学生主体のものづくり団体『Lohas ProLab』がメディカルクリエーションふくしま2021『第2回創生アイデアコンテスト』で最優秀賞を受賞しました

『視覚障がい者のためのエコーロケーション装置』が
ヘルスケア製品のアイデアとして高く評価される


この度、メディカルクリエーションふくしま2021『第2回創生アイデアコンテスト』が行われ、『Lohas ProLab(ロハスプロラボ)』が最優秀賞に輝きました。この団体は、ロハス工学センターのプロジェクトのひとつである『ロハスの家群跡地再生プロジェクト』の学生メンバー8名が主体となって運営するもので、学生が学科横断的にものづくりや研究活動を進めていくことを目的に発足されました。その活動の第一歩として、本コンテストに参加。考案した『視覚障がい者のためのエコーロケーション装置』はスマートフォンに搭載されている、レーザー光で対象物までの距離を測定する「LiDAR(ライダー)」機能を活用し、スマホを首に掛けて歩くと、障害物など周辺の状況を感知して音声で教えてくれる視覚障がい者のための補助器具です。新しい技術を用いた解決策で実現性が高い点などが評価されました。3月15日(火)には、工学部本館第2会議室にて、表彰状の伝達式が行われ、メディカルクリエーションふくしま実行委員会(ふくしま医療機器開発支援センター・センター長)の小林利彰委員長から学生たちに賞状と記念品が手渡されました。
根本修克工学部長にも(左から4番目)、春木満工学研究所次長(右から4番目)とともに受賞の報告を行いました。根本学部長は、「工学部としても、とても栄誉なことであり、大変嬉しく思います。学生同士の縦横の繋がりを広げていきながら、これからも柔軟な発想を活かして、積極的に活動していただきたい。みなさんの活躍を応援しています」と学生たちにエールを送りました。園田さんが学生を代表して、「創生アイデアコンテストを通して、学科の垣根を越えた交流の中から価値を見出すという『Lohas ProLab』の活動の意義を体験できたと思います。今後もこのような活動を続けていきたいと思います」と決意を述べました。



それでは、受賞したメンバーの喜びの声とともに、『Lohas ProLab』の活動について紹介します。

学生間で活発に“ものづくり”を推進していくための拠点
『Lohas ProLab』がスタートしました

最優秀賞受賞おめでとうございます。『Lohas ProLab』の活動の第一歩として、素晴らしいスタートが切れましたね。

はい、最優秀賞をいただけて大変嬉しいです。『ロハスの家群跡地再生プロジェクト』の学生メンバーになってから1年半が経ち、こうしてチームとして成し遂げられたことに喜びを感じます。『Lohas ProLab』の学生がどのような活動をしているのかを示すことがコンテストに応募した目的でした。発足して真っ新な状態からの挑戦でしたが、本団体を知ってもらうという意味では、とても良い機会になりました。「創生アイデアコンテストで最優秀賞を受賞した『Lohas ProLab』です!」と言える実績ができたことは、今後の活動を進める上でも大きな励みになります。アイデアから実用化につながるプロセスもわかってきたので、実際のものづくりに活かしていきたいと思います。

エコーロケーション装置のアイデアは遠藤さん発案とのことですが、どのようなものか説明いただけますか。

もともとエコーロケーション装置は、『ロハスの家群跡地再生プロジェクト』のワークショップの中で、新たなロハス工学の拠点づくりのアイデアを学生一人ひとりが発表する機会があり、その時私が考えたアイデアでした。視覚に障がいのある方が街を歩くときに助けになるのは、白杖や点字ブロック、音の出る信号機くらいしかなくて、何か工学技術を使って手助けできることはないかと思ったのがきっかけです。音やレーダーを使えば、目が見えない人も聴覚や触覚で周囲の環境を把握できるのではと考えたのですが、初めはレーダーをどのように使えば有用な装置になるかわかりませんでした。レーダーに関する知識や物理シミュレーションソフトなどを独学で勉強して、どうやったら目的の形に落とし込めるかを少しずつ考えて温めていました。それが、この「LiDAR(ライダー)」機能を活用したエコーロケーション装置です。センシング技術の一つでもある「LiDAR」は、対象物までの距離、位置を計測する光センサー技術で、最新のスマートフォンなどにも搭載されています。このアプリと音の方向・距離・拡がりなどを再生する音響立体技術を組み合わせることで、近い物体は高い音、遠い物体は低い音、また障害物の高さによって音色を変えて、周囲の物体の位置や距離などを認識できます。ステレオ方式を使用し、左右の音量差によってどちらの方向に物体があるのかも知ることができる装置です。

コンテストに向けてはどのように進めていったのですか。

昨年の9月に『Lohas ProLab』が発足し、具体的に行動を起こそうとした時、ちょうど創生アイデアコンテストのことを知りました。健康・医療・介護などを含めたヘルスケアに関する課題解決のためのアイデアを募集していたので、遠藤くんのアイデアともう一つ、手洗いの習慣化をテーマにしたアイデアでコンテストに応募することにしました。ワークショップを行ったり、zoomで資料を見ながら意見を出し合ったりしながら、みんなでアイデアシートをまとまめていきました。ロハスの家1号をLiDARで計測した点群データなどもあったので、それを応用できないかと試みました。このアイデア自体、情報工学的な要素が強いので、土木工学や建築学、機械工学の学生にとっては、いろいろ難しくて試行錯誤しました。実は、最初はおでこに装着するゴーグル型の仕様だったのですが、それだと心理的な弊害もあって誰もつけたがらないという意見が出ました。そこで研究事務課の職員の方のアドバイスや以前にワークショップで出されたアイデアから、現在のスマートフォン型に変更したのです。プレゼンテーションの時はそれをCGにしてわかりやすく説明しました。まとめとして、今後、このようにすれば実証データが取れて実用化できるのではという展望も加えたこともポイントになりました。

どのような点が評価されたのですか。

アンメットニーズが大きい領域に対して新しい技術を用いた解決策を提示した点やアイデアの前提となる問題提起の素晴らしさ、デバイスの具体的なメカニズムの丁寧な説明、アクションプランの検討から予感させる実効性という点が評価されたようです。スマホにしたことは実用化の面でもかなり有効的で、高評価につながったと思います。

今後の目標をお聞かせください。

次世代工学技術研究センターの2階に『Lohas ProLab』の場所を設置していただき、3Dプリンターやレーザープリンターも導入されたので、今後は具体的なものづくりに着手していきたいと思っています。すでに人工筋肉をつくる計画もあります。4月には新入生も入ってくるので、メンバーも増やしていきたいですね。特に研究室に配属される前の1・2年生には、『Lohas ProLab』に気軽に参加してもらって、ものづくりの楽しさ、面白さを体験してほしいと思っています。まずは3Dプリンターやレーザープリンターのワークショップを開いて、そこから得た技術を発展させてコンペやコンテストのアイデアにつなげていけたらと考えています。「Pro」は、「Professional」の他に、前準備を意味する「Prospective」の「Pro」でもあります。新たなロハス工学の拠点ができた時に本格的なLabを始動させる前段階として、学科の垣根を越えた学生間での「ものづくり」を活発化させていくことが、この団体の目的です。さらに、外部の方も参加できるような仕組みづくりも考えています。次年度はSNSを活用した情報発信も行い、私たちの活動を積極的に広報していく予定です。多くの方に私たちの活動を通して、ロハスについても知ってもらえたらと思っています。『Lohas ProLab』は、土木・建築・機械・電気電子・生命応用・情報の異なる分野の学生が集まって、いろいろやりたいこと、面白いことに取り組める、みんなのラボです。みなさんも私たちと一緒に、ものづくりに挑戦してみませんか。

 

現メンバー:
阿部眞也さん(機械工学専攻2年)、園田駿希さん(建築学専攻1年)、髙橋晋平さん(情報工学専攻1年)、佐藤光さん(電気電子工学科4年)、西宮大晴さん(電気電子工学科4年)、齋藤彩葉さん(土木工学科3年)、遠藤龍世さん(機械工学科3年)、成田颯さん(土木工学科2年)、

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