ESに注力することで自らの指針が定まる。
たくさんのフィードバックをもらって広い視野を持とう

卯木優大さん

情報工学専攻修了
情報ネットワーキング研究室

福島県 郡山北工業高等学校出身

富士通株式会社に就職
2025年4月入社

日本大学工学部の情報工学科を選んだ理由を教えてください。

私が日本大学工学部情報工学科を選んだ理由は、通える範囲内で情報工学を学べる環境に魅力を感じたからです。また、情報系サークルが存在することで、単に授業で知識を吸収するだけでなく、仲間とともに切磋琢磨しながら実践的に技術や知識を高められると感じたためでもあります。興味の赴くまま様々なことに挑戦しましたが、学部2.3年生で将来の道としてどんな選択肢を取れば後悔しないのか、考えあぐねた末、大学院に進むことを決めました。大学院での高度な学問を通じて、将来のことをじっくり考えたかったからです。

工学部で学んで良かったこと、成長したこと、身についたことはありますか。

工学部で学んだ中で特に良かった点は、プログラミングだけでなく、コンピュータやネットワークの仕組みといった情報技術の根幹部分を基礎からしっかり学べたことです。大学院では研究を通じてそれらを応用する力を身につけるとともに、その過程で生じる「分からない」ことに向き合い、克服する方法を学ぶことができました。

就職活動のスタートから内定までのプロセスを教えてください。

大学院1年次

6~11月 Web系メガベンチャー 約2~3社

大学院2年次

3月 学校推薦にて富士通にエントリー
5月 内定

就活で役立ったアイテムや工学部の支援があれば教えてください。また、就活で感じた日本大学工学部の強みはありますか。

エントリー前は情報収集として、日経xTECHなどの業界誌を読んで業界研究をしつつ、OpenWorkで社員直々の口コミを確認することで、企業の実情まで正確に理解するよう努めました。その後のES添削や面接対策については、教員や先輩、就活を先に終えた友人たちなど、とにかく多くの人間にフィードバックを求め、改善を短期間で繰り返し、考えをまとめていきました。自分の考えがしっかり落とし込めていれば、後はありのままの自分で話すことができると考え、ES対策には特に注力しました。

内定した企業を志望したのは、どのような理由からですか?

IT業界の多重下請け問題を、業界トップ企業として本気で解決しようとする姿勢に心を打たれたからです。私は学業のかたわら個人事業主としてWebアプリケーション開発に携わってきましたが、仕様がはっきりしないまま開発が進んだ結果、プロジェクトが大幅に遅延する、いわゆる炎上を幾度も経験しました。そのせいで、学業を犠牲にしかけるほど働いた時期もあります。
こうした経験を通して、IT業界の構造そのものを変えなければ同じ問題が繰り返されると実感しました。富士通は、下請けに頼る体制から脱却し、内製した製品を顧客に直接提案するビジネスモデルを確立しようとしています。これが結果的に業界全体の構造にも影響を与えうる点に魅力を感じました。
私はWeb系メガベンチャーの選考にも参加しましたが、それらの企業は自社のプロダクトを磨き上げることに重きを置いており、業界全体の構造改革に取り組む企業は限られています。その一方で、富士通は自社の枠を超えて業界の変革を進めており、私もこの大きな挑戦の一翼を担いたいと考えて志望しました。

富士通株式会社:新卒採用情報

就職活動を振り返って、成功の決め手や企業が採用を決めた理由は何だと思いますか?

私の就職活動の成功の決め手は、徹底した企業研究をもとに、自分の経験と企業の課題を結びつけ、論理的かつ一貫したメッセージを伝えられたことにあると考えています。
特に、技術的なバックグラウンドだけでなく、プロジェクト全体を見渡せる視点や業界の課題を構造的に捉える力を持っていることを伝えられたのが、内定につながった要因だと感じています。

就職活動で失敗した経験があればお聞かせください。

大きな失敗はありませんが、就活の初期は自分に合わないスタイルで進めていたと感じます。Web系メガベンチャーの選考では、「特定のプロダクトへの共感」が求められましたが、どの企業のサービスにも特別な興味を持てず、違和感を抱えたまま選考を受けていました。
その理由を考えたとき、自分が本当に重視していたのは「どんなプロダクトを作るか」ではなく、「どうすれば良いものを作れる環境を整えられるか」だったと気づきました。実務の現場でエンジニアが疲弊する場面を見てきたことで、「このままでは良いものは生まれない」と実感したからです。
この経験から、自分に合うのは業界全体にアプローチできる企業だと考え、就活の方針を変えました。その結果、最終的に富士通を志望するに至りました。

入社後の目標や将来の夢は何ですか?

入社後は、まずエンジニアとしての技術力を磨きつつ、開発プロセスやプロジェクト運営についての理解を深めたいと考えています。これまでの業務委託の経験を通じて、技術だけではなく、開発環境や業界構造がプロダクトの品質に大きく影響することを実感しました。
そのため、将来的には単にコードを書くエンジニアとしてではなく「より良いものを作るための環境」を整えられる立場で働きたいと考えています。具体的には、開発の効率化やプロジェクトマネジメントの改善、さらには富士通の進める内製化の推進にも関わることで、エンジニアが最大限の力を発揮できる環境づくりに貢献したいです。
将来的には、技術とビジネスの両面から開発をリードできる存在になり、IT業界全体がより良いプロダクトを生み出せる環境を作ることを目指します。

後輩にアドバイスをお願いします。

なるべく多くの人を頼ってください。
就活は一人で抱え込むものではありません。友人、先輩、教員、誰でも構いません。自分の考えを話し、フィードバックをもらうことで、新たな視点が得られます。

日本大学工学部の魅力をあげるとしたら、何だと思いますか。逆に短所・デメリットに感じることはありますか。

日本大学工学部の最大の魅力は、推薦の強さです。特に院卒に関しては非常に強く、大手企業への道が開かれやすいのは大きなメリットだと感じました。
一方で、都会の大学と比べると、就活や業界の最新情報が入ってくるのが遅いと感じることもあります。また、推薦の強さゆえ学生の意欲にばらつきがあり、受け身の姿勢になりがちな人も多い印象です。ただ、その分、自ら動けばチャンスをつかみやすい環境でもあります。

最後に、工学部での一番の思い出をお聞かせください。

研究室で過ごした3年間が一番の思い出です。
特に、指導教員である見越先生のご厚意で、研究以外にも多くの挑戦をさせていただいたことが、大きな経験になりました。その中で、プログラミングコンテストに出場したり、実際に就業経験を積むなど、研究室の枠を超えた活動に取り組むことができました。
研究室によっては「バイトすらやめて研究に専念しろ」という方針のところもありますが、ここまで自由に挑戦させてもらえる環境はなかなかありません。研究だけでなく、実践的な経験を積みながら、自分の興味やスキルを伸ばすことができた3年間は、何よりも貴重な時間だったと感じています。