温度センサーを搭載したウェアラブルデバイス
製品開発に貢献する成果に注目が集まる
この度、電気電子工学科村山嘉延教授はパナソニック株式会社で生活家電を手掛けるくらしアプライアンス社と連携し、就寝中に腹部周辺の衣服内温度を計測することで女性特有の月経リズムを把握できることを実証しました。村山教授は生殖医療領域における卵子からヒトまで生命の健康を見守るための研究を行っています。生体データ解析を専門とし、就寝時腹部皮膚温を用いた排卵日予測の研究も進めています。開発された小型ウェアラブルデバイスの活用によって簡易に月経リズムを把握することができ、女性のQOLと社会的生産性の向上に繋がるものと期待される技術です。この成果を基に、パナソニック社は年内の製品化を視野に検討を進めています。
試作した機器は約4センチ四方で厚さは約1.8センチ、重さ22グラム。下着を挟むように装着するだけでスイッチが入り、寝ている間に衣服内の温度を測定し、そのデータを保存します。研究では女性44人に3カ月間毎日、機器と基礎体温計での計測などを依頼。機器でも温度が低めと高めの時期の「二相性」を確認することができ、その移行時期も基礎体温と差がないことが分かりました。
昨今、社会全体で女性特有の健康課題に向き合おうとする意識の高まりとともに、フェムテック(Femtech)に注目が集まっています。フェムテックとは女性(Female)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語で、女性が感じている健康上やライフステージにおける課題の数々をテクノロジーの力で解決するための製品やサービスを指し、さまざまな製品が開発されています。
村山教授は「今回の研究により、就寝中の衣服内温度で女性の月経リズムを把握できることが確認されました。衣服内温度は就寝中に自動で測れるため、無理なく習慣化できる可能性があります。また自分の月経リズムを知ることで、日常のケアも変化する可能性があります。体調の変化と上手くつきあうことで、毎日をより健やかに過ごせる女性が増えることを期待しています。」と語りました。
今後の製品化並びに更なる研究開発が待ち望まれています。
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