバイトに携わりながら、余裕のない中でなんとかつくり上げた作品だったので、入賞できたことには満足しています。
―受賞作品について詳しく説明いただけますか。
昨年度、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)方式の拡張現実型ウェアラブル端末であるスマートグラスの簡易版を作って、災害情報や天気情報などを素早く通知できるアプリを提案して最優秀賞を受賞しましたが、今回の作品「IoTサバゲーシステム」にもそのアイデアを取り入れています。私自身、サバイバルゲームの経験が少ないのですが、ファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)はやったことがありました。サバゲーは体を動かしながらリアルに友達と楽しめるけれど、当たったら痛い、できる場所が限られるなどアナログならではの問題点があります。
そこで、現実のサバゲーとFPSの“いいとこどり”をしようと考えました。BB弾を使わない射撃システムで、リモコンを応用した光線銃と赤外線センサで撃ち合います。スマートフォン経由でインターネット接続して、各種情報は専用サーバーにて管理し、倒した相手の情報などがサーバー経由で通知されるシステムになっています。プロトタイピングとしてレーザーカッターと3Dプリンタを併用して銃本体を作成。赤外線で撃ち合えることを確認するための的を用意し、サーボモーターを利用してヒット時には的を倒し、M5Stack のBluetooth 機能を利用してヒット判定を共有します。昨年度作成したスマートグラスのハードウェアを流用し、ヒット時に的からデータを受信して視界の右上付近にスコア表示ができるようにしました。
―どんなところが評価されたと思われますか。
Zoomによる3分間のプレゼンテーションと公開動画による審査があり、スポンサー企業の一流のエンジニアの審査員、別部門の学生審査員、一般投票によって賞が決定します。私の場合、ソフトウェアだけでなくハードウェアまでトータルでできることが強みです。突飛なアイデアも形にすることでよりインパクトを与えることができます。今回もスマートグラスを使って実際にアイデアを見せたことが評価につながったと思います。
―情報工学に興味を持ったきっかけは何ですか。
もともとは電子工作などで電気を使ったモノづくりをしていましたが、近年は複雑な数式で回路を組むのではなくて、電子部品もプログラムで制御するマイコンが主流になってきています。プログラミングの知識を広げることにより、つくれるものも増えると考えました。また、高校時代に基本情報技術者試験と応用情報技術者試験に合格し、そのときの勉強を通してITの楽しさを体験しました。それで、大学では情報工学を学びたいと思い、工学部に進学しました。
―現在は、どんな研究をしているのですか。
低消費電力の無線通信に関する研究をしています。センサネットワークという言葉が注目されてきていますが、山の中など広い範囲の環境計測をして、その情報を1か所に集めるシステムです。山の中では配線を巡らすことは難しく、かといってWiFiは電気を消費してしまうデメリットがあります。そこで、省エネで長い距離を計測でき、一般のパソコンにつなげるような使いやすい通信システムを考えました。ネットワーク全般の知識とOSのしくみを使って研究していますが、やっていてとても面白いです。
―今後の目標をお聞かせください。
まずは今回の「IoTサバゲーシステム」を進化させ、本格的なサバゲーと呼べる作品にすることが目標です。将来については、贅沢な悩みかもしれませんが選択肢が多くて、まだ、どういう道に進んだらよいか迷っています。ハードウェアからソフトウェアまでできるガジェットの仕事がしたいなとは思っています。なかなか自分のやりたいことと合致する企業をみつけるのは大変かもしれませんが、大学院に進学して、さらにいろいろなスキルを身につけたいと考えています。
―ありがとうございました。今後益々活躍されることを期待しています。
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