2017年度日本機械学会フェローを受賞しました

『技術と社会部門』での功績が高く評価される

 この度、機械工学科の佐々木直栄教授が『2017年度日本機械学会フェロー』を受賞しました。2017年度に創立120周年を迎えた一般社団法人日本機械学会は、技術社会の基幹である機械関連技術に係わる技術者、研究者、学生、法人で構成されており、日本最大級の学術専門家を有する権威ある団体です。機械に関する広い学術分野をカバーする22部門と地域の活性化活動を中心に行う8つの支部があります。1999年にフェロー制度が導入され、これまでに学会を代表するにふさわしい技術者として約1,500名のフェローが認定されています。佐々木教授は機械および機械システムとその関連分野における顕著な功績によりフェローに推挙され、理事会において承認されました。
佐々木教授に喜びの声とともに、本会におけるこれまでの活動についてお話を伺いました。

 

 

―フェロー受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 ありがとうございます。これまで支えていただいた日本機械学会の皆さまのおかげであり、心より感謝の意を表します。私は2009年度までの21年間は企業に籍を置き、主に熱交換器材料の研究開発に従事しました。2010年4月から、縁あって、母校である日本大学工学部の教員として教育・研究活動に従事することになりました。その後、日本機械学会においては、特に『技術と社会部門』での教育活動等を通して運営に寄与してまいりましたが、その活動が認められたのであれば、大変光栄に存じます。フェローの名に恥じぬよう、より一層努力し、今後も学会運営・事業展開を支援していきたいと思っております。

 

―どのような活動が評価されたと思われますか。

2012年度から3期にわたり、日本機械学会の『技術と社会部門』の幹事として部門運営に携わりました。任期中には、本部門が主催する『新☆エネルギーコンテスト』の開催を福島原発事故から力強く立ち上がろうとしている福島県郡山市に誘致し、日本大学工学部での開催を実現させました。その後は不定地だった開催場所を郡山市に定着させ、日本大学工学部が共催としてコンテストの運営も担っています。そうした実績が認められてか、2016年度には『技術と社会部門』の部門長を拝命いたしました。これまでの部門活動を継承するとともに、“社会”が望む“技術”に関する情報を的確なタイミングで発信することが本部門の役割であると捉え、積極的に情報発信を行いました。また、この年に行われた『第9回新☆エネルギーコンテスト』では、開催地と韓国とのウェブ中継、ポスター展示による国際交流部門を企画・実施しました。地元福島の高校生も参加するようになり、若い世代に対してエネルギー問題への関心を高めたことも評価された点ではないかと思っております。

 

―新☆エネルギーコンテストについて詳しくご説明いただけますか。

このコンテストは、『技術と社会部門』が主催するイベントとして2008年に始められた、大学・高専の学生を対象とする「エネルギー利用に関する」新しいコンテストです。いわゆる再生可能エネルギーを指す用語として使われている「新エネルギー」と区別するために「☆」が付いています。エネルギー問題や地球温暖化問題を解決するためには、学者や技術者以外の一般の人々にも「エネルギー」という概念を身につけてもらう必要がありますが、まずは教育機関である大学・高専から啓蒙活動をスタートさせました。「新☆エネルギーの有効な利用方法を考えてみましょう!」をテーマに、展示・実演部門とポスター部門を設けて、斬新かつユニークなアイディアを競います。近年はショートプレゼンテーションを取り入れ、アイディアをアピールできる機会も設けました。各部門の優秀作品には協賛企業より賞状と副賞が贈られることもあり、学生は高いモチベーションで臨んでいます。特に展示・実演部門に力を入れている我がサステナブルエネルギー研究室の学生たちは、試行錯誤しながらも、ものづくりを楽しんでいるようです。また、機械工学科では2年次のカリキュラム『ロハス工学』の課題として取り入れており、優秀者はコンテストに参加できるチャンスもあります。エネルギー問題について考えさせるだけでなく、若い人たちの夢を応援するコンテストとも言えるでしょう。

 

―今後の目標についてお聞かせください。

工学部が推進する「ロハスの工学」は、これからの社会に役立つ技術を考えるという点において、『技術と社会部門』と方向性が合致しています。技術教育としてもユニークな「ロハスの工学」を積極的にアピールし、学会や社会にも広めていきたいと思っています。また、『新☆エネルギーコンテスト』の運営を通して、エネルギー問題に関する啓蒙活動に尽力するとともに、これからの時代を担う技術者の育成にも寄与してまいります。

 

―ありがとうございました。今後益々ご活躍されますことを祈念しております。

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