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サイゲームスクリエイティブコンテスト2023において、建築学科の中田大翔さんが『3DCG部門賞』を受賞しました

建築で身につけたスキルを基盤に
3DCGクリエイターとして大いに活躍する

 この度、建築学科4年の中田大翔さん(写真右)が3年次のとき、サイゲームスクリエイティブコンテスト2023(株式会社Cygames主催)の3DCG部門において、最高位となる部門賞を受賞しました。このコンテストは、次世代クリエイターの発掘を目的に行われているもので、4回目を迎えます。2024年3月以降に大学・専門学校を卒業する学生を対象とした今回は、過去最高の3,500点を超える応募がありました。中田さんは、主に3DCGソフトを使用してモデル・エフェクト・アニメーションを制作した3DCG部門に「笹ラブパンダ」のペンネームで応募。『侵入者』『ゴンドラ』『繁茂した洞窟』『着陸』の4作品で挑んだ結果、4点とも見事部門賞に輝くという快挙を成し遂げました。

 2月26日(火)には、授賞式に先駆けて主催者である株式会社Cygamesデザイナー本部副部長の山邉純氏(写真左)が来学され、審査結果および講評について説明されました。クラス担任の市岡綾子専任講師同席のもと、中田さんは少し緊張しながら、自分の作品がどう見られているのか、どういった点が評価されたのか、プロの意見を真剣に聞き入っていました。

 山邉氏は審査の傾向として挑戦的で独創性と完成度の高い作品が選ばれている中で、中田さんの作品はさらに物語性を重要視している点と人に見せることに注力している点が高く評価されたと説明しました。作品として形にするだけでも非常に難しい上に、動く作品として完成させようとする意欲が感じられ、なおかつそれが4作品もあったことに驚嘆されたそうです。「空間から切り取った一瞬の風景の中に、そこに存在するであろう人やものをリアルに表現し、物語にしていることは類まれなる技術であり、何処から見ても素晴らしい作品」と称賛されました。さらに、4作品とも違う場面でありながら、拘りを持って同じ世界観に見せる部分とそう感じさせない部分とがあり、遠隔で共通した世界観を見せる余裕すら感じさせるとも話しています。難しい距離感やアングルも細かく作りこんでいる部分もあれば、割り切って大胆に描いている部分もあり、それらを連続性のある作品として捉えている点も評価に値すると強調されました。

 惜しくも大賞は逃したものの、他の部門で受賞した学生たちからも絶賛されていたという中田さんの作品は、業界のプロである山邉氏からも見ても賛辞の言葉しか出てこないほど、素晴らしい作品だったようです。
 中田さんの喜びの声とともに、作品づくりについて詳しくお話を伺いました。

―3DCG部門賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 3DCG作品をつくってコンテストに応募することはほとんどなかったのですが、クリエイター仲間がこのコンテストに応募したと聞き、せっかくだから自分も挑戦してみようと思ったのが発端でした。応募数の制限がなかったので、どれか引っかかってくれればと4点出してみたところ、全作品が部門賞に選ばれ、大変光栄に思います。ストーリー性を意識して作品を制作しましたが、自分の意図したところを評価して頂けたのが、とても嬉しかったです。今後の制作活動の励みになりますし、もっと魅力的な映像が作れるように頑張ろうという意欲が湧いてきました。

―3DCG作品をつくり始めたきっかけを教えてください。

 大学に入ってノートパソコンを持ち始めてから、建築の用途として3Dソフトを使うようになりました。最初は自分の住む部屋をDIYする際に、自分好みの間取りにしたくてCG空間上でシミュレーションしたことがきっかけでした。部屋をつくったら、次は建物全体に発展し、さらに植栽などの周りの環境もつくっていくと、樹木を風になびかせたり、池のさざ波を表現したくなり、アニメーションで動きの要素を加えて、徐々にスケールアップしていきました。本格的な作品制作に取り組み始めたのは、2年次にデスクトップパソコンを購入し、blenderという3Dソフトを導入してからです。オープンソースの3DCG製作ソフトなので、割とネット上のチュートリアルが充実していたこともあり、独学でも十分な知識を得ることができました。作品をX(旧Twitter)に上げると、業界の方から仕事の依頼が入るようになりました。現在は、建築の勉強の傍ら、アーティストのMV(ミュージックビデオ)などのCGやライブパフォーマンス映像などのフォトリアルな映像クリエイターとして活動を行っています。

―応募した作品はどのようにつくりあげていったのですか。

 最初から全体の完成形をイメージしてつくるというよりは、一つのアイデアを繋ぎ合わせていったらこの作品ができたという感じです。これまでにつくった作品のストックやデザインの引き出しを流用するので、どの作品も作り始めると1週間程度で出来上がりました。例えば蟹をイメージしたロボットは、初めは単体でスケールの小さいものでしたが、試行錯誤していくうちに、もっとスケールの大きいものの方が合っていると考えて、周りに洞窟を配置し、物語をつくって人を配置しながら段々膨らませていきました。ゴンドラをモチーフにした作品は、左右のライティングを変えてみたり、人の動きにも拘ってゴンドラの揺れを表現したりしています。何をつくるか、テーマや構図を考えるのに時間が掛けるところは、まさに、建築のエスキスに通じると思います。


―建築の学びが3DCG制作にも活かされていると感じますか。

 X上で自分が得たノウハウを紹介することもありましたが、見ている人にわかりやすく伝えることは、建築課題のプレゼンボードをつくる作業と共通項が多いと感じました。また、建築的な考え方でもあるのですが、作品をつくるときにゼロから生み出すというよりは、既存のアイデアを集めて、いいところを掛け合わせたり引いたりして、残りの数パーセントに自分のオリジナリティを加えて組み上げていくのが自分のやり方です。センスというより技術、建築で学んだことを積み重ねていくうちに身についたスキルかなと思います。
 幼い頃から自分がつくったもので誰かを驚かせたいという気持ちがあり、建築の道に進んだのも将来設計者になりたいと思ったからです。常にものづくりに挑戦し続けてきたから、今があると思っています。自分の発想で何かをつくって誰かに提供するという点で、3DCG制作と建築は似ていると感じます。ただ、3DCG制作は完成までのスパンが短いこと、制約や制限がないことが建築とは違うところです。成果物が良ければアプローチは問わない自由なCGクリエイターの方が自分の性格に合っているように思います。

―建築の学びが3DCG制作にも活かされていると感じますか。

 将来はCGクリエイターとして活躍できたらと考えています。この業界は実績が大事なので、ポートフォリオになるような実績の高い作品を沢山つくっていくことが目標です。これまでのようなワンカット、ワンシーンではなく、一連のストーリーとして完成された作品をつくってみたいと思っています。短編映画だと台詞も必要になってくるので、そこまではなかなか難しいのですが、現実的なものとCGを掛け合わせた映画の演出はいつか挑戦してみたいです。また、この技術を活かして、卒業設計もCGを活用したテーマで取り組みたいと考えています。

―ありがとうございました。今後益々活躍されることを期待しています。

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