バイオエンジニアリング部門の発展に貢献した功績が高く評価される

 この度、機械工学科の片岡則之教授が『2018年度日本機械学会フェロー』を受賞しました。一般社団法人日本機械学会は、技術社会の基幹である機械関連技術に係わる技術者、研究者、学生、法人の会員で構成されており、120年の歴史を持つ日本最大級の学会です。機械に関する広い学術分野をカバーする22部門と地域の活性化活動を中心に行う8つの支部があります。1999年にフェロー制度が導入され、これまでに学会を代表するにふさわしい技術者として、1,568名のフェローが認定されています。片岡教授はバイオエンジニアリングに関する研究とその関連事業における顕著な功績によりフェローに推挙され、理事会において承認されました。
 片岡教授に喜びの声とともに、本会におけるこれまでの活動についてお話を伺いました。

―フェロー受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 ありがとうございます。この受賞は、バイオエンジニアリング部門の活動が評価されたものであり、本部門が日本機械学会の重要な領域として認められたことを率直に嬉しく思います。比較的新しい部門ですが、目覚ましい発展を遂げ、今では学会の中で1,2を争うほど活発に活動しています。昨年、アイルランドで開催された『8th World Congress on Biomechanics』では本部門が共催し、日本からも賞を出すなどの貢献を果たしました。今年4月には、韓国 釜山で韓国機械学会バイオエンジニアリング部門との共同シンポジウム、また11月に台湾で『The 10th Asian-Pacific Conference on Biomechanics,AP Biomech2019』が開催されますが、リーダーシップを発揮して韓国・台湾・シンガポールと協定を結ぶなど、学会の中でも本部門が国際的な関係を築く中心的な役割を担って活動を推進しています。その部門において運営委員を務めさせていただき、様々な活動に携わってきました。この賞を励みに、今後より一層尽力し、学会運営・事業展開に貢献していく所存です。

―どのような活動が評価されたと思われますか。

 運営委員を務めるとともに、ニュースレターの編集、ホームページの充実など、部門内外への広報活動に従事する広報委員会委員長を1年、また部門賞の選定や規約を管理する総務委員会委員長を2年務め、その責務を全うしました。加えて、昨年12月に郡山市で開催した部門講演会『第31回バイオエンジニアリング講演会』では、実行委員長として尽力いたしましたが、その運営も評価いただけたのではないかと思っております。本会では、バイオエンジニアリングに関する幅広い分野の発表を行うとともに、海外も含め全国から参加された約400名の研究者の情報交換の場にもなり好評を博しました。日本大学工学部としてもバイオエンジニアリングの活発な研究活動をアピールする良い機会になりましたし、福島県が医療機器産業に力を入れていることを広く知ってもらえたのも大変有難いことでした。

細胞機能を利用して、再生医療や治療に役立つ技術開発を目指す

―バイオエンジニアリングとはどんな分野なのか、ご説明いただけますか。

 機械工学を基盤として医学や生物学を融合させたバイオエンジニアリングは、骨や筋肉など生体組織の力学特性を調べたり、血液の流れの状態を解析する研究分野であり、生体のメカニズムを応用して高度なシステムや緻密な機械の設計・開発に役立ててきました。また、生体情報を探ることで、診断や治療、医療機器開発など新たな医療や福祉分野への貢献も果たしています。実は、私が機械工学の道に進んだのは、航空宇宙工学に興味を持ったことがきっかけでした。しかし大学に入ってから、細胞の硬さを測る研究論文を見て衝撃を受け、“これは面白そうだ”と思い、大学院では生体医工学を専攻したのです。この分野の研究に新鮮さを感じるとともに、将来、細胞のような微小なものが世の中を支配していくだろうと予見していました。昨今では、細胞や分子を扱う研究者も増えてきていますが、バイオエンジニアリング部門設立当初は特異な存在に見られていました。それが急成長を遂げ、今や細胞分子の挙動を解析することは、再生医療につながるとして海外からも注目を集め、その研究が高く評価されています。

―今後の目標についてお聞かせください。

 2019年度よりバイオエンジニアリング部門副部門長の任に就き、2020年度には部門長を拝命いたします。さらに部門の発展に寄与していきたいと考え、全国的な改革を模索しているところです。海外の学会や研究者との交流も深めながら、日本機械学会を牽引できるような組織にしていくことが大きな目標です。そして、遥か彼方にある夢なのですが、優れた細胞の機能を制御して細胞で治療を行う技術を開発したいと考えています。ロハス工学のなかでも“Health”に関わる研究での貢献を目指します。これまでも、自ら新境地を切り開いてきましたが、学生諸君にも自主創造の精神であらゆる領域でのパイオニアになってほしいと願っています。

―ありがとうございました。今後益々ご活躍されますことを祈念しております。

 

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