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建築学科の浦部智義教授を代表とする復興知イノベ活動拠点「葛尾村復興交流館あぜりあ ロハス蔵」が『第37回福島県建築文化賞復興賞』を受賞しました

地域の風土と歴史、住民活動を継承していく交流の場が
復興の拠点として高く評価される

産学官民連携の復興への取り組み

関係者での記念撮影
篠木葛尾村長(左から2番目)と浦部教授(左端)

この度、『第37回福島県建築文化賞』が発表され、浦部智義教授ら建築計画研究室が計画段階から関わった「葛尾村復興交流館あぜりあ・ロハス蔵」が『復興賞』を受賞しました。「あぜりあ」は2018年6月に帰村した住民はもとより村内外の交流を促すために建てられた復興交流館です。浦部教授もメンバーである縦ログ構法研究会で開発した、木材を縦に並べてパネル化する縦ログ構法の他、『百石の家』の愛称で村民に親しまれていた古民家の廃材も利用されており、新しさの中にも木の温もりと歴史も含め親しみを感じられる施設デザインになっています。復興交流館の敷地内にあった蔵を、交流館の一部として新たに「ロハス蔵」として甦らせた蔵の改修には、建築計画研究室の学生や村民の方々が修繕・整備に深く関わっています。量感のある木造空間が居心地のよい交流の場となるとともに、大学との連携により周辺環境の特性や古民家の解体材の利用など様々な地域資源が生かされ、村の風土と歴史を継承する場となっていることが、高く評価されました。

今回の受賞対象となった、復興交流館「あぜりあ ロハス蔵」の外観

工学部の教育・研究コンセプトである「ロハス」の再受賞

第30回で受賞した「ロハスの家群」の一つである
「ロハスの家3号」の外観

第30回(2013年)にも、浦部教授と研究室がロハスの家群プロジェクトメンバーとして同賞を受賞しています。工学部の教育・研究のキーワードである「ロハス」関係で再びの受賞になります。前回は、東日本大震災とその後の原発事故によって、現在では、その検討は当たり前になりつつある再生可能エネルギー利用した建築のあり方を、設備系をリードした機械工学科を中心に建築・土木工学科の校友・学生も加わり、工学的側面から実験的に実装した建築群で、復興を目指す福島県でのその様な取り組みが審査員に評価されての受賞でした。キャンパス内にあった、ロハスの家群は、2019年の水害によって解体せざるを得ない状況になりましたが、「ロハス工学」を教育・研究のコンセプトとする工学部の象徴的な建築でした。

水害前のロハスの家プロジェクト実験施設
(資料 機械工学科:伊藤耕祐教授)

現在、ロハス工学センター長の岩城一郎教授(土木工学科)を代表に、「ロハスの家群跡地再生プロジェクト」に取り組んでいますが、浦部智義教授らは、ロハス蔵を含む葛尾村復興交流館の計画・設計・運営での知見・経験も活かして、学内外の交流とロハスの研究・活動を掛け合わせられる様な場となる建築(群)の実現に向けて、様々なスタディを行っています。

「ロハスの家群跡地再生プロジェクト」の建築スタディの一案(初期イメージ)

復興知イノベ「『ロハスコミュニティ』の構築と実装」の活動拠点

「あぜりあ ロハス蔵」敷地内に設置したトレーラーハウスでの
ワークショップ風景

この「復興交流館あぜりあ・ロハス蔵」は、大学等の復興知を活用した福島イノベーション・コースト構想促進事業(復興知イノベ)の葛尾村での活動拠点でもあります(代表:浦部教授)。その事業では、「産学官民の連携による『ロハスコミュニティ』の構築と実装」と題して、日本大学工学部と自治体との協定に従い、本学が掲げる「ロハス工学」に基づき、産学官民の連携による健全で持続可能な地域づくりを目指すものです。
その内容は①交流の場と社会インフラ、②グリーンインフラの普及・活用、③鳥獣の生態と対策からなり、その各内容でドローン技術も活用するというものです。最終的には、自治体において、それらで培ったノウハウを展開できる様な人材育成を目指します。

「ロハス蔵」まわりの池への注水部分のU字溝設置の
ワークショップ風景

それに関連して、同教授の研究室でも、この活動拠点で、村民同士や村外からの訪問者との交流などを促すイベントや仕組みづくりを積極的に行っています。
また、例えば、ロハス蔵を取り囲む池に流入する澤からの水の流れを考え、注水部分にU字溝を設置するなど、建築学科の学生でも土木的な産学官民協働のワークショップを行ったりして、学生や教員も学科を越えて持続可能な場づくりを進めています。

みんなで考え、改善している建築「手づくりの復興の拠点」

開館後に必要に応じて設置した家具類の
手づくりワークショップ風景

「復興交流館あぜりあ・ロハス蔵」の計画・設計段階で繰り返し行われた、産学官民によるワークショップの際に、自治体の規模感に合った復興まちづくり、という意味でも、関わったみんなの手が入った「手づくりの復興」という言葉が良く出て来たといいます。
今回の受賞の対象にもなった「ロハス蔵」は、そのものの手づくり度が高いのですが、それ以外にも「あぜりあ・ロハス蔵」がグランドオープンして数年、その間も事務所スペースや家具の増設、ロハスの花壇も含めて植栽や芝貼りの整備など、関係者で出来る部分は、学生も交えて手づくりで行われています。現在も、外構にウッドデッキを設置するなど、みんなで考え改善しながら、村の復興に寄与できる、より持続可能な活動拠点づくりを目指しています。そうすることで、より多くの方々に使われ親しまれる建築になり、より一層、復興に資する交流の場になることが期待されます。

イベント等での利用を想定してトレーラーハウスの周辺に設置したウッドデッキ