幼少の頃、電車やクルマが好きで、まちづくりゲームに夢中になったこともあり、将来は道路や橋、ダムなどのインフラに関わる土木の仕事に就きたいと思い、工学部を選びました。大学院への進学を決めたのは、3年次の10月頃。インターンに参加した際に他大学の院生と話す機会があり、自分よりも豊富な知識を持っていると感じたのです。同時に、希望した交通流解析学研究室への配属が決まり、自分のやりたい研究を続けたい、専門分野の知識をもっと深めたい、そんな思いから大学院進学を決意しました。
早期に大学院進学を決めたことで、学部生ながら学会で発表する機会をいただきました。大学院進学後も数多くの学会発表の機会がありましたが、その業界の最前線で活躍している方と話をしたり、意見交換できたのは貴重な経験でした。加えて、プレゼンテーション能力や資料作成など、社会人になっても役立つスキルが身についたことも収穫です。また、諦めずに継続することの大切さも学びました。一つの研究を最後までやり遂げた経験は、自分にとって大きな財産になりました。
大学院では、交通流ベクトルを用いた豪雨時の交通異常の検出手法について研究しました。災害時特有の車両挙動を交通異常と定義し、迅速に検出することで、被災箇所をいち早く発見し、減災に貢献できると考えたのです。私自身も体験した、2019年10月に福島県に襲来した台風19号を分析対象としました。着目したのは、車両のUターンです。普段なかなか見られない挙動のため、災害が起きている場所だと推定できます。この挙動センシングデータを用いて、一般道も含めた道路ネットワーク全体の災害時の交通異常をリアルタイムに検知する手法を検討しました。最初に、過去の災害時の交通現象を解析し、その特徴量を抽出します。特徴量を学習するモデルを構築し、他の災害に適用することで、モデル自体のロバスト性を検証しました。最後に広域エリアに適用するためにモデルを改良。検証した結果、既存の手法よりも高精度にUターンを検出できることを示しました。社会実装につながる技術開発に携わり、大学院ならではの研究の醍醐味を味わいました。
就職先は交通分野の研究やその知識を活かせる会社にしたいと思い、高速道路会社を志望しました。この会社は、自動車産業が集中する東海地方をはじめとして広い地域で事業を展開していることが魅力でした。また、道路インフラ系の企業の中にあって、自動運転など先進的な研究開発に参画している点にも興味がありました。ここなら将来、いろいろな挑戦ができると思ったことが、決め手になりました。自動運転は自分の研究とは別の視点になりますが、研究室でも話題になることがあり、興味を持って調べたりしていました。大学院では自由に使える時間があるので、視野を広げることができるのもメリットの一つです。
現在、高速道路の4車線化工事に関わる仕事をしています。2車線しかない道路を4車線にするため、トンネルを新たに掘るなど大規模な建設現場で、私は工事を円滑に進めるための調整業務を担当しています。 入社してすぐにこうした大きな仕事に関われるのはなかなかできない経験ですし、大変やりがいを感じています。先日も、私が関わった道路が開通した際、新聞で取りあげられているのを見て、地域の方々に喜んでいただけて良かったと思いました。これからも社会の流れを汲み取り、時代に即して変化する高速道路を造っていきたいと思っています。特に、自動運転の普及に対応した高速道路づくりに貢献したいです。
専門分野の知識を深められるだけでなく、好きなこと、やりたいことに思う存分取り組めるのが大学院の魅力でもあります。それはきっと、自分自身を成長させるための有意義な時間になるでしょう。

学部生の皆さんがこの先の進路選択について考えるとき、大きなポイントが「就職」か「大学院進学」かということ。
日本大学大学院工学研究科に進んだ先輩たちの声から、その選択の実態を紹介します。
※R6年度大学院修了者アンケートの回答より抜粋しました
| 奨学金名称 | 金額 | 対象 |
|---|---|---|
| 日本大学工学部奨学金(第1種) | 年額20万円給付 | 大学院1年次生18名 学部生時の成績が評価される |
| 日本大学大学院工学研究科奨学金 | 年額20万円給付 | 大学院2年次生16名 大学院1年次の成績及び研究実績が評価される |
| 日本大学古田奨学金 | 年額20万円給付 | 大学院生1名 学業成績及び人物優秀な者 |
| 日本大学ロバート・F・ケネディ奨学金 | 年額20万円給付 | 大学院生1名 学業成績及び人物優秀な者 |
JASSO奨学金(第一種)の
返還免除制度
大学院での研究業績によって貸与額を免除(全額/半額)
令和6年度博士前期課程申請者41名のうち、8名が全額、17名が半額免除対象。博士後期課程申請者1名が半額免除。
東洋エンジニアリング株式会社
内 定
2024年4月から2025年3月まで、オランダのデルフト工科大学に留学しました。オランダで最も伝統と実績のある工科大学であり、世界の工科系大学でも常に上位に位置する大学への留学は、自分にとって新たな挑戦でした。私の研究の基礎である化学工学と熱力学に加えて、統計力学の分野で世界的に著名なThijs J.H. Vlugt教授とMahinder Ramdin助教のもとで研究でき、今後の研究の発展に繋がります。また、研究に対して自ら答えを見つけにいく姿勢が形成されたことや英語でのコミュニケーション力が向上するなど、人間的にも研究者としても、二回りくらい成長できたと実感しています。
日本大学大学院海外派遣奨学生
海外派遣(留学)期間は1年間で最大180万円が支給されます。
海外での研究活動を視野に入れることも可能です。