伸びやかで安心感のある高齢者施設群の設計が
卒業設計コンクールの優秀作品に輝く

2015JIA卒業設計コンクールimage002 平成27年4月11日(土)に公益社団法人日本建築家協会東北支部にて「JIA全国学生卒業設計コンクール2015東北支部審査会」が行われ、中島希さん(制作当時は建築学科4年浦部智義研究室所属、現白河市役所勤務)の作品「見えない囲い ―施設の面的解体―」が全国大会への出展作品に選ばれました。昨年度の小林拓也君(同研究室、現修士2年)に続き2年連続の出展になります。
 6月27日(土)に日本全国のJIA各支部・地域大会から選抜された卒業設計の優秀作品50数点による公開審査によるコンクールが東京で開催され、中島さんは東北支部の代表(2作品)として公開審査に臨みます。

 中島さんにコンクールへの意気込みと作品についてお話を聞きました。

―JIA卒業設計コンクール全国大会出展おめでとうございます。感想をお聞かせください。

2015卒業設計コンクールimage004 ありがとうございます。小規模な作品ですが、悩むことが多く、指導してくださった先生や先輩、手伝ってくれた後輩たちのお陰でこのような素晴らしい結果を残すことが出来たと思います。自分が評価されことも嬉しかったですが、応援してくれていた人たちが、自分のことのように喜んでくれた時が一番嬉しかったです。

―作品について詳しく説明していただけますか。

 本設計では、軽度の要介護度の高齢者を対象とした、分散型高齢者施設群を提案しました。敷地として選んだ場所は、福島県白河市の古い路地が残り界隈性を持った、まち中のエリアから周辺との境界に面した6つの空き地です。建築的な操作としては、住宅型有料老人ホームの機能を、高齢者の専有居住部分と、食堂・浴室などの共有部分に分解し、前者をエリア外周、後者は公共性を持たせつつエリアの内に面的に分散配置しました。特に意識したポイントは、まちに開かれエリア内の住民と入居者の移動・交流を生みながら、エリアで緩やかに囲われ安心感のある高齢者施設群を形成することです。また、外周が高い既存建物の形状を考慮し、それに合う空間やデザインとなるように工夫しました。

見えない囲い ―施設の面的解体―.pdf

 ―どのような点が評価されたと思いますか。

2015卒業設計コンクールimage006 まず、「まちなかと高齢者」「住まいと施設」「分散と集約」「開放感と安心感」など、現代的で複合的なテーマそのものに取り組んでいることに興味を持ってもらえた気がします。それに対する回答の1つとして、家族であったり、施設であったり、一つのものに頼りきった形になりやすい介護の問題を、敷地で選定したエリアの特性を活かしながら地域に開き(良い意味で)時に他人に頼れる環境をつくることで解決しようとしている点です。次に、社会性と私性のバランスや、プログラムに合った規模感と周辺との関係性など、全体的に偏りのない提案であった点も評価されたポイントだと思います。偏りがないと言っても、扱っているテーマが高齢者だったので、施設をつくることで、敷地として選定したエリアの界隈性を崩さないよう、地元の強みを活かして丁寧に調査を行いました。もともと特徴のある敷地だったので、調査に時間をかけたことで敷地の良さを引き出し、うまくプログラムとの関係を構築できたことも評価頂いた要因だと思います。

―全国大会に向けての意気込みをお聞かせください。

2015JIA卒業設計コンクールimage008 今回一番やりたかったことは、個人的な経験も出発点の一つになっているのですが、介護が必要な方も含めて高齢者とまち(に住む人)がつながることができるエリアを無理なくつくることでした。高齢者の施設的な話題をテーマとした卒業設計は若々しさに欠けるというか、あまり面白味が出ないと思われるかも知れません。しかし、そういった目の前の現実的な問題に取り組む重要性と、逆にその硬直化している状況を活かして、従来の高齢者の施設的なものとは全く違うものをつくったことと合わせて、短いプレゼンテーションの時間で一番やりたかったことと作品の魅力が伝えられるように、作品のブラッシュアップをしていきたいと思います。各地域の大学数よりも少ない作品数のみ選抜されているレベルの高いコンクールで、滅多にできない経験をさせて頂けるので、沢山の刺激を受けて、楽しんできたいと思います。

―これからの目標についてお聞かせください。

 就職先が市役所ということもあり、今後自分で建築を設計する立場になることは数少ないかも知れませんが、計画・設計を通して学んだ考え方や先生に教わったことは、行政という立場にいても無駄ではないと考えています。むしろ、今までの研究室での様々なプロジェクト経験を通して、行政という立場でしか出来ないことも沢山あると実感していますので、広い視野を持って仕事に取り組み、地元・白河市はもとより広くは福島に貢献したいと思います。また、今回の作品は自分が白河市内でも一番好きな場所で提案し、しかもこのような評価を頂いたということを省みても、将来、現実とすり合わせしながらも、この様な計画やこれに似た作品が実現させることができるように頑張りたいと思います。

―ありがとうございました。今後のご活躍も期待しています。

JIA全国学生卒業設計コンクール2015東北支部審査会の結果はこちら