木村 悠人さん(2022年度建築学専攻博士前期課程修了)群馬県/高崎経済大学附属高校出身

建築分野の多様な専門知識を
身につけるために

人々の暮らしの基盤となる建物に興味があり、それをつくる仕事に就きたいという思いから、建築を学ぶために大学に進学しました。入学当初から理系なら大学院進学は当たり前と思っていましたが、実際に学んでみて、建築は奥が深く、大学院でもっと専門知識を身につけてから就職した方が良いと感じました。また、法改正により学部卒業と同時に一級建築士の受験資格が得られることになり、働きながら勉強するよりも学生のうちに取得しておいた方が良いだろうと思ったことも進学を後押しする要因になったのです。

安全で耐久性の高い建物を
つくるための研究に取り組む

私は鋼構造デザイン研究室に所属し、3次元解析モデルを使った鉄骨造建築物の耐震改修手法に関する研究に取り組みました。主に斜交トラスで構成された鉄骨置屋根構造体育館の耐震補強効果を検証するとともに、ダイヤモンドトラスの剛性や構成する部材についても検討しました。学部生の時とは違い、主体的に研究を進めていかなければならないので、取り組む姿勢は変わったと思います。また、指導教員と密接に関わっていくところに学部生との違いを感じました。学会で発表する機会も増え、建築に関する知識も益々深まっていきました。

大学院時代の論文「鉄骨置屋根構造における斜交トラスの応答性状」
浅里和茂教授との連名で発表

在学中の一級建築士試験合格を目標にして

研究と同時に大学院では一級建築士の試験合格に注力しました。資格は将来必ず役に立つと考え、学部生の時には大学で開講されていた宅建講座を受講し、学部2年次に宅地建物取引士の資格を取得。学部4年次の夏頃から一級建築士試験に向けての勉強を始めました。週の前半は前週の復習や課題に取り組み、後半は予習をして日曜日に予備校で授業を受けるというサイクルを1年間続けました。大学院に進学してからは、研究との両立に苦労することもありましたが、研究の隙間時間を有効に活用して、ほぼ毎日試験勉強に励む日々でした。しかし、大学院1年次に受けた学科試験は落ちてしまい、設計製図の試験も受けることができませんでした。そこから過去問を必死に勉強して完璧に準備した結果、翌年は学科試験をクリアし、製図に関しては短期間ではありましたが、初挑戦ながらも1回で合格することができました。この挑戦は自分にとって大きな自信になっただけでなく、就活でも大いに役立ちました。

研究を通して得た知識の深さと資格への挑戦は就活にも有利

スーパーゼネコンへの就職を目指していた中で、鹿島建設は人の良さが際立っていました。特にリクルーターの方が親身にアドバイスをくださり、一級建築士の試験に合格した際も大変喜んでくださったのを覚えています。ここで私も働きたいという気持ちになりました。就活に臨む時には、まだ一級建築士試験に合格する前でしたが、挑戦していることは高く評価していただけたようです。さらに面接では研究に関する質問もあり、中身をしっかり理解したうえで説明できる大学院生は有利だと思いました。

建設現場をマネジメントできる
技術者になるために

現在の仕事は施工管理。希望していた東京都内の職場に配属になったのも、一級建築士の試験に合格していることが有利に働いているようです。実際に働いてみて、仕事をしながら資格の勉強をするのはかなりハードだと感じました。改めて、在学中に取っておいて良かったと思います。初めての現場は、東京都内にある事務所兼住宅のビルの建設現場でした。一級建築士試験の知識はもちろん、大学院で身についた建物に関する詳細な知識や目上の方や後輩と接する中で培ったコミュニケーション力も実際の現場で活かされていました。建物が完成するまで約1年半、様々な工種を経験し現場監督や上司からの丁寧な指導のおかげで、施工管理としての基本的な仕事を学ぶことができ、自分でも成長したなと実感しています。

次の現場では任せてもらえることも増えると思うので、自分の力を存分に発揮しながら、みんなで協力して建物を無事完成させたいと思います。さらに建築に関する様々な資格取得にも挑戦し、ゆくゆくは工事全体をマネジメントできるようになりたいと思っています。将来を考えた時に、希望通りのやりがいのある仕事に就くためにも、大学院に進学することは大きな意義があります。研究でも資格取得でも、学生のうちに徹底して打ち込んだと言えるものをつくることが大切です。