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三菱地所設計設立20周年特別企画「+ミライプロジェクト」エリアコンペで建築学科建築計画研究室の学生作品がエリア優秀賞を受賞しました

福島県の文化的祭り『相馬野馬追』を題材にした作品が評価される

この度、日本全国の学生を対象とした、三菱地所設計設立20周年特別企画『+ミライプロジェクト』エリアコンペが行われ、建築学科建築計画研究室(指導教員:浦部智義教授)の竹井諒さん(建築学専攻博士前期課程1年/写真左)、奥山翔太さん(同/写真右)、山口和紀さん(建築学科4年/写真中央)が企画提案した『野馬追通り-まちを育てる馬と共生する暮らし-』が、東北エリアでの次点(優秀賞)に選出されました。意匠設計に限らず、土木・都市計画から、構造・設備、アートなど分野を問わず、将来「まち」に関わる全ての学生対象としたコンペで、全国6つのエリアで最優秀作品と優秀作品(次点)を選出。惜しくも最優秀賞には届きませんでしたが、3人はそれぞれに手応えを感じているようです。竹井さんと奥山さんは学部4年の時からグループでコンペに参加していました。大学院進学後も就活を見据えて有利に進めるために、一緒に組んで時に協働してコンペに参加しています。「実際に社会に出て働くようになると共同で作業することが多いし、互いの良いところを吸収し合える」というのも理由です。当初はやりたいことの方向性が違っていて、上手くまとまめることができなかったと言います。しかし、回を重ねるうちに、だんだん互いの得意な部分がわかってきた今回は、学部生の山口さんも加わって、役割を分担しながら効率的に進めることができました。学年は違っても、同じ研究室という身近な環境に意識の高い人たちがいて刺激し合いながら作品づくりができたことが、今回の受賞につながる要因の一つだと感じています。3人に受賞の感想や作品への思いについて語ってもらいました。

日常の舞台で人と馬の関係を再構築し、新たな目抜き通りをつくる

本コンペは、街の歴史や文化、地域の特性を紐解き、『目抜き通りと、そこにたつ建物』について考えることがテーマでした。関東の学生とは違う地方にある大学の院生・学生として、何か地方の資源を活かした提案をしたいと思いました。そこで、私たちは東北でも大きなイベント六大祭りの一つ『野馬追』で有名な相馬の通りを敷地に選んで企画を考えました。相馬地方は「野馬追で始まり、野馬追で終わる」と言われるほど、馬が暮らしに溶け込んでいる場所で、毎年『相馬野馬追』が行われる日には、この通りも人出で賑わいます。しかし、普段、通りは車道として使われているだけで、人通りもあまり見られないのが現状です。本提案では、街の通りという日常の舞台で人と馬との関係を再構築し、新たな目抜き通りになることを目指しました。
まず、着目したのは実際の通りにある空き家や空き地です。公共施設などの大規模な建物ではなく、これらを丁寧に改修しながら、ヒューマンスケールで活用していくことを考えました。そして、馬と人が日常的に関わることができるように、人馬が行き来できる時間帯を設定したり、高齢化が進んでいることを考慮して、馬や馬車を使った移動を提案しました。設計する建物全てに対して1階部分を建物側にセットバック(減築)し、車道と分離させた状態で馬の動線を確保します。

馬主の家と隣り合う空き地が乗馬体験のできる牧草地となる

大幅な改修ではなく、建築的な操作はある程度のリアリティを担保できるように工夫しました。状況によって新築・改築・空き地の利用といったパターンを用いて、「馬主の家」「倉庫」「牧草地&畑」「店舗」の4つのプロトタイプを提案。現在も、馬主の方の家はありますが、馬の管理がしやすい環境を整えることを重視して設計しました。空き家は牧草を入れる倉庫に転用したり、空き地は牧草地として利用するなど、既存の通りを馬との暮らしに対応する形に変化させることで、新たな目抜き通りをつくり、まちの活気につなげることを目指しました。

馬との共生により生まれる互恵関係

コンペの受賞と自分の成長は就活への大きな武器になる

本作品が評価されたのは、相馬のこの通りでしかできない提案であり、テーマに添って丁寧に紐解いていたからだと思います。これまでのコンペでは、確実に解けるまでの技量はありませんでした。単なる建築の提案ではなく、環境的な話や馬車を使う提案、地域の人々の関係性や課題を設計で解いている点など、今回はお互いの考えもバランスよくまとめることができました。リアリティを持ちながら新規性のある作品になったと思います。また、ポイントを整理しながら説得力のある説明ができたことは、今後の就活にも活かせそうです。建築の設計職を希望する場合、これまでの作品をまとめたポートフォリオをエントリーシートと一緒に提出することになります。授業の課題だけでなく、こうしたコンペの作品は、自分の強みをアピールできる大きな武器になると思います。そして、コンペを通して様々な収穫があり、自分自身が成長したなと実感しています。社会人になっても自主的にコンペに挑戦していきたいと思います。

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