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第72回北桜祭「特別講演会」が開催されました

「テレビからの脱却!イノベーティブな未来の作り方」

 10月29日(土)、工学部54号館において第72回北桜祭「特別講演会」が開催されました。「テレビからの脱却!イノベーティブな未来の作り方」を演題に、土屋敏男氏(Gontents代表 みんなのテレビの記憶代表)、西田二郎・Nj氏(未来のテレビを考える会代表理事)のお二人をお迎えしました。両氏はお互いに対極な生き方であると話しながら、イノベーティブであるためのヒント、未来を切り拓くための心意気を軽快なトークで伝えてくださいました。


―人生における全Betとは?!

 土屋氏はご自身の進学理由やテレビ業界に進み「イノベーティブな」番組を作ってきた経緯をもとに、人生はどこかで「全Bet」(=すべてを賭ける)のタイミングがあると語りました。ハイリスクハイリターンか、ローリスクローリターンな人生を歩むか。何者かになりたいならば、「ハイリスクハイリターン」。やるぞという覚悟を持つことだと言います。あくまでも物事のとらえ方の問題ではありますが、どちらにしても賭けるためのチップは必要です。若者にとってチップの源は「失敗」なのだそうです。ハイリターンを目指し、いかにして多くのチップを貯めるか、その唯一の方法はチャレンジであると示されました。挑戦するからこそ失敗する、挑戦しなければ何も学べない、と。若いときの失敗は自分の血肉になる、失敗からの学びこそが全Betするためのチップ、力なのです。「参考までにローリスクハイリターンは無いですよ」、とのお言葉に、西田氏から「それずっと狙ってきたのに!」と返される様子に会場から笑いが起こる場面も。タイプは違うお二人ですが、ともに人生は何があるかわからないから「人との出会い」「運」「きっかけ」は大事だと頷きあっていました。
 35歳で全賭けするまでの失敗だらけの様子、辛くて追い込まれて逃げる道が無くて踏ん張っているうちに光が差す瞬間があったこと、それを逃さないように追い続けてきたこと・・・これまで歩んでこられた道筋を明るく語る土屋氏ですが、「枕を濡らす」の意味をリアルに体感された方の言葉には重みが感じられ、全Betした方の説得力がありました。イノベーティブであろうとしたわけではなく、追い詰められて今までにないものを作ろうとした結果がイノベーティブであったと。今ないものを作る、そういう人たちに一人でもなってほしいし、その価値をわかる人になって欲しいから、今は失敗し倒せ!と激励してくださいました。

―パッションが伝われば道は拓ける

 西田氏はご自身を「パッションで押す」タイプと称しました。学生時代にも特別なビジョンは無かったそうです。伝え方がうまくなくても、誠心誠意のパッション、自分にできる本気を出す。崖っぷちに立った時にこそ、その本気に応えてくれる人が必ずいたそうです。どんな逆境にあっても、自分の軸がある人はパッションで押していける、それは戦略とは違う、と知人を例に語りました。パッションが道を切り開くためのチップだったと言えるでしょう。また、相手の本気に応えようとした西田氏のエピソードは、なかなか思いつかない個性的なもので、「戦略」ではない本気の伝え方は、対人コミュニケーションこそがモノを創り出すエネルギーとなることを表していました。情報が優先される世の中で、この本気の重要性はモノづくりのキーワードかもしれません。100人いれば100通りのやり方があるのだから、世の中にある新しい情報を見てそちらに行くのではなく、みんなと違う方向に向かって探してみよう、自分も優秀な先輩のいないほう居ないほうと道を探しながら生きてきた気がします、と笑う西田氏。お二人そろって、イノベーションは常に少し端っこから起きるもの、ここ福島は狙い目だ!と学生たちを鼓舞されました。

―福島からイノベーティブな未来をはじめよう

 講演の締めくくりとして、お二人がこれからどんなイノベーションを起こそうとしているかについて、福島で学ぶ工学部の学生たちへのメッセージとともにお話し頂きました。
「年齢やキャリアにとらわれず、新しいもの知らないことをどんどん取り入れて、今のテレビとつなぐようなことを考えていきたい」「これからは自分の地域を愛するメディアを創っていきたい。自分の街を愛する方法を提案するコンテンツ、メディアを作りたい」「日本大学工学部は地域を見てきた。だからこそこの地域、コミュニティを愛する方法を見つけていってほしい。肉体が存在する現実の、身近なコミュニティを大切にすることで強くなり、付加価値が生まれる」「世の中にある新しい業態を見てそちらに行くのではなく、古い業態をみんなの力で変えることが君たちの未来。これからの学生生活、人生へのちょっとしたヒントになれば嬉しい」と話されました。
 常にイノベーティブにテレビ業界を牽引し、そして今また新たな未来を切り拓いていこうとするお二人の姿はエネルギッシュで、「頭のねじを2.3本外して常識のリミッターを解除!」「脳みそをひたすら褒めてあげよう。追い込まれたときに褒めた分だけ働いてくれるから!」という全betするためのアドバイスも大変印象に残っています。
土屋氏、西田氏のお二方、4年ぶりの開催となる北桜祭にふさわしい熱いメッセージをありがとうございました。ひとりひとりはもちろん、日本大学工学部全体としてもイノベーティブな未来を切り拓いていきましょう。