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日本大学工学部が産学連携で取り組む「竹筋コンクリート復活プロジェクト」が『こおりやまSDGsアワード』を受賞しました

学科の枠を越えた産学官民によるSDGsな取り組みが高い評価と期待を集める

 第5回「こおりやまSDGsアワード」一般部門に、土木工学科コンクリート工学研究室(子田康弘教授)、機械工学科サステナブルマテリアルデザイン研究室(杉浦隆次教授)がメンバーとして活動する竹筋コンクリート協議会が選ばれました。「こおりやまSDGsアワード」は、こおりやま広域圏内において国連の持続可能な開発目標であるSDGsの達成に向けて優れた取り組みを行っている団体や住民を称えるものです。今年で5回目を迎え、16件の応募の中から7件が表彰されました。
 1月20日(土)、ふくしまSDGs未来博会場ビッグパレットふくしまにおいて開催された表彰式で、両教授に喜びの声と今後の展望についてお聞きしました。



 受賞した竹筋コンクリート協議会は、コンクリート構造物に使われる鉄筋に代えて竹を補強材として用いる竹筋コンクリートの実用化を目指し、2021年より新和設計株式会社(本社・米沢市)を中心とする福島県内の企業と日本大学工学部が共同で発足させた団体で、産学官民一丸となって「竹筋コンクリート復活プロジェクト」を進めてきました。数々の実証試験を繰り返し、本年11月には竹筋コンクリートU字溝産学官民設置事業も行われ、プロジェクトを進める竹筋コンクリート協議会のメンバー各社に加え、地元の皆さん、南会津町役場建設課の方々、土木工学科と機械工学科の学生も含めた約70名の参加によって農業用水路を完成させるなど、社会実装に向けた取り組みを行っています。

講評

 製造に多大なエネルギーを消費する鉄筋を竹材に置き換えてコンクリート構造物を建設する技術開発が、多くのステークホルダーの協力で行われており、竹材の活用による自然災害の防止や生態系の保全と、建設資材製造に伴う二酸化炭素排出量の削減の同時解決に繋がる一石二鳥の取り組みが高く評価されました。
 これまでに水路での実証事業が行われている段階であり、本格的な産業化に向けてさらなる性能向上、用途や適用範囲の特定、規格化などを目指した研究開発の継続がされるものと思います。
 脱炭素はもちろんのこと、竹林の荒廃や拡大も全国的な課題であります。またコンクリート構造物は今後も重要な社会基盤であり続けるでしょう。今後目指されている農閑期や障碍者の雇用機会の創出も含め、研究開発の取組みや成果等の積極的な発信、実用化の促進、業界内での水平展開等多いに期待しています。

子田教授 (コンクリート工学研究室)

 学科の垣根を越え、土木工学と機械工学の互いの得意分野を持ち寄り、地域に根差し、地域に貢献できる研究を目指そうと始めたプロジェクトです。その取り組みが、日本大学工学部の教育・研究の場である、この郡山の地で認められたということに大きな価値があると考えます。
 建築材料が地産地消であることは地域の人やモノの活性化にも繋がります。今後は、課題である生産ラインの確保と生産性の向上に努め、全国各地の市町村でこの技術を使ったコンクリート構造物、コンクリート二次製品が実用化されることを目指します。

杉浦教授 (サステナブルマテリアルデザイン研究室)

 この度の受賞は学科を横断して情報交換、研究活動ができる工学部ならではの環境下において成し得たものと思っております。また、こういった工学部の特徴を理解した企業が集まり、本学学生のみならず市民との協働を通して地域貢献できたことは郡山市ならではの学びの特徴です。このような研究環境に感謝し、繋がりを大切にしながら、次のステップである竹筋コンクリートの本格的生産に向けて進んでまいりたいと思います。生産フェーズでのポイントは、全国各地に群生する竹材の強度と加工性のばらつきを理解し、竹筋コンクリート2次製品の品質管理になります。この課題解決は、竹材の地産地消、循環型社会の構築に貢献することになります。

 SDGs実現に向けた取り組みは、工学技術のみならず人々の暮らし方や地域の発展にもつながります。この受賞を機にさらに研究開発へ一層の弾みがつくことを期待しています。

第5回こおりやまSDGsアワード

これまでの活動の様子はこちらから

https://www.ce.nihon-u.ac.jp/newinfo/221223_publicexperiment/
https://www.ce.nihon-u.ac.jp/newinfo/231130project/