クローズアップ工学部

建築学科の学生22名が大和ハウス工業『2020夏インターンシップ』に参加しました

大手企業の現場実習を通して貴重な学びを体験

 8月24日(月)から9月8日(火)の期間に大和ハウス工業株式会社福島支社にて、日本大学工学部建築学科3年生を対象とした『2020夏インターンシップ』が行われました。「住宅設計」、「集合住宅設計」、「建築設計」、「住宅工事」、「集合住宅工事」、「建築工事」の6コースにそれぞれ5名の受け入れ枠を設けていただき、希望者を募ったところ、例年よりも多い22名の応募がありました。コロナ禍の影響で、インターンシップを取りやめる会社や1日限定、あるいはオンラインのみで実施する会社もある中で、現場実習を中心とした5日間の研修が組まれているのは大変貴重であり、学生にとっては業界や企業について情報が得られる大きなチャンス。また、建築学科ではインターンシップを単位として取得できることから、この機会を活用して3名の学生が長期研修に臨みました。将来、社会人として働く自分の姿を思い描きながら、今後の進路を決めるうえでも大いに役立つ体験になったようです。
 初日は、朝8時に福島支社に集まり、オリエンテーションに参加。午前中は社屋内を見学し、会社の概要などについての説明を聞きました。午後からはコースに分かれて、郡山市内の住宅展示場の見学や、与えられた設計課題に取り組みながら、徐々に会社の雰囲気に慣れていきました。そして、2日目から本格的な研修が始まりました。

お客様の夢である家づくりをお手伝いする、その楽しさとやりがいを体感

 「住宅設計」には5名の学生が参加しました。5日間を通して、実際の分譲地の敷地内をベースに平面図を作成する課題に取り組みました。また、住宅展示場のほか、更地の分譲地や途中段階の工事現場などを見学し、実際どのように建てられていくのか、その過程についても説明を受けました。その中で、住宅を設計するためには技術だけでなく、エクステリアを含めた住まいに関わる幅広い知識が必要だということも学びました。お客様の身近で喜ばれる仕事ができる住宅設計に興味を持っているという及川舜也さん(写真左)は、「建築業界の大手企業では、どのような仕事をしているのかを知りたくて参加しました。実際に現場を経験できるのはなかなかないことで、貴重な時間をつくっていただいていると感じています。今は大学院進学か就職かで悩んでいますが、この経験を活かして、将来、自分の進むべき道を決める指針にしたいと思っています」と話しています。
 「住宅工事」に参加した女子学生3名は、本格的な現場実習を体験しました。2日目は住宅新築現場での工場部材搬入、クレーン作業などの躯体(骨組み)工事を見学。また、認定施工制度や品質管理体制など施工管理の具体的な業務やアフターサービスについてもレクチャーを受けました。3日目は分譲地での地縄張り演習が行われ、レベル計測や体格寸法確認といった実際に施工管理で行う作業を体験。そのほか危険予知訓練、躯体工事検査立会、仮設計画のプランニング演習など、様々な経験を積みました。家づくりの基本から施工管理の主な仕事について学べたことは大きな収穫です。ご指導いただいた住宅事業部工事課の村田裕次課長(写真2列目左)には、「初めて経験することでも呑み込みが早く、作業も順調にこなしていて教えがいがあります」と太鼓判を押していただきました。単位修得を目指す土屋奈々子さん(写真右)は、「中学生の頃からの夢である施工管理の仕事に就くために参加しました。知らないことばかりで勉強になります。何もない更地から、だんだん家の形ができていくのが面白かったです」と語り、益々建築の道に進みたい気持ちが強くなっていたようです。
 

大学では学べない、実際の現場でなければ分からないことを吸収できる

 
 マンションやアパートなどを対象とする「集合住宅設計」に参加した5名の学生は、個人およびグループワークでの設計課題や、理想の集合住宅をつくる「即日設計」にも挑戦。大学の授業の課題にはない集合住宅の設計は、これまで経験したことがないので新鮮だったようです。将来、復興に携わりたいという奥薗皓太さん(右の写真)は、集合住宅のノウハウを仮設住宅に活かせるのではと考えています。「大学では設計して終わりですが、実際に建てられたもの見て、現場でしか分からないことを吸収できるのは得難い経験です。違う視点から見ることも大事だと実感しました。知識の足りなさも痛感し、自分自身を見つめ直す良い機会になりました」と言い、大学ではできない様々な体験を通して、多くのことを学び取っているようでした。

 
 施工管理の仕事に興味があり、「集合住宅工事」に参加した佐藤温起さん(写真左)は、基礎工事から完成まで、様々な段階の現場を見ながら、どのような工程で建築物が建てられていくのか、施工管理はどのような仕事をするのかレクチャーを受けました。また、社会人として、工事に携わる者として、どういう心構えが必要かということについてもマンツーマンでご指導いただきました。佐藤さんは「一から現場を見られる機会は少ないので、大変有難いです。最近は、建築業界も女性が活躍していますが、私も女性監督として最先端の現場で活躍したいと思っています」と意欲をみせていました。集合住宅事業部工事部の熊坂滋氏(写真右)からも、「女性の現場監督は人当たりがやさしいので現場が和やかになる。ぜひ目指してほしいですね」と激励の言葉をいただきました。

社員の方と接しながら、社会人としての自覚も身につけていく

 商業施設や事業用建築物など幅広い建築物の設計を手がける「建築設計」には、5名の学生が名乗りをあげました。具体的な設計課題に挑戦し設計の知識を学びつつ、社内実務を体験し社会人としての自覚も身につけていきました。4日目には、リモート会議の様子を見学させていただきました。スクリーンに映し出された図面を見ながら、こと細かに設計の打ち合わせが進んでいく中で、実際に建物をつくる際に留意すべき点や設計基準といった法律も知らなくてはならないことを学びました。また、自由に設計できる授業の課題とは違い、クライアントの要望にいかに応えるかが重要になってきます。社員の方にアドバイスをいただきながら、その大変さを実感した和田卓さん(写真中央)。「インターンシップで建築設計に携われるのは滅多にないことで、大学では学べないこともたくさん教えていただきました。会社や働いている社員の方々の雰囲気を体感できて、自分の将来像も見えてきました。就活にも活かせそうです」とその先を見据えていました。
 
 「建築工事」を希望した3名の学生は、建設中の現場を体験しながら、施工管理の仕事について詳しく学びました。まず、どんな業務を行うのかを予習して、実際の現場でその作業を見学。専用の装置を使って規定に達しているかを確認する高力ボルトの現場受入れ検査という重要な作業を間近で見られたのは大変貴重な体験でした。また、施工管理は工事を管理するだけでなく、周辺の美化にまで気を配るのも大事な仕事だと知りました。単位修得を目標としてインターンシップに臨んだ齋藤惟さん(写真右)は、「施工管理の仕事がどういうものか知りたいと思いました。毎日行われる職長会にも参加させていただきましたが、こうして現場の方々と話し合いながら築きあげていくことが大切だと学びました。大学ではできないことでとても有意義な実習です。トラブルが起こった時の対処の仕方など、この経験を将来にも活かせると思います」と手応えを感じていました。ご指導いただいた福島工事課の金澤隆宏氏も期待を込めて、「限られた時間の中で成果を出せるように頑張ってほしい。伸びしろもありそうだ」と言葉を掛けてくださいました。

卒業生との座談会で、更に詳しい業界・企業情報を収集


 3日目には、工事3コースの学生と工学部を卒業した4名の先輩社員の方との座談会も行われました。毎年実施していただいているもので、学生にとっては会社説明会や人事の方には直接質問できないことを聞ける絶好の機会です。「どのようにして就職先を決めたのか」、「残業はどれくらいあるのか」、「工事がないときはどうしているのか」、「入社する際、必要な資格は?」など、様々な質問をぶつけてみました。大城ラウルさん(2015年度卒:写真右)は、直観的に“ここだ”と感じて入社を決めたと言います。また、全国各地で勤務できるグローバル職と特定の地域に留まれるローカル職があったことも理由に挙げました。大渕悠紀さん(2016年度卒:写真左から2番目)は、何がやりたいかわからないまま就活して、希望の職種も途中で設計から施工管理に変わったそうですが、待遇・福利厚生面の良さからも入社して良かったと話しています。先輩方のお話を聞くと福利厚生や勤怠関係のしっかりしている会社には安心感があることが伝わってきました。建築業界は“キツイ”イメージもありますが、働き方改革によって残業時間が少なくなり、振替休日や有給休暇もとれるので、よりよい環境で働けるということです。入社時点で必要な資格はないものの、自分の名前で大規模な建築現場を任せてもらうためには、一級建築士の資格が必須になります。先輩たちも入社後、試験勉強に励んだそうです。そして、これまでの経験から、大切なのは何かひとつでも興味があれば挑戦してみることだとアドバイスもいただきました。こうして、終始和やかな雰囲気の中で、学生たちも建築業界や会社の実情について単刀直入に聞くことができました。これから就職活動を進めるにあたり、自分が何を重視して会社を選べばよいのか、大いに参考になったようです。

 充実した『2020夏インターンシップ』を終えた学生たちは、一回り大きく成長しているように見えました。この経験を活かして、今後の大学での学修や就職活動を悔いのないものにしてほしいと願っています。この場をお借りしまして、懇切丁寧にご指導いただきました大和ハウス工業株式会社福島支社の皆様に厚く御礼申し上げます。