地域連携の輪が広がるロハスの池プロジェクト
学生たちの研究成果に期待も高まる

11月27日(木)、5431教室にて、『古川池の持続可能な防災親水公園化プロジェクト(ロハスの池プロジェクト)中間報告会』が行われました。ロハスの池プロジェクトでは、古川池に適した水環境の創出を目指して、地域住民(古川池愛護会等)、行政(郡山市)、企業の産学官民連携で活動を推進しており、昨年度からは日本大学東北高等学校理科部の生徒や近隣の高校生も参加するなど、活動の輪が広がっています。プロジェクトには、リーダーの手塚公裕准教授を中心に土木工学科11名、他学科6名の全学科の教員が横断的に参加するとともに、古川池愛護会のメンバー3名、アドバイザーとしてコンサルタント等6名のメンバーで構成され、水量・水質・底質・植生・親水性を評価する研究を行うほか、それぞれの専門分野を活かして環境整備の検討を進めています。
本年度から第3期『効果を検証する』に入り、より実践的な成果が求められる段階へと進んでいます。中間報告会では、各研究室で行っている調査研究やプロジェクトの進捗状況について説明を行うとともに、プロジェクトメンバー間での情報共有や意見交換を行いました。
機械工学からアプローチする新たな水質浄化システムの研究に注目
手塚准教授がプロジェクトの概要について説明した後、卒業研究生が現在進めている研究やサークルの活動状況について報告しました。昨年度から加わった、機械工学科サステナブルエネルギー研究室の発表もあり、古川池をフィールドに活発な研究活動が展開されています。

【エアレーションを活用した植生浮島による古川池の親水性向上を目指して】
水環境システム研究室:青木康徳さん、小久保廉太郎さん

【太陽光発電を利用した古川池の水質浄化】
サステナブルエネルギー研究室:高木廉平さん、小松蓮さん(代理発表:田中三郎准教授)

【植生浮島の設置による水質浄化効果の評価】
環境生態工学研究室:嶋田光さん

【植生浮島生物生息地としての評価】
環境生態工学研究室:塙直樹さん

【グラウンド貯留の透水性能評価
―簡易現場試験による検証―】
水環境システム研究室:新井隼也さん、内田理さん

【グラウンド貯留実験施設の貯水位計測】
環境水工学研究室:青木優汰さん

【古川池に架設する自然に調和した木橋の設計】
橋梁工学研究室:鈴木郁生さん、沼田駿さん

【ロハスの水環境サークルの中間発表】
ロハスの水環境サークル:緑川依吹さん、篠塚翔太さん
土木工学科の研究者らの取り組みの報告、学外プロジェクトメンバーからのアドバイスや提案など活気溢れる議論の場に

【水質浄化】中野和典教授(土木工学科)

【景観・歴史】知野泰明教授(土木工学科)
【水質浄化】中野和典教授は、植生浮島での空心菜栽培による水質浄化実験を実施するとともに、収穫した空芯菜をこども食堂に寄付という形で社会に還元。さらに、開成山公園五十鈴湖でも実験を開始したと報告しました。
【環境水理】梅田信教授よりグラウンド貯留効果を検証に関する水位計測について報告。測定開始が遅れ、大雨時の十分なデータは得られなかったため、来年度以降も継続して検証を行う予定だと説明しました。
【地盤】本年度より加わった阿部慶太准教授は地盤工学の専門家として、今後、土質試験やグラウンド貯留の技術的支援に携わっていくと述べました。
【景観・歴史】知野泰明教授は古川池周辺の歴史的風景について明治時代の地図を用いて解説。遊水地や伝統的治水施設として機能していたと述べるとともに、植栽には歴史的背景を踏まえ桑や松が適切だと提案しました。
【橋梁】現在、具体的な橋梁設計を進めている笠野英行准教授は、木橋を専門とする新任の及川大輔助教と協力して、構造的にもデザイン的にもシンボリックな自然調和型木橋の実現を目指していく考えを示しました。
【総括・水環境】手塚准教授は、古川池環境整備計画の基本方針に触れた後、令和7年度のプロジェクト全般の活動について報告しました。清掃活動は春と秋に実施し、それぞれ学外参加者も含め400名近くが参加。近隣の高校の生徒も参加していることや、中学生への環境教育を実施するなど、活動の輪が広がっていると報告。各種実験について課題はあるものの、企業の協力もありロハスの池のフロート設置やグラウンド貯留実験も進展するなど、実践・拡張フェーズへ移行しつつあると説明しました。

さらに、手塚准教授は将来を見据えた持続可能なプロジェクト体制についても触れました。現在大学が担っている研究、教育、清掃活動、懇親会運営などの多様な役割を整理し、大学は研究教育に集中し、実践活動はNPO法人に移管することを提案しました。
学外メンバーのアドバイザーの方々にもコメントをいただきました。牧乃瀨統氏(オリジナル設計株式会社)はプロジェクトが社会の注目を集め始めている点を評価し、ロハスモデルとして確立できればと大いに期待を寄せていました。グラウンド貯留実験にご協力いただいている安藤和哉氏(東建土質測量設計株式会社)には流域治水の観点から、実験方法等についてのアドバイスをいただきました。今年からメンバーに加わった木村賢治氏(株式会社エコの実)は、裏方業務(地権者調査・訪問、用地交渉)や再エネの実務に携わった知見を活用して支援していきたいと意欲を見せていました。

また、参加者からもコメントをいただきました。元郡山市副市長の村上一郎氏(本学OB)は、プロジェクトやNPOを実践化していく際に課題となる都市計画や補助金に関する法律などの相談に協力していきたいと述べられました。
最後に古川池愛護会を代表して事務局の山根悟氏が登壇し、研究活動に尽力する学生たちへの感謝の言葉を述べられるとともに、生態系調査に関する要望や木橋設計に際し行政協議の必要性を示唆しました。また、11月から始まったふるさと納税を活用した工学部への寄付や支援を呼びかけてくださいました。結びに年度末の最終報告会での成果に期待を込めながら、中間報告会を締めくくりました。

発表した学生たちも手応えを感じているようで、「約半年間、浮島を用いた水質浄化の研究を行ってきましたが、期待以上の成果が出ていてやりがいを感じます」、「子ども食堂に空心菜を収穫・提供する活動に携わっており、研究を通して実社会に貢献できているのは嬉しいですね」、「地域に役立つ研究に最初から最後まで関わるので達成感がある。最終報告も楽しみです」と話していました。
これからも産官学民の連携を深めるとともに、研究・教育活動を推進し、ロハスの池プロジェクトを通して地域社会への貢献を目指していきます。この場をお借りして、報告会にご参加いただきました皆様に御礼申し上げます。
