火山灰による腐食挙動のメカニズムを解明した研究が高く評価され優秀論文賞に輝く

 この度、生命応用化学科の上野俊吉教授が、公益社団法人日本セラミックス協会『JCS-JAPAN優秀論文賞』を受賞しました。この賞は2017年にセラミックスの科学と技術に関する報文を掲載する学術誌『Journal of the Ceramic Society of Japan』に掲載された論文の中から、特に優秀とされる論文を選考して表彰するものです。受賞した論文『Corrosion behavior of volcanic ash and calcium magnesium aluminosilicate on Yb2SiO5 environmental barrier coatings』は、約5年前に当時NIMS(国立研究開発法人物質・材料研究機構)の張炳國教授(現 九州大学教授)と共同で進めてきた研究の成果をまとめたものです。大規模な火山噴火によって噴き上げられる火山灰をジェット旅客機のジェットエンジンが吸い込むことでタービンなどの部品がどのように破損するのか、そのメカニズムの一部を解明しました。破損した部品を修復するには莫大な費用が掛かります。経済的にも大きな損失となる問題ですが、これまでこの分野に携わる研究者が少なく、メカニズムの解明が急務となっていました。報文としてのオリジナリティと質の高さを重点的に評価される賞であることから、本研究の成果も高く認められたものと推察できます。
 上野教授は、主に高温セラミックス材料の開発研究に取り組んでおり、新しい耐環境皮膜の創製と新しい成膜プロセスの開発を進めています。
 上野教授に受賞の喜びと研究について語っていただきました。

新しい機能性材料“ロハスセラミックス”の開発を目指して

 この度の受賞は、これまで積み重ねてきた研究活動の一つの成果であり、評価していただけたことを大変光栄に思っております。陰に隠れた研究であっても、きちんと見ている人はいるんだなと実感しました。受賞を励みに、さらに研究活動を発展させていく所存です。

 

 航空機エンジンやガスタービンあるいはその周辺の新技術で用いられる高温セラミックス材料は、常に”これまで以上”の過酷な環境に耐えるスペック(耐熱性、耐食性など)が求められています。そのため、新しい構造と組織の制御が必要です。しかし、新しい構造や組織を形成させるとき、無理に形作ると破壊や剥離の原因となってしまいます。無理のない構造や組織を形成させるには、共晶反応のような化学反応を利用した組織制御、凝固時の凝固速度の制御、自然酸化膜を利用した原子の拡散による成膜など、自然現象や化学反応をうまく利用することが重要です。多くの自然現象を組み合わせることで、構造制御法や組織制御法は、まだまだ無限に存在すると考えています。私たちはこれまでにない新しい発想で、材料の構造や組織を制御し、材料の機能性を極限まで高めて設計した材料を『ロハスセラミックス』と呼び、次世代材料の開発に取り組んでいきます。

 

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