最新情報

【プレスリリース】電気電子工学科の江口卓弥助教がリチウムイオン蓄電器の蓄電量増加と長寿命化を両立させる技術を開発しました

脱炭素社会の構築に向けた蓄電技術の進歩に貢献する

 この度、電気電子工学科の江口卓弥助教と秋田大学の熊谷誠治教授らのグループは、負極にシリコンを用いたリチウムイオンキャパシタの長寿命化を可能にする技術を開発し、その研究成果が電力系学術雑誌「Journal of Power Sources」に掲載されました。

 リチウムイオンキャパシタは、従来のリチウムイオン電池では困難である、高い出力密度と長い寿命を実現できる蓄電デバイスです。蓄電デバイスの性能の指標として、蓄電量を表すエネルギー密度、瞬間的な電力の出し入れの量を示す出力密度、耐久性に関係するサイクル寿命が挙げられます。また、実用性の観点から製造コストも重要です。本研究グループは、令和3年に一般的な電極材料である黒鉛に比べてリチウムイオン吸蔵量が約10倍とされるシリコンを負極に使い、エネルギー密度の向上(蓄電量増加)を可能にしました。

 さらに、高いエネルギー密度と長寿命化の両立という課題解決に向けて研究を進めた結果、堆積層の厚みが10㎛と非常に薄い負極で高い蓄電密度と出力密度を確保しつつ、3万回の繰り返し充放電にも耐えうるリチウムイオンキャパシタを実現しました。

 この技術は電気自動車の蓄電機能の耐久性向上による長寿命化や充電時間短縮への応用も期待され、再生可能エネルギーの社会導入や自動車の電動化に貢献する重要な蓄電デバイス開発として注目を集めています。

詳細は以下よりご覧ください。

プレスリリースはこちら

「研究成果の詳細」はこちら

発表論文

雑誌名 Journal of Power Sources(出版社:Elsevier)
※電池、燃料電池、キャパシタなどに関係する学術論文を掲載する、電気化学エネルギー分野における研究者の注目を集める専門雑誌。
論文題目 Effect of Si layer thickness on the cycling stability and aging behavior of Li-ion
capacitors with micrometer-sized Si anodes
著者 Takuya Eguchi, Keiichiro Sawada, Yusuke Abe, Seiji Kumagai* (*:責任著者)
DOI https://doi.org/10.1016/j.jpowsour.2023.233407