Energy Lab
エネルギー材料工学
研究室
教授:井口 史匡


より優れた全固体電池の実現を目指して
化学エネルギーと電気エネルギーを変換可能な電池には、使い切りの電池、充放電が可能な二次電池、継続的な発電が可能な燃料電池があります。二次電池の代表例がリチウムイオン二次電池(LiB)、その高性能化がドローン、スマートフォン、電動飛行機等を実現させて来ました。また燃料電池により再生可能エネルギーから水素、メタン、アンモニア等の直接合成が可能になると期待され、電池の高性能化はこれからの社会において大変重要な意味を持っています。電池の高性能化に向けたキーワードの一つが全固体電池です。全固体電池は、電池を構成する部材が全て固体であり、電池性能、安全性、化学的な耐久性で大きな有意性を持っており、特にLiBにおいて液体電解質を固体電解質に変えた全固体化が様々な企業で盛んに研究されています。ただ、残念ながら、固体は物理的に壊れてしまうため(機械的な破壊)、機械的な耐久性をどう確保するのかが重要となります。当研究室では、機械工学、特に機械材料学と材料力学を元に、構成材料の機械特性、電池の強度、電池内部に生じる応力、応力下における材料性能の変化等を研究することで、より機械的に優れた特性を持つ全固体電池の実現を目指しています。

研究テーマ
- 全固体電池構成材料におけるひずみ効果の研究
- 全固体電池構成材料の機械特性の研究
- 全固体電池における残留応力発生メカニズムの研究
- 全固体電池における残留応力と電池性能についての研究
- 地中熱利用ヒートポンプシステムの高度ローカライゼーション
実験設備・装置
- 粉体プレスを元にした等方圧印加装置
- 弾性波による微小ひずみ印加装置
- 電気化学測定システム(ソーラトロンSl1260、Sl1296、Sl1287)
- 真空置換型グローブボックス(ユニコUN-650L)
- 機械特性評価装置(弾性率、固さ)
- 地中熱用ヒートポンプ評価システム(長府製作所GSHR-0630-UR)
- 計算機シミュレーションソフトANSYS
- 3DプリンターDa vince nano W
- 各種電池

電池の高性能化がどれだけ世の中を変えるか、それは皆さんのスマートフォンや多くのドローン等を見ればわかると思います。皆さんが想像するように電池は化学の世界の産物です。だからこそ、壊れにくく長持ちする電池を作るのに機械工学の力が必要になってきます。電池の機械的研究を専門にしている研究室は日本では我々だけです。ぜひ、私達と電池の高性能化を目指しましょう。