「ロハスビレッジかつらお」にてグリーインフラの構築を目指す
この度、福島県双葉郡葛尾村の復興交流館敷地内に、土木工学科中野和典教授が開発した『ロハスの花壇』が設置され、12月4日(火)に葛尾村にて報告会が行われました。工学部は2015年に葛尾村と包括連携協定を結んでおり、以来復興に向けて様々な支援を行ってきました。また、福島イノベーション・コースト構想促進事業『住民と学生との協働による「ロハスビレッジかつらお」復興まちづくり』の取り組みも進んでいます。この事業は工学部が掲げる「ロハス工学」を住民と学生との協働により村内に実装し、健全で持続可能なまちづくりを目指すことを目的としています。『ロハスの花壇』は、公衆トイレ(みんなのトイレ)の浄化槽排水を高度処理して再生水とし、修景用水として利活用するものです。浄化槽と組み合わせたロハスの花壇としては初の試みとなります。
『ロハスの花壇』は省コスト、省エネルギーかつ
省メンテナンスの再生水利用システム
復興交流館で行われた報告会には、関係者のほか数多くの報道陣が詰めかけ、ロハスの花壇への関心の高さが窺えました。まず葛尾村の篠木弘村長が挨拶され、「かつらお再生戦略プランの具現化に向けた日本大学工学部との連携協定締結後、工学部はロハス工学の観点を取り入れた新たな村づくりに貢献されている。さらにロハスの花壇設置により、工学部との結びつきが一層深まった」と話し、今後益々貢献することに期待を寄せていました。次に中野教授が挨拶方々、日本大学工学部の研究者らによる葛尾村における取り組みについて紹介しました。中野教授は、「ロハスの花壇も作って終わりではなく、その後どのように村おこしに役立てていくかが大事。そのための貢献をしていきたい」と決意を表しました。続いて公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構専務理事の伊藤泰夫氏から当機構についての説明があり、「私たちは大学の取り組みを地域の復興につなげていき、地域を活性化するための補助事業を行っている。工学部には成果をあげていただき、ぜひ来年度も続けてほしい」とエールの言葉をいただきました。
引き続き、今回設置されたロハスの花壇について、スライドを見せながら中野教授が詳しく解説しました。ロハスの花壇は公衆トイレ(みんなのトイレ)の浄化槽排水を高度処理し、再生水として修景用水などに利活用するもので、下水処理と緑化を組み合わせたグリーンインフラの構築を目的としています。トイレの排水を使うため、水遣りや肥料も必要なく、水をくみ上げる最低限のエネルギーだけで稼働する点が大きなメリットです。中野教授は「緑化や景観形成、ヒーリング効果、村の魅力向上、さらには子どもたちの環境教育につながることが期待できる」と示唆しました。ロハスの花壇は、浄化槽から出る排水をポンプでくみ上げ、ゼオライトや砂、活性炭などのろ材を充填した4段の花壇でろ過することで汚水を浄化する仕組みになっています。これまでに、工学部キャンパスや郡山市の湖南浄化センターにも設置されていますが、既存の浄化槽とロハスの花壇を組み合わせたものとしては初の試みです。中野教授はロハスの花壇の強みとして、排水の有機物を微生物に食べさせて処理する方法と違って排水が入らなくても水をきれいに保つことができる点、汚泥が肥料となる点、水をくみ上げる最低限のエネルギーだけで稼働し省コストである点を強調しました。
『ロハスの花壇』を広める拠点として、村おこしに貢献していきたい
最後に、実際に設置されたロハスの花壇に場所を移し、篠木村長と中野教授による植栽を行いました。そこで報道陣を前に中野教授が本活動について説明し、質問にも答えました。
花壇には40種類の花の種が植えられ、四季折々の花を咲かせるそうで、この花壇を活かして葛尾村の住民の皆さまとのガーデニングイベントの開催も計画されています。ロハスの花壇によって、ろ過された水も用意されましたが、透明かつ無臭で、浄化処理能力の高さを証明しました。
今後は、ロハスの花壇を活用した様々なイベントや学生の活動を通して葛尾村の住民の皆さまと交流し、村の活性化に貢献するとともに、ロハスの花壇を広める拠点にしていくことが目標です。中野教授は「少しでも村民に癒しを与え、村の復興の一助になれば」とその思いを語っていました。