自己修復コンクリートの研究が

インドでも高い評価を受ける

 

2015.03.11žimage002この度、建築学科のサンジェイ・パリーク准教授がインド技術者協会より功労賞を授与されました。パリーク准教授は、RC(鉄筋コンクリート)構造の実践的な耐震技術の開発および耐久性改善を目指して研究に取り組んでいます。昨年1027日にインドで行われた講演会に招かれ、「インドのコンクリート製品へ自己修復技術の応用」と題した特別招待講演を行いました。その際、インドで初めて自己修復コンクリートについて発表し、優れた研究発表であると高く評価され、今回の受賞となりました。

受賞の喜びとともに、パリーク准教授に研究について詳しくお話を伺いました。

 

―受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

ありがとうございます。私の母国であるインドの技術者協会からいただいた賞ですので、大変光栄で嬉しく思います。インドは木造建築が少なく、住宅もビルもほとんどがRC(鉄筋コンクリート)構造物ですから、日本と同様に老朽化が深刻な問題となっています。自己修復コンクリートは、インドではまだ普及してい2015.03.11žimage004ない技術です。私は講演でプレキャストコンクリートへのシステム導入を提案しましたが、手間をかけずに自然にひび割れを塞ぐアイディアは称賛を受けました。建設ブームが続いているインドでは低品質の構造物が多いことから、施工の際に簡単なテクニックがあればできる補修方法も関心を高める要因になったようです。多分野で応用できるというお話もいただきました。

これまでもインドにおけるCO2削減を目的とした無焼成レンガの作製方法の提案も行ってきました。常にインドのために貢献したいと思っていたので、この賞はとても励みになります。

 

―発表された自己修復コンクリートの研究についてご説明いただけますか。

 構造物の寿命は通常のコンクリートを使った場合で数十年、水セメント比を低くした高耐久コンクリートを用いた場合でも100年程度と言われています。従来のスクラップアンドビルドは取り壊しや建設の際に多量のCO2を排出することもあり、環境問題への意識や経済面の制約などからコンクリート構造物の長寿命化が社会的な要請となりつつあります。しかし、既存のRC構造物の維持管理は労力やコストなど大変な負担を伴うため、適切な補修を実施することは極めて困難です。このような状況を踏まえ、構造物の長寿命化や維持管理工程の負担軽減を目的として、RC構造物に自己修復機能を付与させる研究が注目されるようになりました。そこで私の研究室では、RC構造物の梁部材に補修材の充鎮孔を設け、ひび割れ発生後、自動的に補修材が当該箇所に充鎮し、強度を回復させる自己修復システムの研究開発を行ってきました。人間がケガをしたとき自然治癒するように、傷ついたコンクリートが自ら修復できる機能です。約10年研究を積み重ね、補修方法の技術を確立するとともに自己修復機能を持つコンクリート構造物の開発に成功しました。これらの技術は平成26年に特許も取得しています。

2015.03.11image006 2015.03.11image008
 

―今後の目標をお聞かせください。

 このシステムは梁部材等には実用化されていますが、橋梁などの大規模な構造物にはまだ適用されていませんので、それを実現させることが大きな目標の一つです。また現在、バクテリアを使った自己治癒コンクリートの開発にも着手しています。オランダは国をあげてこのシステムの開発に取り組んでおり、私が研究を始めたのも2012年にオランダのデルフト工科大学に滞在したとき、この研究の発明者と出会ったことがきっかけでした。冬眠状態のバクテリアと餌を混入したコンクリートは、亀裂が入った際に水分と酸素が侵入することでバクテリアが活動を開始します。その際、コンクリートと同じ性質であるカルシウムを生成することで、ひび割れを塞ぐという仕組みになっています。充鎮孔を施す必要が2015.03.11žimage010なく、随時修復できることが大きな特長です。しかし、強度の回復が十分でないという課題があるため、最適なバクテリアを見つけて実験を進めながら対策を講じているところです。

地元福島に貢献することも私の使命だと考えています。放射性物質廃棄処理のための高密度遮蔽コンクリートの開発を進め、従来の普通コンクリート容器と比較して大幅な省スペース化と重量低減を実現しました。

今後も環境負荷軽減を考慮した最新建築材料の研究開発を行い、地域社会や世界に発信していきたいと考えています。

 

―ありがとうございました。今後益々のご活躍を祈念申し上げます。