ますます賢くなる家電たち

最新のエアコンは省エネ性能に優れているだけでなく、高性能センサやAI（人工知能）で部屋の状況を学習し、体感温度など人の状態を見極めて快適にしたり、カメラや人感センサにより気流をコントロールして必要なエリアだけ冷暖房することで節電を可能にする製品もあります。さらに、遠隔操作で外出先からオンオフも可能な無線LAN内蔵のエアコンも登場！家電が進化することで、私たちの暮らしも快適になりますね。

IoTを進化させるワイヤレス通信

インターネットを通して遠隔でモノへ指示を出したり、モノの状態を正確に把握したりできるIoT (Internet of Things)。「モノのインターネット」とも言われていますが、こうしたIoT機器を接続するためにはワイヤレス通信の技術が必要不可欠。ケーブルを使用せずにアンテナを介した無線で電波を使って通信を行う仕組みのことで、普段使い慣れているスマホはもちろん、Wi-fiやBluetooth、GPSなどもワイヤレス通信の一種です。ここでは、モノとインターネットをつないで暮らしを快適にするだけでなく、災害が起こった時、電波が届きにくい山岳地帯でも通信できるアンテナ技術の開発も目指しています。

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食品が温まる秘密はマイクロ波！？

調理の手間が省ける便利な電子レンジ。でも、その仕組みって知ってますか？電子レンジの内部にはマグネトロンという部品が組み込まれていて、このマグネトロンが発するマイクロ波が食品に含まれる水の分子などを振動させて摩擦熱が生まれ食品を温めているのです。なぜ器を温めずに食品だけを加熱できるのか！？それは電波が陶器やガラスなどの水分のない物質を透過するからです。最近では食材の温度や分量を見極めて自動調理する機能や複数の加熱方式を組み合わせることで、時短や省エネ性能を高めた電子レンジもありますよ。

マイクロ波の加熱技術で癌治療も！

マイクロ波エネルギーを医療・環境・食品・化学材料の分野で有効に利用する研究を行っています。例えば、電磁波加熱技術による癌治療機器の電極開発。マイクロ波のエネルギーを用いる癌治療法は、副作用が小さいことや熱効果が大きく短時間で治療できるメリットがあります。しかし、従来の治療機器では加温領域が小さく、加熱領域を増やすアンテナが必要なため、癌治療用の新しいマイクロ波アンテナの開発に取り組んでいます。

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半導体の新たなデバイス開発がスマホの可能性を広げる

超高速・大容量、超低遅延、多数同時接続を可能にした5Gがようやく普及してきたところで、すでにスマホはその先の第6世代移動通信システム「6G」の話題で盛り上がっています。5Gと比較して、なんと10倍以上の超高速通信や100倍以上の超大容量が実現されるそうですよ。仮想現実と呼ばれる「VR」、電波が遠隔地域や宇宙にまで達する「超カバレッジ拡張」、充電器の要らない「自動ワイヤレス充電」なんて機能も搭載されるとか。ますますスマホがあれば何でもできる時代になってきましたね。

無充電、大容量を可能にする「スピン」のチカラ

物質中の電子が持つ微小な磁気「スピン」。このスピンとエレクトロニクスを組み合わせた「スピントロニクス」分野では、従来の半導体エレクトロニクスデバイスの限界を超えた新しいデバイスを実現できると考えられています。ここでは、メモリの大容量化も可能にする「SiスピンMOSFET(Silicon Spin Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor) 」の研究が進んでいます。省電力化できるだけでなく、スマホも充電せずに使えるようになるなど、私たちの生活にも大いに役立つ技術です。

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超電導状態になるとモノが浮く？？？

電気エネルギーを磁石の力で「回転する力」に変える磁石モータ。これを開いて直線状（＝リニア）にし、磁石の性質を利用して走らせるのがリニアモーターカーです。現在試験走行中のリニア中央新幹線は、超電導磁石を車両に搭載し、線路である「ガイドウェイ」に推進コイルを設置します。車両側の超電導磁石が高速で通過すると、コイルに電流が流れて電磁石となり、吸引・反発する作用で車両を10cm浮かせて走る磁気浮上型。開通すれば、東京↔名古屋を時速500キロで浮上走行、最速40分で結び、人々の暮らしに大きな変化があると見込まれています。

人と地球の未来に役立つモータシステムの開発！

独自に開発したX-Yリニア誘導モータを用いて、本来、直進しかできないリニアモータを制御し、工場などの製造ラインでタテ方向、ヨコ方向に自在に移動できる搬送システムを構築しました。エネルギー効率が良く、地球にやさしいモータシステムを開発し、交通機関を含めたあらゆる搬送装置としての活用を目指しています。

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未踏の電磁波は何を見せてくれるの？

自然界に存在する電磁波の中で、目に見える「光」とスマホなどに使われる「電波」の中間の周波数帯が「テラヘルツ波」。特性の一つである物質透過性によって非破壊で内部の情報を取得できるんです。人体への影響は極めて低く、人が多く集まる場所でのセキュリティチェックや空港でのボディスキャナへの実用化も進んできました。半導体テラヘルツ光源も登場し、発生装置の小型化や出力の画期的な向上が進む未来の電磁波は、次世代の大容量・高速の無線通信「6G」など技術革新の期待の星です。

安全で豊かな社会を実現する光センシング技術を目指して

インフラ資源の有効利用や病気の早期発見、セキュリティの強化など、グローバルな社会課題の解決のために、物質内部の構造などの目に見えない情報を素早く提供できる光センシング技術の開発は重要。テラヘルツ(THz)光を用いた3次元イメージング(トモグラフィー)の開発とその応用に関する研究に注力しています。

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エコカーの未来に電池は欠かせないポイント！！

2050年のカーボンニュートラル達成に向け、走行時に二酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車（EV）や燃料電池自動車（FCV）、ガソリン車とEVの特徴を併せもつプラグインハイブリッド自動車（PHV）など、自動車の電動化が進んでいます。普及のカギを握っているのは蓄電技術。充放電可能な蓄電池としてリチウムイオン電池の開発に関する研究が進むなど、多様な蓄電デバイスが便利で地球に優しいクルマの未来を支えていくでしょう。

蓄電技術の進歩に貢献するリチウムイオンキャパシタの開発

従来のリチウムイオン電池よりも出力密度とサイクル寿命で優れるリチウムイオンキャパシタ。エネルギー密度（蓄電量）を上げる研究を進め、シリコン系リチウムイオンキャパシタを実現しました。この技術は電気自動車の蓄電機能の耐久性向上による長寿命化や充電時間短縮への応用も期待されています。

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卵子と精子の愛を育てる先進医療

「生命の神秘」と言われるように、ヒトを含む哺乳動物から魚、昆虫、植物に至るまで、生体には無機物にはない特殊な生命原理が働いています。特に、新しい命となる受精卵には、卵子と精子の奇跡とも思えるような神秘的な出会いがあるんですよ。でも、時にはうまくいかないこともありますよね。その場合は、卵子と精子を同じ培養液の中で培養して受精させ、得られた受精卵を子宮に戻す「体外受精」という方法があります。生殖補助医療(ART)の一つで、高度先進医療とも言われているんですよ。

元気な卵子を見分けるマイクロ波触覚センサ

体外受精では、妊娠の可能性の高い受精卵を一つだけを母胎に戻すことが重要な鍵を握って きます。でも、見た目だけではどの卵子が元気なのかを判断するのは難しいですよね。そこで、超高感度なマイクロ触覚センサを開発して、卵子の弾力を調べて品質を評価する方法を開発しました。さらに、受精卵を育てるには、ストレスを感じさせないように母胎と同じ環境をつくることが大事だと考え、母胎温変化を模倣した培養器を開発し、受精卵の培養法の研究にも取り組んでいます。

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人工臓器が体の一部に

心臓や肺、肝臓、腎臓などの内臓の機能が損なわれると病気になったり、重傷化すると生命の危機にさらされることもあります。人工臓器は、こうした弱った臓器の役目を代行するために開発されたもので、さまざまな治療を通じて機能の補助が行われています。例えば、ポンプ機能を持つ人工心臓、ガス交換機能を持つ人工肺などの人工臓器をはじめ、細胞（例えば、iPS細胞、ES細胞など）や身体のパーツである生体組織と人工物を組み合わせたハイブリッド人工臓器などの開発も進んでいるんですよ。

磁気を使った人工括約筋の開発

加齢や事故などにより尿道を閉めている括約筋の機能が衰えて、尿失禁をしてしまう場合、体内に人工括約筋を埋め込み、ポンプなどの機械で排尿を補助する方法があります。従来の人工括約筋はポンプを駆動させる電池を年一回交換する手術を行わなければならず、患者さんにとっては大きな負担でした。そこで、磁石を用いて半永久的に使用できる人工括約筋の開発を進めています。磁界は体の中を通したり、離れたものを動かすことができるため、体の外から体内の人工弁を開閉することができます。人と磁気とのより良い関係を目指した研究なのです。

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人体にも優しいテラヘルツ波で体の中をみる

健康診断の時やケガや病気をしてしまった時、体の中に異常がないかを調べるためのレントゲン検査。X線という放射線が体の中を通り抜けた時にできる影を写真などに写し出すことで、体の中の様子をみることができます。レントゲン検査などの少しの量の放射線なら人体への影響はないとされていますが、X線を浴び続けると発がんの可能性が高くなるという指摘もあります。そこで、注目を集めているのがテラヘルツ波。X線と同じように物質を透過する性質をもっていて、人体にもやさしい電磁波なんですよ。

医工学と情報通信の未来を拓く光技術

これまでは発生させたり検出することが難しいため、あまり使われていなかったテラヘルツ波を、レーザ光から発生させることに成功しました。テラヘルツ波を光のように細く絞り、生体の組織や細胞に照射して生命情報を読み出し、高精細に画像化する研究を進めています。紙、プラスチック、セラミック、木材、繊維なども良く透過するので、封筒内の毒物や違法薬物の検査、非接触での古文書の文字読み取り、新しい非破壊検査への応用なども期待されています。

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