企業が大学院修了生を採用する理由メインイメージ 企業が大学院修了生を採用する理由メインイメージ

10月16日(月)、東京蒲田にある株式会社巴商会様において、二人の先輩と生命応用化学科齋藤義雄教授による座談会が行われました。現在は人事担当者として活躍する大内僚さん、大学院を修了して社会人1年目の奥友里乃さんに、奥さんの所属研究室の指導教員であった齋藤教授が質問していきます。大学院進学のメリットはもちろん、工学部のOB・OGによるネットワークが日本全国に広がっていることも感じていただけることでしょう。和やかな雰囲気で進んだ座談会の様子をご覧ください。

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日本大学工学部 生命応用化学科 齋藤 義雄教授

日本大学工学部 生命応用化学科
齋藤 義雄 教授

株式会社巴商会 企画営業部 ライフサイエンス事業推進課 奥 友里乃さん

株式会社巴商会 企画営業部 ライフサイエンス事業推進課

奥 友里乃 さん
2022年度生命応用化学専攻博士前期課程修了

株式会社巴商会 総務部 人事課 主任 大内 僚さん

株式会社巴商会 総務部 人事課 主任

大内 僚 さん
2013年度物質化学工学科(現生命応用化学科)卒業

株式会社巴商会とは。

齋藤教授

今日は東京にあります株式会社巴商会様に伺っております。
こちらには日本大学工学部の卒業生、大学院の修了生が非常にたくさんお世話になっておりますので、OG・OBの方が活躍されている様子など、今日はいろいろとお話を伺っていきたいと思います。では最初に、巴商会様がどういった企業であるのか、事業内容や理念なども含めてお教えください。

大内さん

当社は産業用ガスと呼ばれるモノづくりの素材となるガスを卸売り販売している「商社」になります。言い換えますとガスディーラーです。モノづくりを行っているお客様に各営業マンが直接対面でお客様と接することでお客様のニーズに合ったガスを提供していく、また同時にガスを使うための設備の設計や施工管理の提案、対応もしていく、ガスのトータルサポートを行っている会社です。

社員構成としましては、やはりディーラーですので営業職が一番多くなっておりまして、7割近くが営業職です。そのうちの2割程度が事務職で、数パーセントが技術系の施工管理や研究所に勤める商品分析職、ガスの製造施設のプラントに勤務するプラント管理職、といった構成となっています。

当社は企業理念として『お客様のためになることをする』という社是を掲げています。こちらを指針として社員一人一人が自分の行動がお客様のためになることに直結する、または間接的になることを行っています。自分がとる行動の、何を軸として考えるかという時に、やはり企業理念に則ったものになっておりまして、営業であったり事務であったりといった各職種それぞれが、自分の行動がお客様のためになるということを考えて行動しています。

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奥さんへ聞く、大学院時代のこと。

齋藤教授

奥さんは大学の4年生から私の研究室で卒業研究を進め、その後大学院に進学して2年間、修士課程で研究を続けてきました。なぜ大学院に進学したのかという理由を教えてもらえますか。

奥さん

私は元々あがり症で、人前で話すことや発表したり説明したりすることがすごく苦手でした。大学院に進学し、学会に数多く参加することによって苦手を克服したいと思い進学いたしました。

齋藤教授

プレゼンテーション能力なども身につけて。コミュニケーション能力もですよね、そういう力を身につけたいという目標があったんですね。

奥さん

はい、そうです。

齋藤教授

大学院で2年間研究を進めたわけですけれども、大学院に進学して良かったなと思ったことや魅力的に感じたことなどあったら教えてください。

奥さん

それまで苦手であった、人前で発表したりすることや説明する能力の足りなさであったりとかが、少しずつ克服できるようになってきたことです。さらにはコミュニケーション能力や積極性といったものが大学院に進むことによって身につくことができて良かったと思っています。

齋藤教授

奥さんが私の研究室で研究してきた内容を紹介しましょう。

奥さん

私は有機合成を利用して遺伝子診断に応用できるツールの開発をしていました。

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齋藤教授

学部4年から修士課程3年間に渡る、奥さんの研究成果が今回、英文の論文誌に成果がまとまって出版されますね。その3年間の研究過程で大変だったことはありますか。

奥さん

合成過程が長くて時々うまくいかないこともあったのですが、その長い合成過程を経て結果をまとめることができて大変うれしく思いました。

齋藤教授

最後はその苦労の結果、3年間の成果がまとまったということで非常によかったと思います。

奥さん

ありがとうございます。

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仕事で活きる、大学院での経験。

齋藤教授

奥さんは研究活動を続けながら、それと同時に就職活動もしていたわけですけれども、そのあたりはやはり大変でしたか。

奥さん

両立することはたいへんだったのですが、成果を大学に認めていただいて学校推薦を受けられたので希望の就職先につくことができました。

齋藤教授

大学院の在学中に学んだことで今の仕事に活かされていることはありますか。

奥さん

私の現在の仕事は細胞の凍結保存容器を販売する営業職です。その中でDNAの関係の知識であったり、コミュニケーション能力であったり、説明する力などが活かされています。

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人事担当者としての、大内さんに聞く。

齋藤教授

大内さんは2014年に、今の生命応用化学科が名称変更する前の物質化学工学科を卒業されて御社に入社されたわけですが、入社した当時はどんなお仕事をされていましたか。

大内さん

私は当初第一志望であったメディカルサービス部という医療業界、医療機関向けに医療用ガスを販売する部署で営業職をしていました。取引先は配属先地域の病院さんやクリニックさん、医療関係の研究開発施設さんが主な対象です。そのようなお客様に向けて医療ガスの供給や医療機器・医療関係装置の提供と日常点検、そして医療関係の配管ですね、ガス配管の設計から施工管理といった工事関係の業務まで、本当にトータルサポートというような仕事をしていました。

そのメディカルサービス部で、最初は東京の拠点で勤務していたのですけれども、だんだん社歴が上がってきまして、神奈川県の方の同系列の営業所に移動となりました。そこでの経験を経て今では人事課という所で採用関係のお仕事をさせていただいています。

齋藤教授

大内さんは現在人事課でお仕事をされているということなんですけれども、どういった人材を会社で求められていますか。

大内さん

当社ではまず基本理念として『お客様のためになることをする』、という文言を掲げていますので、社員一人一人がお客様のためになると思える行動を取れる、そんな人材を求めています。

具体的にはですね、やはり最初に申し上げた基本理念に共感できる社員、そして相手の立場に立って考え、それを行動に移すことができる社員。そして最後にですね、探究心を持って取り組める社員。当社ではそういった人材を求める人物像としています。

齋藤教授

大学院修了生を採用する理由や大学院修了生に期待することは何ですか。

大内さん

はい、大きく二つあります。まずは基礎学力面、そして人物力面というところに主な理由を置いています。

学部生よりさらにワンステップ上の研究そして学業を重ねることで、より専門性の高い知識、基礎力を身につけているという点は大きいです。会社のより専門的な知識のベースを持った社員でありますので、入社後早々から即戦力となりうる社員という風に考えております。

また、入社後もお客様に対してはもちろん、対社員とのコミュニケーションというものは必要不可欠になりますので、学部生を教育する立場でもあったという所から培った能力を発揮してくれる大学院修了生に、そういった部分で期待をしています。

齋藤教授

就職活動を進める上で学生に何かアドバイスはありますか

大内さん

はい、そうですね、今こういった人事課採用担当という立場になってからこそ思うんですけれども、やはり自分の肌に合った企業を見つけて、そういった企業への就職活動を進めるというのが最終的に一番いいのではないかと感じています。大学院生になってきますと、やはりその専門性を究めているという視点から的を絞りやすくなるのかなと思います。自分が今その突き詰めている研究と、さらに自分の性格、マインドと合った企業を見つけて、そういった会社へ向けて就職活動をしていただけることがより良い活動になるのかなという風に考えます。

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大学院進学のススメ、そして就職活動のこと。

齋藤教授

大学院に進学するか就職するか迷っている学生に何かアドバイスはありますか

奥さん

大学院に進学することによって、知識や忍耐力、コミュニケーション能力を成長させることができるので、迷っている方は大学院に進学することをお奨めします。

大内さん

はい、あとその他にはですね、自分が所属している大学さんとより繋がりがある、つまりOGOBがより多く配置(採用)されている企業さんは、やはりその大学で学んでいることがより生かされる就職先だったり、その大学の学生さんの肌に、より「合う」就職先である可能性が非常に高いのかなという風に感じている部分があります。ですから、就職先の選択肢を増やす際には、やはりその学校の就職担当であったり研究室の先生のアドバイスを頂いて、こういう企業もあるよという声を頂いて、それを参考にすることが、より良い就職先の幅を広げる活動の一つになるのではないかという風に感じています。

齋藤教授

今日は工学部出身の二人の先輩から貴重なご意見ですね、大学院進学と就職に関するアドバイスを頂きました。

今日はどうもありがとうございました。

奥さん

ありがとうございました。

大内さん

ありがとうございました。

齋藤教授・大内さん・奥さん集合写真