機械工学科研究室紹介

エネルギーエンジニアリングコース

サステナブルエネルギー研究室

教授:佐々木 直栄  准教授:田中 三郎  専任講師:宮岡 大

持続可能社会実現の基盤となるエネルギー有効利用技術

kikai_sustainableenergyわが国が独自に開発したヒートポンプ式給湯システム(エコキュート)に代表されるように、わが国のヒートポンプシステムは世界No.1の効率を誇っています。世界に誇れるヒートポンプ技術の更なる高効率化に寄与する研究だけでなく、さまざまな熱源(空気、水、地中など)に対応するための研究にも取り組み、有限なエネルギー資源を持続的に活用できる社会の実現に貢献していきます。

【主な研究テーマ】
●水冷媒の吸収および吸着促進に関する研究
●蓄熱促進に関する研究
●単相流の伝熱促進に関する研究
●各種冷媒の沸騰・蒸発および凝縮促進に関する研究
●電子機器の冷却促進に関する研究
●高性能ヒートポンプシステムに関する研究
●数値計算力学にもとづく流れの可視化に関する研究
●地中熱物性に関する研究
●各種材料の熱物性に関する研究
●ナノ構造材料を用いた熱物性制御に関する研究
●熱電材料の高性能化に関する研究
●積層造形型熱交換器に関する研究
●二酸化炭素を用いた発電システムに関する研究

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エネルギー材料工学研究室

教授:井口 史匡

より優れた全固体電池の実現を目指して

energy_me液体に代わり固体の電解質を用いた全固体電池である固体酸化物形燃料電池や全固体リチウムイオン電池は、優れた性能を示します。反面、固体であるが故に内部で様々な力が伝達され、それによる機械的な破壊、劣化の可能性が高まります。当研究室では、構成材料の機械特性、電池の強度、電池内部に生じる応力、応力下における材料性能の変化等を研究することで、より機械的に優れた特性を持つ全固体電池の実現を目指しています。

【主な研究テーマ】
●全固体電池構成材料の機械特性評価
●次世代固体酸化物形燃料電池の強度評価手法の開発
●応力下における全固体電池構成材料の性能変化に関する研究
●水蒸気電解器の高性能化に向けた研究

【主な設備】
超音波パルサーレシーバー、インピーダンスアナライザー、ポテンショガルバノスタット、セラミックスの試料作製設備一式

【メッセージ】
全固体電池の開発には、機械工学の知識の重要性が年々増してきています。皆さんも私と一緒に機械工学の研究を通じて全固体電池の実現を目指しましょう。

流体システム工学研究室

教授:彭 國義  准教授:小熊 靖之

ロハスのための流体技術

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水中ウォータージェット
(噴射圧力10 MPa)

水のパワーを効率的に利用しモノを切る!
ウォータージェット技術とは、3000から4000気圧ほど圧力を加えた水を小さなノズルから噴出させ、それを材料に衝突させることで切断や穴あけを行う技術です。水に研磨材を混ぜることで、金属やコンクリートなどの硬い材料も加工することができます。加工時に温度の上昇がないことや粉塵の発生がないこと、遠隔操作し易いことなど、他の加工方法にない利点があります。当研究室では、ウォータージェット技術、液体が高速で流動する場合にともなう色々な流れ現象を明らかにするための研究を行っています。

【主な研究テーマ】
●アブレシブウォータージェットの加?性能向上に関する研究
●アブレシブサスペンションジェットを用いた水中切断技術の研究開発
●ウォーターファンジェット流れ場の計測及びノズルの改良
●水中キャビテーションウォータージェットの可視化計測及び数値解析
●アブレシブインジェクションジェットの脈動特性と加工性能
●ウォーターファンジェットの騒音計測

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バイオエンジニアリングコース

マイクロバイオエンジニアリング研究室

教授:片岡 則之

生体の機能を探り、健康に活かす技術開発

kikai_seitaikinoukougaku1生体は、内的にも外的にも、重力や流れ、伸展といった力学刺激にさらされており、これら力学刺激は生体機能の維持や病気の発生に深く関与しています。例えば、心臓は拍動を繰り返し、血管内を血液が流れ、血管もつねに伸縮を繰り返します。全て血管内面を一層に覆っている内皮細胞は血流状態を感知して機能を変化させますが、その機能変化が動脈硬化などの血管病変の発生に深く関わっていることが知られています。ところで、細胞の力学特性は細胞の機能と密接に関わっており、機械工学的な解析が細胞機能の解明に役立ちます。さらに近年、iPS細胞などを用いた組織再生の可能性が示唆されていますが、幹細胞から組織を作り出す際には、必ず機械工学技術が必要になります。本研究室では、「生体の機能」を探り、「健康に活かす技術開発」を目指します。

【主な研究テーマ】
●培養内皮細胞に対する流れ負荷システムの構築
●血管を介したガン転移観察モデルの構築
●血管新生制御のための3次元培養システムの開発
●骨組織再生における力学刺激の影響
●生細胞内構造タンパク質の実時間解析

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生体流体力学研究室

准教授:下權谷 祐児

生体流体力学の研究を通して医療に貢献する

「血管の病気(血管病)」は先進国における主要死因の一つです。血管病はどうやって始まり、どうやって進展し、またどうすればより効果的な治療を行えるでしょうか?当研究室ではそうした医学的課題に取り組んでいます。そのための一つの基盤となるのが、機械工学科で学ぶ流体力学です。なぜなら「血管病」と「血液の流れ(血流)」の間には密接な関係があることがわかっており、これはまさに、管の中の流れを扱う学問である「流体力学」の問題に他ならないからです。当研究室では医療機関等と緊密に連携し、お互いの強みを活かしながら、血管病における血流の役割を明らかにする研究や、血管病の治療を工学的に支援するための研究を行っています。このような医工連携による生体流体力学(生物の体を対象とした流体力学)の研究を通して、機械工学の立場から医療に貢献することを目指しています。

【主な研究テーマ】
●医療データを用いた循環器系の血液流れの研究
●脳血管病の治療機器の評価システムに関する研究
●水中を遊泳する微生物の基礎研究
●細菌と周囲環境の相互作用に関する流体力学的研究

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メカニカルインテリジェンスコース

サステナブルロボットシステム研究室

教授:武藤 伸洋  専任講師 :今林 亘

ロボットを導入した持続的な機械システムの実現を目指して

kikai_susteinablesystemsdesign日本大学工学部サステナブルロボットシステム研究室では、ロボット・センサ・IoT技術を導入して、機械システムの持続可能性を高める研究を行っています。現在日本では、労働人口の減少や機械システムを含む各種インフラ・設備の老朽化が問題となっています。この問題に対して、ロボットやセンサを導入して作業を効率化し、少ない人員で保守や点検、システムの運用を実施可能とすることが急務となっています。また、ロボットがこれまでの工場や倉庫など限られた場所で限られた専門家が扱うのではなく、ロボットの専門家でない人々が容易にロボットを扱うことが必要になっています。当研究室では、ロボットシステムやIoTのシステムを構築するために必要なプログラミング技術、制御技術、ネットワーク技術、ロボットを操作するためのインタフェース技術、さらにはこれらの高度化に必要な機械学習・AIの技術を体得しながら研究を進めていきます。

【主な研究テーマ(武藤研究室)】
●ロボット・センサ技術を統合した遠隔作業支援システムに関する研究
●マニピュレータ・移動ロボットの操作インタフェースに関する研究
●モーションキャプチャによる機器操作の熟練度分析に関する研究
●持続可能性を考慮したエネルギ利用システムのIoT化に関する研究

【主な研究テーマ(今林研究室)】
●脚歩行ロボットの歩行制御に関する研究
●モバイルロボットを用いた隊列走行制御の実現
●モバイルロボットを用いたシープドッグシステムの実現
●制御教育機材の開発

【主な設備】
●3Dプリンター
●光学式モーションキャプチャー
●4脚歩行ロボット:Unitree Go1

3Dプリンタ

motioncapture

unitreeGo1

研究室ホームページ(今林研究室)

計測・診断システム研究室

教授:齋藤 明徳

「ものづくり」をしっかりと支えるために

kikai_keisokushindan2皆さんは粘土細工をしたことがあるでしょうか?粘土の塊から人や動物など様々な造形を作り出すことができます。その工程で、私たちは自分が作業しやすい角度に粘土を置き直したり、その逆に、粘土に対して体の向きを調整したりしながら、作業を進めて行きます。複雑な形状の機械部品を加工するために、これと同じような動作を行う多軸工作機械という機械があります。多軸工作機械は、マリンプロペラや自動車のボディの金型など複雑で美しい曲面を金属材料から工具を用いて削り出します。私たちの研究室では、その性能を向上させるために、1.機械がもつ誤差を評価する方法、2.付加価値を生む加工方法について研究を行っています。

【主な研究テーマ】
●マシニングセンタの位置決め精度の決定因子の解明
●マシニングセンタの直進軸運動誤差が空間精度に及ぼす影響
●バレル工具による表面粗さの生成機構
●切削加工用の工作物フィクスチャの開発
●ウォータジェット加工によるマルチマテリアルの切削特性
●三角測量の原理を用いたレーザ測長の高精度化
●FDM形3Dプリンタの造形精度の評価

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計測・診断システム研究室

准教授:嶋田 慶太

人と社会の役に立つ、機械加工

●機械加工による機能性表面の創成
●噴射加工による3D積層加工
●超伝導加速空洞製造に関する研究

【主な研究テーマ】
●機械加工による機能性創成
●革新的な粒子加速器製造法の開発

【メッセージ】
複数の物理現象が複雑に絡み合う機械加工、それゆえ知識、経験、力業、計算、ときには粛々と単純作業、いろんな能力、技術が役に立ちます。いっしょに皆さんの持つ力を活かせる研究をしましょう!

設計研究室

准教授:岡部 宏

現代社会に求められる新しいモノづくり

kikai_sekkei当研究室では、「これからのモノづくりは、よりパーソナルな視点で展開する必要がある」と考え、使う人の特徴や性格や好みを基盤とした設計手法を模索してきました。たとえば車いすの開発では、使用する人の障がいの部位や程度、目的そして求められる機能は個別事案です。それら特定機能に特化した付加価値を持ついろいろな車いすを試作してきました。また、世に出る製品においても、使い心地が良い、使ってみたいと思うデザインとは何かを解き明かすために、人が受ける五感の外部刺激と意識状態の変化を脳波解析による定量化を試み、人の意識や気持ちといった付加価値をモノづくりに役立てる研究に取り組んでいます。

【主な研究テーマ】
●特定機能を持たせた車いすの開発
●電動キックボードの運動特性と段差乗り越え機構の開発
●人間の五感の変化と意識状態の関係
●人間の意識状態の変化と作業効率の関係

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モビリティソリューションコース

バイオメカニクス研究室

教授:西本 哲也

より安全な自動車社会を目指して

kikai_biomecha当研究室では自動車の安全性能に関する研究を実施しています。現在の自動車の安全性能の評価は、衝突実験用ダミーによって加速度等の物理量を測定し、それより傷害の程度へと換算して行っています。しかし、近年では人体モデルを用いたコンピュータシミュレーションにより新型車の安全性能を解析し、迅速な車両開発を目指す方向にあります。ところが、この人体モデルに必要なヒトの力学特性がよく分かっていないですし、また人体モデルも怪我を適切に評価できるようにさらに開発を行っていく必要があります。私たちは交通事故による被害を最小限にとどめるための研究を行い、より安全な自動車造りを支援していきます。

【主な研究テーマ】
●パーソナルモビリティ車両の運転支援システムの研究
●自動車へ救命機能を搭載するための研究
●安全な機械システムを設計するための人体の衝撃特性に関する研究
●人体傷害のコンピュータシミュレーション
●医工連携による交通事故実態の調査・解析

 

准教授:プラムディタ ジョナス

【主な研究テーマ】
●骨折の発生と形態を予測できるシミュレーション手法の開発
●有限要素法による握り心地の定量的評価法の開発
●人工関節が生体の力学応答への影響に関する研究
●人体モデルによる転倒事故再現と傷害予測に関する研究

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サステナブルマテリアルデザイン研究室

教授:杉浦 隆次

機械工学の視点から少子高齢化、脱炭素社会の未来を見据えた街づくり

kikai_sustanablematerial少子高齢化、脱炭素化が進むこれからの社会では、自動車のEV化をはじめとする多様な電動モビリティの活用は必須となり、電動モビリティが安全に運用できる街づくりを合わせて考えていくことが重要です。そこで、本研究室を中心として機械工学科、土木工学科、電気電子工学科、情報工学科がチームを組み、郡山市や企業と共同で「電動キックボード導入社会実験の共同研究」を実施しています。具体的には、機体の挙動やGPSによる移動データなどを多角的に解析することにより、電動モビリティが安全に使える街づくりの在り方を提案しています。さらに、持続可能な街の実現に向けて、本研究室は土木工学科の研究室や福島県内外の企業と竹筋コンクリート協議会なる団体を発足させ、産学官民一丸となって「竹筋コンクリート復活プロジェクト」を進めております。具体的な活動内容は、コンクリート構造物に使われる鉄筋に代えて竹(サステナブルマテリアル)を補強材として用いる竹筋コンクリートの実用化を目指し、数々の実証試験を繰り返し実施しています。以上のように、本研究室では分野や学科や研究室を飛び越えた協働と地域フィールドワークを大切にしています。

【主な研究テーマ】
●電動キックボードの安全性に関する検証実験
●電動キックボードのシェアリングサービスに基づく利用状況分析
●竹筋コンクリートの竹製補強材の強度評価
●竹筋コンクリートの竹製補強材加工機の研究開発
●ヒトと生活支援ロボットの接触安全性に関する研究

【主な設備】
引張圧縮試験機(容量:50g~10t)、高温クリープ試験機(温度:350~1000℃)、デジタルマイクロスコープ(3次元表面粗さ計測)、マイクロビッカース硬度計、試料表面調製装置(研磨各種)、工作機器一式

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創成学研究室

教授:伊藤 耕祐

ロハスを実現するために機械工学を学ぼう!

kikai_soseigaku健康で持続可能な暮らし方(ロハス)の実現に向けてエネルギーは重要です。コミュニティー全体でロハスを実現するために、当研究室では、建築物やモビリティのエネルギー需給のシミュレーション手法を開発し、様々な統合エネルギーシステムの提案を目指しています。良い技術でも、利便性・経済性や快適性を損なうと普及しません。当研究室が開発した「浅部地中熱ヒートポンプシステム」による空調は、省エネで快適な室内を実現し健康の維持・増進に役立ちます。さらに、災害に強いコミュニティーのために、地震でも揺れにくく室内のお年寄りや家具の転倒リスクが低い「免震」住宅が有効ですが、高価格のため普及していません。当研究室では、摩擦を応用した安価な免震機構の開発を、OBの建築家と摩擦材の専門企業との協働で進めています。

【主な研究テーマ】
●再生可能エネルギーによる給電・給熱および蓄電・蓄熱システムの研究
●建築物やモビリティーのエネルギー需給シミュレーション手法の開発
●建築物の空調(冷暖房・除加湿・換気)の実験とシミュレーション解析
●免震住宅模擬構造物の地震応答特性の実験とシミュレーション解析
●摩擦を応用した住宅用免震機構の開発(摩擦・摩耗の基礎と応用の研究)

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