機械工学科2年の山本環さんが第33回自動車技術独創アイデアコンテストで最優秀賞を受賞しました

自動車づくりを目指すモビリティデザイン部会好発進!!
今後の活動に期待も高まる!

 この度、公益社団法人自動車技術会東北支部主催「第33回自動車技術独創アイデアコンテスト」が行われ、機械工学科2年の山本環さんが大学・高専・専門校の部で見事最優秀賞を受賞しました。このコンテストは、自動車に関連する安全、環境、情報、快適さ等について次世代を担う若い学生の独創的な楽しいアイデアを最大限発表する場となっています。第一次の書類選考に選ばれた入賞者は、アイデアを発表用ポスター(B1版縦)に作製して、本選考会の席で発表します。審査の上、最優秀賞、優秀賞、佳作が選ばれます。

山本さんは、「自動車のボディーが溜めた熱を利用した空調・発電システム」を発表し、17名のライバルたちを抑えて最優秀賞に輝きました。機械工学科公認の学生活動団体である機械工学モノづくり工房モビリティデザイン部会の代表である山本さんは、仲間とともに自動車に関する研究活動を行っています。

 山本さんに受賞の喜びと応募したアイデアについて、詳しくお話を聞きました。

―最優秀賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 初めの一歩みたいな感じではあるのですが、コンテストに応募するにあたり、周りの方々にいろいろ教えていただきながら挑戦することができたので、本当に感謝しかないです。本選考会はオンライン開催でしたが、コンテストで発表するのは初めてだったため、杉浦隆次先生の研究室の大学院生の先輩方やモビリティデザイン部会の仲間に手伝ってもらいプレゼンテーションの練習をしました。大学に入って、学業以外に打ち込めることが見つかり、また、たくさんの方にサポートしていただける環境に、改めてこの大学に入って良かったと感じています。

―どんなアイデアを考えたのですか。

 提案したアイデアは「自動車のボディーが溜めた熱を利用した空調・発電システム」です。アイデアの発想に至ったのは、気温の高い日に駐車してある自動車に乗り込むと車内が非常に暑いという実体験がきっかけになっています。どうにかならないだろうかと常々思っていました。さらに、電気自動車の欠点としてエアコンをつけると電力消費量が高く、走行距離が落ちてしまうという問題があることにも着目しました。自動車のボディーは基本的に鉄でできています。鉄は熱伝導性が高く熱を溜め込みやすいので、車内の温度を下げるためには空調が必要となり、エアコンの消費電力量も高くなってしまうわけです。そこで、ボディーの熱をこの空調装置に利用すれば、電力消費を抑えられるのではないかと考えてました。

 従来、冷房使用時はボンネットの下にある空調装置で外気を取り込み、冷やしてから車内に送り込みます。逆に車内の空気を外に送り出すために、電気の力を使ってコンプレッサー(圧縮機)で高温にしていますが、提案した技術は、熱くなったボディーの下に空気を通すことによって高温にするため、電力を使わずに車内の空気を外に送ることができます。このシステムを搭載した自動車が走った時の走行距離1kmあたり、どれぐらいの電力量で走れるかを計算し、削減できる電力量によって電気代がどのくらい抑えられるかを計算しました。それにより、冷房時に削減される電気料金は年間で 14,322円、航続距離は年間 3,720km向上する試算結果となりました。

―コンテストを通して、どんなことが学べましたか。

写真左/機械工学科主任:佐々木直栄教授

 アイデアを形にするためには、様々な知識が必要になります。熱力学の知識も必要ですし、まずはエアコンの仕組みを理解することが大事になります。いろいろ調べながら、自分で勉強しました。また、本選考会の質疑応答で他大学の先生方からいろいろアドバイスをいただいたのですが、自動車が抑えられる電気量を試算するだけでなく、火力発電で発電できる電力量に置き換えたら、社会的な課題解決として考えることができるのではというご指摘もいただきました。

 自分の考えがそこまで至っていなかったので、刺激を受けました。また、高温にするためには高圧にする必要があるのですが、実際にボディーの熱利用だけで高圧にできるかは検証してみないとわからないという指摘もありました。自分の知識だけでは足りないことがたくさんあって、大変勉強になったと思っています。

―なぜモビリティデザイン部会をつくったのですか。

 もともと自動車に興味があって機械工学科に入ったのですが、1年生の時から工学部の先生方が学生の話を親身に聞いてくださり、自動車に関する研究をしてみてはとアドバイスをいただきました。そこで同じ思いを持った学年の仲間2人を誘ってこの部会を立ち上げました。何から取り組めばいいのかわからない状況でしたが、杉浦先生から自動車技術会のアイデアコンテストの情報をいただき、まずはこれに挑戦しようということになったのです。最優秀賞をいただくことができ、これから部会の活動を進めていくにあたり、すごく励みになりました。

左から坂東雄太朗さん(埼玉県・春日部高校出身)、山本環さん(静岡県・韮山高校出身)、茅野聖也さん(群馬県・館林高校)

―今後の目標をお聞かせください。

 今回はアイデアを提案するだけでしたが、今後は実際にモノづくりをしていきたいと考えています。まだ検討している段階ではありますが、実際に自動車をつくってみたいです。目標は「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」か「学生フォーミュラ」への出場。一緒に挑戦してくれる仲間も増やしていきたいと考えています。私たちの部会に限らず、みなさんも何かやりたいことがあれば、どんどん挑戦しましょう!

―ありがとうございました。今後の益々活躍されることを期待しています。

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