『地形舞台―中山間過疎地域に寄り添う茅葺き集会施設と
舞台を起点とするまちづくり活動―』がソーシャル部門で受賞

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 この度、建築学科の浦部智義准教授と浦部研究室が計画・設計に携わったプロジェクト『地形舞台―中山間過疎地域に寄り添う茅葺き集会施設と舞台を起点とするまちづくり活動―』が、「ウッドデザイン賞2016」を受賞しました。この賞は、「木」に関するあらゆるモノ・コトを対象に、暮らしを豊かにする、人を健やかにする、社会を豊かにするという3つの視点から、デザイン性が優れた製品・取り組み等を表彰するものです。第2回となる今年、このプロジェクトは、木を使って地域や社会を活性化している作品を対象とする「ソーシャルデザイン部門」での受賞となりました。2013年度には一般社団法人日本建築学会東北支部「第34回東北建築賞作品賞」、2015年度には「グッドデザイン賞2015」等を受賞しており、各方面から高い評価を受けているプロジェクトでもあります。詳細は既HP等をご参照頂くとして、今回の受賞に際しての思いを浦部准教授にうかがいました。

 

大学が学生とともに取り組んだことに大きな価値がある

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 プロジェクトの合間に、学生さんが三味線やギターなどの楽器を演奏したりして、集落の方が集まって来てくれたこともありました。時には、集落の子ども達も下校時によって交流してくれました。見方を変えると、学生たちが集落にとっては若い交流人口になっていたという面もあります。そういう意味では、特に建築でなくても、また必ずしも質が高くなくても良いと思うのですが、こういった場所では「何かが動いている」だけで、ちょっとした活力になることが大事なのかもしれないと考えさせられました。若い学生たちのエネルギーが地域の活性化につながるように、ソフト面まであわせて取り組むことで、建築の価値も高まるように感じました。「地形舞台」に関しては、外部の方から賜わったご講評でもありますが、「山間の過疎地において古民家を後世に伝え、場所の記憶を継承しながらも、新たな活用の可能性を示す好例」をより長く持続することが重要だと考えます。

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 また、こうした機会が学生たちにとっても良い経験になると思います。昨今、大学では問題解決型学習法であるPBL(Project-Based Learning)を積極的に取り入れようとする動きありますが、こういったプロジェクトもそれを実践するものではないでしょうか。活動を通して学生たちは社会とつながりを持ち、そこで浮かびあがる様々な問題・課題を解決するための方法をともに考え、提案したり実行したりしています。今回の件に絡めて申し上げると、次世代を担う学生たちが、木のぬくもりや木の素晴らしさ、木と触れ合う楽しさを体感することで、“木のある豊かな暮らし”の普及・発展に寄与してくれるものと思います。

 木の可能性は様々な広がりを見せています。間伐材の利用もその一つですが、もともと豊かな森林を有する日本にあって、それを有効活用するのは必然とも言えます。今後は木の工法、木の空間、その使い方、再利用まで含めたモノづくりを考えることが大切になるでしょう。工学部が教育・研究のテーマに掲げるロハス的な発想で、持続可能な社会の実現につながる、“木のある豊かな暮らし”を提案していきたいと思っています。

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