「建築学」の学びを極め、大学で教授をしている
建築のセカイについて、キョージュの元で勉強に励む大学生頭の芽から花を咲かせることが目標
建築のセカイに興味があり、日々身の周りにある建築について探究する、好奇心旺盛な高校生
子ども会や地域の行事でコミュニティセンターや児童館、公民館に行ったこと、ありませんか?名前やできることに違いはありますが、どの施設も日常的に「利用できる」「人が集まる」ための場所。育児サークルや放課後の遊び場などの役割も持っていて、まちの中の居場所、子どもからお年寄りまでみんなの「よりどころ」と言えるでしょう。最近では、地域を活気づけるための「まちなか拠点施設」として、その地域の特性を活かした公共施設が数多く建てられています。イベントを催すためのスペースも確保されるなど、建築が新たなコミュニティの場をつくりあげているんです。
コミセンは文化やスポーツ、子育て支援など様々な用途につかわれていますよ
復興の拠点施設として2018年に開館した『葛尾村復興交流館あぜりあ』。葛尾村と包括連携協定を結んでいた工学部では、復興の拠点施設として整備が進められてきたこのコミュニティセンターの建築計画と運営にも携わりました。木材を縦に並べてパネル化する縦ログ構法の他、村民に愛された古民家の廃材も利用し、新しさの中にも木の温もりと歴史を感じられる地域のシンボルとして親しまれています。住民活動を継承していく交流の場には、工学部の学生たちも参加。産学官民連携による健全で持続可能な地域づくりを目指す『ロハスコミュニティ』が実装されているのです。
学生さんも地域づくりに参加できるんですね!
「建築計画研究室」では、学生が地域連携プロジェクトに関わって、実践的に学んでいるんですよ。
図書館、美術館、博物館・・・「これなんだろう?」と好奇心や想像力を刺激してくれる「知の宝庫」。地域の教育、学術、文化の発展に貢献する施設です。貴重な収蔵品に触れることはもちろん、建物そのものも必見!著名な建築家が手がけた独創的なデザインの外観や庭園を持つもの、スタイリッシュなガラス張りのビル型、古民家を利用した屋外融合型など、建築スタイルも多種多様です。中には長い歴史を刻んできた重要文化財指定の建物もあります。建物を見ただけで、ワクワクするような魅力的な建築にも注目です!
図書館、美術館、博物館を「まぜまぜ」にした施設もあるそうですよ。
ここでは「開かれた美術館」をテーマに、建築というハードの面に加えて、設計者選定を含む企画や計画・設計の過程・運営などのソフトの面から探る研究が行われています。建築界だけでなく美術界などの情報を通して、戦後の日本の公立美術館建築がどのように展開されたのかを解明することで、20世紀後半の日本の公共建築の変容の一端を探ることが狙い。刊行物を中心に、美術界の文献、公立美術館で資料調査など具体的な事例について「何が」「どう」開かれたのかを、ハード・ソフトの両面から探っているユニークな研究です。
歴史を探ることで、建築物に込められたつくり手の思いもわかってくるんですね!
「建築歴史意匠研究室」では、日本の建築技術や建築士法というものがどのようにして確立されてきたかも紐解いているんですよ。
コンパクトシティって聞いたことありますか?人口減少と少子高齢化が進む中、暮らしやすくて持続可能なまちにするために、実現が期待される「小さなまち」のことです。昔ながらの商店街からショッピングモールまで「まちなか」の再開発には商業施設とともに病院や子育て応援施設、集合住宅が計画されることも増え、コンパクトで活気のある地域づくりをめざそうとしています。「地域の顔」である古い建物や街並みを活かして、自分が住むまちへの愛着を持ってもらおうという例も。一軒一軒の戸建て住宅や公営住宅も、街並みに溶け込むようなデザインや設計を取り入れるなど、建築デザインには地域らしさを創り出す役割もあるんです。
景観地区に立つ家は、街並みに合った色やデザインにするように法律で決められているんですよ
『地方創生・観光をする拠点』として、いまや全国1,200か所以上で展開されている「道の駅」。道路利用者への安全で快適な道路交通環境施設として利用されるだけでなく、地域コミュニティとして、さらには「防災道の駅」として取り組みを進めている自治体もあります。ここでは、道の駅の持つ機能と集客・売上との関係性と、モデルとなった施設の取り組みの特徴についてヒアリング調査などを行うとともに、最も整備が急務とされる「防災道の駅」についての取り組み状況と課題を明らかにし、今後の道の駅の在り方について提案しています。
わたしのまちにも、防災道の駅があったら安心です!
「都市計画研究室」で進めている道の駅の研究は、自治体と連携して進められているもので、実社会の課題に直結した研究なんですよ。
現在、世界で一番高い建物は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにある『ブルジュ・ハリファ』。高さは828mで、オフィスやホテル、レストラン、展望台などが備わっています。これを超える超高層ビルの建設も計画されているそうですから、いつか、ビルの屋上から富士山の頂上を眺める日が来るかもしれませんね。こうした超高層ビルは、建築の世界では都市景観の一部として、また技術革新の象徴として注目される、ランドマーク的な存在。そこには構造や材料といった建築技術の進歩が大きくかかわっています。
日本では、建設中のTorch Tower(トーチタワー)が最も高い385mになるそうですよ。
高い建物になればなるほど、簡単に取り壊すことは難しくなります。たび重なる大地震を経験した日本は、耐震技術に磨きをかけ、地震に打ち克つ建築をつくりあげてきました。そして、耐震改修も広く普及した今、建物の長寿命化が進んでいます。ここでは、100歳を超える鉄筋コンクリート造建物の一生を予測することを目標に、実験と高度な数値解析を駆使した研究を行っています。年を重ねていくと建物の環境や状況によって、目には見えない変化が構造にも影響を及ぼすかもしれません。そんな「構造」の枠を越えて、建物の新たな性能を発見することに挑戦しているのです。
巨大地震が起こっても壊れない建物をつくるための研究なんですね。
「鉄筋コンクリート構造デザイン研究室」では、100歳を超える鉄筋コンクリート造建物の一生を予測する研究もしているのです。
人間が消費する物質の中で一番量が多いのは、水。そして2番目に多いのは、なんとコンクリートなんです。建築土木工事の材料として幅広く使用されているコンクリートは、「自由な形のものが作れる」「火に強い」「耐久性が高い」など、多くの利点があります。一方で「引張りに対する抵抗性が小さい」「ひびが入りやすい」という弱点もあります。それらを補うための様々な工夫がされています。
近年、CO2を吸収するコンクリートやコンクリートに塗るだけでCO2を吸収できるSDGsな材料も開発されていますよ。
ここでは、「自己治癒コンクリート」の開発を行っています。ポイントはバクテリアとその餌となるポリ乳酸。これらをコンクリートに配合しておくと、ひび割れが起こった時に割れ目から浸透した水と酸素でバクテリアが目を覚まし、ポリ乳酸を食べることで、炭酸カルシウムができてひび割れを埋める仕組みになっているんです。コンクリートが生き物のように自分で傷を治し、健康で長生きするなんて、まさにロハスコンクリートですね。
人工物の建物を自然界の微生物が治しちゃうなんて不思議ですね。
「鉄筋コンクリート(RC)構造・材料研究室」ではコンクリートに電気を溜める研究も行っているんですよ。
森林資源が豊富な日本では、古くから木造建築が用いられ、現在では低層住宅の8割以上が木造だそうです。日本のような高温多湿の気候でも快適に暮らすことができるメリットがあるだけでなく、木造は建築時に炭素排出が少なく、木は炭素を固定し貯蔵する特性があり、近年、脱炭素社会実現に向けて大規模な建築物も木造にする動きが見え始めているんです。東京の日本橋に2026年完成予定の国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビルでは、積極的に保有林の木材を活用し、国内初適用となる木造・耐火技術を多数導入するなど、次世代の環境配慮型オフィスビルとして注目を集めています。
1300年も建ち続けている世界最古の木造建築「法隆寺」は、日本で初めて世界文化遺産にも登録された貴重な建築物です。
ここでは、木材を縦と横に交互に重ねて厚いパネル状にしたCLT (Cross Laminated Timber)やWOOD.ALCといった多様な構造材や、縦ログ構法などに着目して調査研究を進めています。欧州で開発され、近年、日本でも普及し始めた新しい構造材のCLT。地震の多い日本でも安全なのか、特に壁としてのCLTパネルとその接合部のせん断強度は、構造設計にとって重要なポイントになります。実際に試験体を使ってせん断強度を測定する実験を行い、検証するための研究も行われています。
木を重ねてつくると、強さが増していくように思います!
「空間構造システム研究室」では三角形のトラス構造の強さの秘密も探っているんですよ。
みなさん、「バリアフリー」って知っていますか?知っている人も多いかもしれませんが「高齢者や障がい者が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去する」という意味があり、住宅建築用語として登場した言葉です。それでは「ユニバーサルデザイン」はどうでしょう?「身体能力の違いや年齢、性別、国籍などに関わらず、すべての人が利用しやすい」を目指してつくられたデザインのことです。近年、各自治体でも人にやさしいまちづくりが進められ、公共施設から一般住宅まで、至るところに「ユニバーサルデザイン」が導入されることで、誰もが安心して過ごせる空間を提供できる、というわけです。
観光業界でも、“ユニバーサルツーリズム”の実現をめざした取り組みが進められているそうですよ。
ここでは、医療施設のほか、高齢者や障がい者の住まいや施設などを訪れて、利用者や支援に携わる専門職の方々へのヒアリングや観察、アンケート、実測、図面による建築特性の分析などを通じて、人と環境との間に潜在するバリアを客観的に分析しています。北欧の医療・福祉建築など国内外の先進的なシステムの特徴にも着目。建築学と社会福祉学の知見をベースに、ユニバーサルデザインやまちづくりの視点から医療・福祉住環境の改善プロセスに関する研究を実践しています。
建築って建物を建てるだけじゃなく、使う人のことも考えているんですね!
「医療・福祉建築デザイン研究室」では、電動車いすや介護用電動アシスト車、白杖を使って、実際にどんなバリアがあるのか実験もしているんですよ。
一つの建物に大勢で暮らすマンションでは、居住者の間でトラブルが起こることも少なくありません。中でも最も多いのが「生活音」に関するものだそうです。しかも、新しく造られたマンションほど生活音トラブルが多いという驚くべき傾向が続いています。不快と感じる音であれば大きな音でなくても強いストレスの原因になり、病気になることもあります。快適な空間をつくるために、建築物の用途に応じた音環境をつくることはとても重要な要素。建築のセカイでは、こうした居住空間を取り巻く騒音を遮断する「騒音制御」、音楽ホールなど音を重視する空間での響きを調整する「音響設計」といった、音に特化した分野もあるんですよ。
音を非常によく反射させる素材は、石だそうです。「石造建築」の教会で聴く讃美歌に感動するのはそのせいかもしれませんね。
「人は空間の中で何を、どのように感じて、どんなふうに活動するのか?」という問いを出発点に、環境心理学や音響工学の視点から、健康で快適、そして魅力あふれる建築環境を目指して研究を進めている社会音響学研究室。住宅や公共施設、ワークプレイスなど様々な建築環境を対象に、環境騒音による睡眠への影響やウイルス感染症のリスクを音の情報から予測する新しい方法論の開発といった、人の認知や感性から環境をデザインする幅広いテーマに挑戦しています。
目には見えない音も建築設計にかかわってるなんて、建築って奥が深いんですね。
「社会音響学研究室」では、鉄道駅構内のアナウンスに関する研究も行っているんですよ。
風景とよく似た言葉に、景観という言葉がありますよね。目に映る景色だけでなく、そこから感じ取る印象や、町の雰囲気までを含めたもの、それが景観と考えられています。海や山、河川などの自然や風土、市街地、田園、沿道、眺望などの要素から成り立っている景観は、それを支えている地域の歴史や文化などが積み重ねられてつくり出されたものと捉えることもできます。そこで、地域の特色を活かした景観まちづくりを通して、地方創生や観光振興につなげようとする取り組みが全国各地で行われているのです。
郡山市ふれあい科学館22階にある展望ロビーからの眺めも絶景スポットですよ。
フィールド調査から得られた情報を元に、居心地のよい空間・環境づくりに関する調査研究活動を行っている住環境計画研究室。地域に住み続けるために、次世代に継承すべき地域の大切な資源をいかに遺していくのか、震災を経験した福島から発信すべきことを常に意識して、地域に根差した活動を展開しています。景観学習もその一つ。次世代を担う子どもたちに「まち」や良好な「景観」に対して関心を持ち、景観やまちづくりへの意識を高めることを目的にした白河市の取り組みに、住環境計画研究室が協力し、プログラムを遂行する形で携わっています。
城下町だった白河市には歴史的な文化遺産もたくさんありますね。
この白河市の景観学習は、国土交通省の「都市景観大賞」景観まちづくり活動・教育で優秀賞に輝いていますよ。