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R3年度『教職課程特別講演会(第1回)』

未来を創る教員になるための心得に大いに刺激を受ける学生たち

R3.6.19(土)
6月19日(土)、工学部54号館3階中講堂にて、令和3年教職課程特別講演会(第1回)を『教職を目指す君たちへ~母校の後輩たちに~』という演題で開催しました。講師は工学部土木工学科を昭和56年に卒業された田村浩啓氏。長野県池田高等学校や中野立志館高等学校で校長を務め、令和元年度退職後は長野工業高等学校で教鞭を執られています。
はじめに、総合教育の中野浩一教授が田村氏のご紹介を兼ねて挨拶しました。中野教授は、工学部を卒業して校長として活躍される卒業生が多いことにも触れ、「ぜひ、田村先生からたくさんのことを学んでください」と述べました。拍手に迎えられ登壇された田村氏は、講演に先立ち在学当時の学生番号や会場となっている5431教室で教職課程や物理の講義を受けた思い出について感慨深げに語られました。

まず、田村氏は中学校、高等学校の受験者数・採用者数・競争率の推移や採用試験の出題例などについて説明しました。普段の授業を受けて基礎学力が身に付いていれば合格するのは難しくないと話し、教職に就く就かないに関わらず教員免許取得を強く勧めました。そして、具体的な試験対策を示すとともに、これから教員を目指すためにはテストの点数が高いだけでなく、知識の使い方を学ぶことが重要だと示唆しました。また、自分で物事を決められる主体性とコミュニケーション能力を身につけてほしいと伝えました。

続いて、教員の仕事について説明しました。学習指導(教科指導)と生徒指導(生活指導)とクラブ活動などの特別活動があり、どれかに特化するのではなく、バランスよく勤しむことが重要だと指導されました。土木工学科の土質実験を例にしながら、生徒に質問された時に明確な答えを示すことができるように学ぶこと、物事の本質的な考え方を理解して実践することの大切さも伝えました。自分自身もこの大学で学んだことであり、学生にもぜひ身につけてほしいと切望されました。

ここで、田村氏は学生たちに、「厳しい」の反対は何かと問いました。学生のほとんどが答えた「優しい」は間違いだと指摘する田村氏。「厳しい」の反対は「優しい」ではなく「甘い」、「優しい」の反対は「冷たい」という考えを示し、教育に携わるのであれば、子どもたちに対して厳しく優しく接せることが大事だと諭されました。

高い意識を持って学ぶことの大切さを知る

次に、Appleの創業者スティーブ・ジョブスが「好きを仕事に」と言った有名なスピーチを取り上げ、逆に、好きなことを仕事に選ぶと上手くいかないと指摘し、たとえ興味がないことでも一生懸命コツコツやっていくうちに楽しくなり、その仕事が好きになることで天職が見つかるのであり、一生懸命取り組むか否かの違いが大きな差を生むと示唆しました。

さらに田村氏が取り上げたのが「捨てる勇気」です。ネットの普及により情報があふれている現代社会において、よけいな情報を捨てる勇気も必要性を説きました。また、人が陥りそうな思い込みやバイアス(先入観)をできる限り排除し、物を鵜呑みにしないよう気をつけてほしいと伝えました。


最後に、ヨーロッパに伝わる石工の寓話をもとに、同じ作業でも意識の持ち方、取り組み方でモチベーションが全く違ってくるという話をされました。大学の講義やレポートも面倒だと思うか、自分の将来に必ず役に立つと思うか。田村氏は「工学部の先輩として、後輩の皆さんには、後者のようなモチベーションを持って励み、自分の将来を決めてほしい」と激励しました。そして、冒頭に見せたスライドの「100(30,10,1)」の意味を説き明かしました。100は100人の聴衆を意味し、100人の聴衆を前に講演した時、真剣に聴いている人は「30」、さらに話を理解している人は「10」、そのうち実行する人は「1」。「私の講演を聴いて一人でも教員になってくれたら、今日ここに来た価値がある。誰かの一言で人生が変わることがある。だから様々なことを体験してほしい」と田村氏はその思いを伝えました。講演後の質疑応答にも、真摯に答えてくださった田村氏に、学生を代表して機械工学科2年の先﨑義実さん(奥)と管野敬大さん(手前)が花束を贈呈。二人とも講演を聞いて大いに刺激を受けたようです。

 管野さんは、「講演を聞いて、今後必要とされる人材、賢い人間になりたいと思いました」と話し、先﨑さんは「福島県で教師になりたくてここに進学しました。田村先生のお話をお聴きして豊かな人間性、総合的な人間力を身に付けたいと思いました」とモチベーションを高めていました。そのほかの学生も、「仕事や物事に対する意識の持ち方、取り組み方を学びました。そういう場面に立った時、実践したいです」、「まだ、やりたいことが見つかっていないが、教師もいいなと思いました」、「これまで大学で学んできて、一番ためになる話が聞けました。将来、教職に就いた時に役立つと思います」などと話し、大変感銘を受けていました。

この場をお借りし、ご講演いただいた田村氏に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

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