平成23年1月20日(木)・21日(金)、社団法人日本非破壊検査協会主催による「第42回応力・ひずみ測定と強度評価シンポジウム」が開催され、本学部機械工学専攻1年の吉住朋紘さんが、見事「新進賞」を受賞しました。
 「新進賞」は、学生が発表した論文の中で優れた研究に対し授与れるもので、吉住さんが口頭発表した「衝撃試験による脳の力学特性取得に関する研究」は、頭部外傷実験モデルの考案につながるとして、審査員から高い評価を受けました。
 吉住さんに受賞の感想や研究への思いなど、お話を聞いてみました。

他に類のない研究が魅力

 

―新進賞受賞おめでとうございます。受賞の感想をお聞かせください。

 ありがとうございます。まさか自分がとれるとは思っていなかったので、正直びっくりしました。こうした学会での口頭発表は初めてで発表前は緊張しましたが、研究者の方からいろいろご意見もいただき、賞までいただけて本当に多くの収穫がありました。

 

ー今回発表された研究内容について説明いただけますか。

 「衝撃試験による脳の力学特性取得に関する研究」は、交通事故によって、乗員や歩行者の生命を奪う危険性の高い頭部外傷を、工学的なアプローチから定量的に解明するためのものです。
 日本の交通事故の状況を見ると、亡くなる人の数は年々減少傾向にあります。しかし、死亡や重傷に至る原因の約半数を占めるのが、頭部損傷なのです。どのくらいの衝撃によってどのような損傷が起きるのか、頭部傷害のメカニズムを明らかにすることが、HIC(頭部損傷基準)につながると考えられます。そのためには、正確なシミュレーションを行う必要があります。
 そこで、非覚醒状態を維持させたブタの脳に対して、直接衝撃を負荷する動物実験モデルを使って脳の力学的特性を取得し、衝撃量と傷害の定量化を行いました。これにより、どのような状況で脳挫傷やくも膜下出血が発生するかを想定することができます。

 

ー研究によってどのようなことがわかりましたか。

 実験モデルの脳に、荷重計を内蔵した衝撃試験機を埋め込み、高速で打ち出されるインパクタによって脳に直接衝撃荷重を負荷し、どのくらい圧入したか変位を計測しました。さまざまな条件下で実験を行い、数時間置いて解剖し、どんな傷害がおきたのかを分析。その結果、衝撃の速度が速いほど荷重も高く、脳挫傷などの傷害が発生しやすいことがわかりました。

 

ーどんなところが研究の魅力ですか。

 バイオメカニクスの分野は、国内ではあまり研究されていない領域なので、自分しかやっていない研究だと思うとやりがいがあります。また、自動車の安全につながる研究であることも魅力に感じています。

 

ー今後の目標についてお聞かせください。

 まずは、衝撃試験機インパクタを改良し、さらに精度の高い計測ができるようにしていきたいです。
 将来、この実験モデルが自動車の衝突安全性能試験等で実装化され、安全な車社会に役立つことができるように頑張ります。

 

ー活躍を期待しています。ありがとうございました。

 

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