学生の活躍

2019年光化学討論会で優秀学生発表賞を受賞しました

動画を用いた発表手法などのプレゼンテーションが
注目を集めポスター賞に輝く

 9月10日(火)から12日(木)に2019年光化学討論会(光化学協会主催)が開催され、生命応用化学専攻博士前期課程1年の福島未彩さんが優秀学生発表賞(ポスター発表部門)を受賞しました。本会では光化学全般(光物理化学、有機光化学、無機光化学、生体関連光化学、光エネルギー変換、人工光合成、光機能物質、発光材料、環境浄化など)を討論の主題とし、口頭発表及びポスター発表を行います。約300件のポスター発表のうち9件がポスター賞に選ばれており、光エネルギー変換研究室に所属する福島さんは、『様々なマトリックス中のテトラセンが示す室温遅延蛍光: 高い励起状態からのフィッションによる三重項励起子生成』で受賞しました。
 福島さんに受賞の喜びと研究について詳しくお話を聞きました。

発光源となる励起子の形成メカニズムの解明に取り組みました

―優秀ポスター賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 サマースクールの小規模なポスター発表で賞をいただいたことはありますが、学会では初めてです。大学院1年次のうちに取れるとは思っていなかったので、大変驚きましたが、受賞できたことは素直に嬉しく思います。事前に指導教員の加藤先生や研究室の先輩と質疑応答の練習をしていたおかげで、本番もスムーズに答えることができました。サポートしてくださった方々に感謝しています、

―どのような研究をされたのですか。

 光で励起された分子はある寿命を持って、基底状態に戻ってきます。その際、発光(蛍光)を伴うことがあり、放出される光の波長や寿命、収率を測定することで、励起状態の様々な挙動を調べることができます。私たちの研究室には、これらの3つの計測が可能な装置があります。また、実験の内容によって、自分たちで装置を自作することもあるのが、当研究室の特色でもあります。
 発光の中で、励起を止めた後も数秒から数時間発光を続けるものを長寿命発光と呼びます。本研究で用いた試料のような、目視でも確認することができるほどの発光強度を持つ長寿命な発光は珍しいです。これはサンプル中で高密度に励起子が生成することを示唆しています。高効率な励起子生成については広い分野でたくさんの研究が行われています。これよりこの励起子生成メカニズム解明に取り組みました。

―どのような点が評価されたと思いますか。

 発表の際にタブレット端末で動画を見せながら説明しました。現象を目で見られるのが面白いと言ってくださる方もいたので、わかりやすくて印象に残ったのかもしれません。自分自身も楽しく発表できましたし、近い研究分野の方々からいいろいろアドバイスいただけたので勉強になりました。

自分で考えて研究を進めていけるようになりました。
学会発表を重ねてプレゼンテーション能力も向上しています。

―なぜ大学院に進んだのですか。

 化学の中でもバイオに興味があって生命応用化学科を選んだのですが、いろいろ学んでいくうちに物理化学が面白いと思うようになりました。大学院に進学したのは、もともと実験が好きで、学部の時よりもっと研究を突き詰めたいと思ったからです。何もわからず先生に指導されたことを必死にこなすだけだった学部の時と比べて、今は自分で考えて研究を進めていけるようになりました。学会にもたくさん参加できて、異なる分野の研究者の話を聞けるのも刺激になります。1回1回ポスター発表を重ねていくことで、前よりも伝わっているのが実感でき、プレゼンテーション能力もあがっているなと感じます。

―今後の目標をお聞かせください。

 ペリレン分子に注目し、相転移挙動の解明に向けて、より深く追究して成果が出るよう研究に励みたいと思います。
 光に興味があるので、将来は光学系のものづくりの企業で開発に携わりたいと思っています。これまで学んできた化学の知識や技術を活かしていきたいです。

―ありがとうございました。今後益々活躍されることを期待しています。

 

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