丈夫で長持ちする道路をつくろう！

道路は地域の最も基礎的なインフラ。全国を結ぶ道路ネットワークのおかげで、私たちは自由に移動したり、物を運んだりすることができます。中でも日本の高速道路は、多様で複雑な地形、気候、災害などに対応できる世界トップレベルの安全性・技術力を誇っていると言われているんですよ。しかし、近年、高度経済成長期に建設されたインフラの老朽化が社会問題となっています。道路ネットワークを持続的に機能させるためには、耐久性・耐震性に優れた道路をつくり、効率よくメンテナンスしていくことが大切です。

環境にも配慮！副産物を利用した高度な技術で
インフラの長寿命化を目指す

ここでは、道路の維持管理の効率化・コスト削減のために、火力発電所から排出されるフライアッシュを使った連続鉄筋コンクリート舗装の技術開発を進めています。従来よりも耐久性を高めたコンクリート舗装を適用することで、道路構造物を長持ちさせることができるかも、と期待されているんです。秋田県能代地区の自動車専用道路での現場実装による実験も行われるなど、実用化に向けた研究が着々と進められています。また、全国でも数少ないアスファルト舗装の研究も行われているんですよ。

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高速道路の渋滞が起きるポイントと対策！

行楽や帰省シーズンになると、テレビでよく見る高速道路の渋滞のニュース。工事や事故でもないのに、どうして渋滞が起きてしまうのか、不思議ですよね。渋滞が発生しやすいポイントは下り坂のあと上り坂になっている場所やトンネルの入り口、インターチェンジ合流地点や料金所の周辺など。そんな高速道路での渋滞を避けるコツは、渋滞予測を活用することです。過去の統計やリアルタイムの交通情報による予測をはじめ、今ではAIを活用した渋滞予測も行われています。

事故発生時の交通状態推定手法を開発

交通渋滞や交通安全といった道路上の交通全般の問題に取り組む交通工学。社会インフラの計画と運用のために必要な学問分野です。ここでは、交通、気象、地理情報、SNS、維持管理記録などの様々なセンシングデータを解析して、ネットワーク交通流の状態を予測したり、災害時に安全で円滑な交通網を維持するためのモビリティ支援対策の研究を行っています。また、センシングデータを使って突発的な事故発生時の予期しない交通状態を推定するモデルを確立し、高速道路の監視システムに役立てようとしています。

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老朽化する橋のメンテナンスが重要な課題

交通の便をはかるため、河川・渓谷・運河道路などの上にかけ渡す橋。日本は近代化に伴い、19世紀の終わりくらいから西洋の技術を取り入れて橋の建設に力を入れてきました。現在では、大小あわせて全国に約73万本の橋が設置されています。しかし近年、老朽化が課題となっている全国の橋で、5年以内に修繕や撤去が必要だと判定されたもののうち、およそ1万本で対策が行われていないことがわかりました。どんどん歳を重ねていく橋。今後益々、維持管理が重要視されていくでしょう。

橋の劣化メカニズムを解明し、鋼橋の維持管理を目指す

高度経済成長期に大量に建設された道路橋の老朽化が急速に進行する中、橋梁の寿命を延ばし適切に維持管理していくためには、橋梁の構造特性をよく知る必要があります。でも、橋の内部を観察することは難しいですよね。そこで、コンピュータシミュレーションを駆使して、橋梁のモデルを作成し、正常な橋と老朽化した橋の振動の違いを数値計算で明らかにする研究を行っている橋梁工学研究室。レーザーやアクティブサーモグラフィを使った非破壊検査による解析方法にも取り組んでいます。

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多面的な機能をもつ「池」を見直そう

ため池って知っていますか？主に農業用水を貯水する目的で人工的に作られ、全国に約16万カ所もあるんです。地域の農業を支える貴重な水源として、また降雨時の洪水調節、動物や植物が生育する場や人々が安らぐ空間の提供など、多面的に機能を発揮してきました。江戸時代以前に造られたため池の老朽化、農業者の減少に伴って管理不足の池が増えたことも課題となり、対策が急がれています。廃止を検討する池も多い中、防災ため池として近隣住民の協力やICT機器の活用で管理の負担を軽減し、池の可能性を広げようという取り組みが全国各地で進んでいます。

産学官民、力を合わせて「ロハスの池」をつくろう！

工学部に隣接する「古川池」は阿武隈川の増水に備えた調整池です。いま工学部では、古川池に適した水環境の創出を目指して、地域住民(古川池愛護会等)、行政(郡山市)、企業の産学官民連携で「古川池の持続可能な防災親水公園化プロジェクト（ロハスの池プロジェクト）」を推進しています。工学部の学生や近隣高校の生徒達も加わって、ロハスの浮島（植生浮島）による水質浄化効果の検証や池干しなども行い、池独自の特徴を活かしつつ治水・利水・環境保全の機能を引き出すとともに、全国で活用されずに埋もれている池の再生を目指します。

工学部に隣接する「古川池」は阿武隈川の増水に備えた調整池です。いま工学部では、古川池に適した水環境の創出を目指して、地域住民(古川池愛護会等)、行政(郡山市)、企業の産学官民連携で「古川池の持続可能な防災親水公園化プロジェクト（ロハスの池プロジェクト）」を推進しています。工学部の学生や近隣高校の生徒達も加わって、ロハスの浮島（植生浮島）による水質浄化効果の検証や池干しなども行い、池独自の特徴を活かしつつ治水・利水・環境保全の機能を引き出すとともに、全国で活用されずに埋もれている池の再生を目指します。

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自然の力と工学技術を組み合わせた人工湿地で水質浄化

自然には、大気や河川・湖沼、土壌などの汚染を浄化する自浄化作用と呼ばれる機能があります。持続的な低炭素社会を実現するためには、その機能をうまく活用することが必要不可欠です。微生物と植物の水質浄化の仕組みを利用した「人工湿地」は、自然の湿地とは桁違いの水質浄化能力を付加することに成功した半自然的な汚水処理システム。人工湿地は主にヨーロッパを中心に生活排水や産業排水などを経済的に浄化する手法として用いられてきましたが、近年日本でも利用されるようになり、今非常に注目を集めています。

「ロハスの花壇」が産学官民連携で社会実装をめざす！

工学部では人工湿地の技術を使って下水処理を行う「ロハスの花壇」を開発。郡山市との下水道事業に関する連携協定を結び、郡山市湖南浄化センターで「ロハスの花壇」の実証実験を行っています。自然が営む物質循環を利用することで、最小限のエネルギーで廃水処理が行えるだけでなく、老朽化した下水道施設の維持・循環型社会に貢献する、持続可能な下水道の構築に役立つ技術なのです。

工学部では人工湿地の技術を使って下水処理を行う「ロハスの花壇」を開発。郡山市との下水道事業に関する連携協定を結び、郡山市湖南浄化センターで「ロハスの花壇」の実証実験を行っています。自然が営む物質循環を利用することで、最小限のエネルギーで廃水処理が行えるだけでなく、老朽化した下水道施設の維持・循環型社会に貢献する、持続可能な下水道の構築に役立つ技術なのです。

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農業と土木が合体した防災の取り組み

田んぼがもともと持っている稲作のための貯水機能を高め、大雨が降ったときに一時的に水を貯めることでその地域や下流域の洪水を緩和させる取り組み、それが田んぼダムです。流出調整板を取り付けて排水量を抑制したり、あぜの高さを上げたり、スマートICTを取り入れたりして、貯めた雨を「ゆっくりと」排水し、排水路や河川の水位上昇を抑えます。この田んぼダムを通じて地域の農業や防災・減災への理解を深め「流域治水」を推進しようというものなのです。

気候変動を見据えて、河川流域をマネジメント

阿武隈川の洪水、郡山市の内水氾濫をはじめ、海外のフィールドまでを対象に、河川流域の水資源の管理や水災害対策について研究を進めています。田んぼダムの実証試験もその一環。郡山市や須賀川市と連携し、地域課題の解決を目指しています。今後予想される気候変動に向けて、現地調査、リモートセンシング、数値解析の技術を利用した河川流域のマネジメント（計画・管理）という分野は、災害に強い地域づくりへの貢献が期待されています。

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地すべり対策にもDX^※の波

※DX（デジタルトランスフォーメーション）…デジタル技術を活用して、社会環境の変化に適応し、製品やサービス、ビジネスモデル、業務、組織、企業文化などを変革すること。

近年台風の上陸や局地的な集中豪雨が増え、それに伴う土砂災害のニュースを頻繁に見聞きするようになりました。土砂災害は主に3種類。「がけ崩れ」「土石流」「地すべり」。どれも大きな原因は「水」と「土」の関係です。ハザードマップを国が発行しているように、土砂災害が「起きやすい場所」の周知は進んできています。さらにこの災害を察知するシステムを導入する自治体が増えるなど、人的被害を減らす取り組みが進んでいます。避難のタイミングを知り即行動に移せるような意識を持つことで地区の防災活動に活かそうとしているのです。

土の『顔』を知ることで地すべりのメカニズムを探る！

斜面で生じる地盤災害を中心に、国内外問わず、世界各地のフィールド観察と実験室での結果とのリンクを目指しています。地盤災害のメカニズムを解明するには現地の「土」を知ることが重要。災害が起きた土地から採取した粘度を圧縮し、強度の評価を行っています。ハザードマップなど事前の対策、実際に動いているときの抵抗面の評価、事後の調査といった3つのステージに分けて、地すべりのメカニズムから対策まで幅広く研究を進めています。

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地震や集中豪雨がもたらす盛土崩壊

盛土は、地盤の高さを上げるために土を盛る土木工法です。盛土崩壊は、盛土内への地下水の供給が排出機能を上回った場合に発生します。また、雨水が浸入すると飽和領域が拡大し、盛土の力が低下することも原因となります。十分に締め固めておかないと、地盤が軟弱となり、建物が斜めに傾いて沈む「不同沈下」や、地震や盛土の重さによる「地すべり」が起こりやすくなるのです。土石流などで盛土とともに建物が流されたり、道路が寸断されるといった災害リスクを軽減するためにはどうしたらよいのか、その対策が重要になってきます。

多種多様な自然材料でできている地盤の性質を知る！

近年災害が多発する山間部の斜面や都市に広がる軟弱地盤を対象とし、斜面崩壊や砂地盤の液状化などに関する研究に特に力を入れています。盛土滑動崩落メカニズムを解明するために、振動台を使って模型盛土斜面の崩壊実験を行っています。また、都市開発に伴う軟弱粘性の土地盤沈下や地震に伴う液状化による地盤沈下にも着目。現地調査や室内実験そして数値解析など多角的に研究を行い、地盤災害を軽減することを目指します。

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自然素材である竹を活用した環境に優しいコンクリート

戦争で鉄不足だった大正から昭和初期にかけて考案された「竹筋コンクリート」。鉄筋の代わりに竹を補強材として使う工法で、いくつか試験的に施工された構造物の一部は現存しているそうです。そして近年、竹害、獣害などで問題となっている放置竹林を地域の財産に変える、大きな社会循環型プロジェクトとして「竹筋コンクリート復活プロジェクト」が立ち上がりました。幅広い分野の産学がタッグを組み、地域の自然素材である竹材を有益な素材に変え、環境に優しいSDGｓなコンクリートとして地域の人々や自治体と共に活用を図る挑戦が始まっています。

竹を地産地消、産学官民が協働で取り組む身近なインフラ

土木工学科と機械工学科が連携し、福島・山形の企業等５社が参画して竹筋コンクリート協議会を発足。これまでの研究結果から、鉄筋コンクリートの６０～７０％の強度で実用化できることを確認、JIS規格に適合する荷重データも取得しました。現在、製品化に向け、福島県南会津町の約７０メートルにわたる休耕田に農業用水路用として竹筋コンクリート製の排水溝(Ｕ字溝)を設置し、実証試験を進めています。近い将来、身近なインフラに当たり前のように竹筋コンクリートが使われるようになっているかもしれませんね。

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