建築計画の課題作品が公開審査とプレゼンテーションで高く評価される

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 10月20日(木)に、せんだいメディアテークで行われた第20回記念JIA東北建築学生賞(公益社団法人 日本建築家協会東北支部主催)において、建築学科3年の伊藤和輝さんがみやぎ建設総合センター賞(奨励賞)を、同4年の渡部昌治さんが東北専門新聞連盟賞(奨励賞)を受賞しました。応募作品の中から、公開審査に選ばれたのは36作品。審査員の講評による第一次・第二次審査が行われ、13作品が第三次審査のプレゼンテーションに進みました。二人はそれぞれの作品のコンセプトや考えを発表し、審査員の方々に高く評価された結果、賞をいただくことができました。二人の喜びの声とともに、受賞作品について紹介いたします。
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■みやぎ建設総合センタ―賞 『連続と交錯 ―記憶と理想の架け橋―』

建築学科3年 伊藤 和輝さん(空間デザイン研究室※ゼミナール生)

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2016jia%e6%9d%b1%e5%8c%97%e5%bb%ba%e7%af%89%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%b3%9eimage008 まず、選出されたことが大変光栄でしたので、賞は意識せずに大学の代表として精一杯やることだけを考えて準備をしました。評価されて嬉しく思うとともに、責任を果たせて安心しています。今回の経験を通して、人によって捉え方が違うので、いかに自分が表現したいことを伝えられるかが大事だと思いました。
 建築には見た目で評価したり、空間的に評価したり、人それぞれが様々な観点で見られる楽しさがあります。これからも、現地調査によって現状を把握したうえで、そこでしかできないことを考えて環境にあった建築を表現したいと思います。

 

■東北専門新聞連盟賞 『宿工房 ―ある人の帰還―』

建築学科4年 渡部 昌治さん(建築計画研究室)

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2016jia%e6%9d%b1%e5%8c%97%e5%bb%ba%e7%af%89%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%b3%9eimage010 この「帰還」と「巡礼」をキーワードとした、住居であり、事務所であり、工房であり、宿坊でもある小規模多機能な建築の設計の中で、最も表現したかったポイントは、設計士・大工・住民・来訪者が吹き抜けになっている食堂を中心に様々につながるということです。外観は周囲に馴染みながらも拠点としてふさわしい開放感を意識しました。原発事故で全町民が避難している町においては、箱物の建築が亡霊のように佇んでいます。そのような傷を負った町にとって、小さくも実態のある血の通った建築こそが必要であり、“フクシマ“変える力になると考えました。
2016jia%e6%9d%b1%e5%8c%97%e5%bb%ba%e7%af%89%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%b3%9eimage011 今回、プレゼンテーションに進むことができ大変嬉しかったのですが、質疑に対して上手く答えられなかったのが心残りです。異なる課題の作品が集まった中で注目されるためには、どんなふうにアピールすればよいのか勉強になりました。これから卒業設計に取り組むうえでの予行練習にもなり、自分にとってよい経験ができたと思います。
 建築の魅力は、正解や答えがないこと。時間とともに使われていく過程の中で、その答えが見えてきたり、それぞれ使う人によって魅力も変わってきます。そこが建築の面白さでもあります。将来、設計士になることを目指し、もっと腕を磨いていきたいと思います。

2016jia%e6%9d%b1%e5%8c%97%e5%bb%ba%e7%af%89%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%b3%9eimage012 プレゼンテーションに進み、惜しくも賞には至らなかったものの、会場の人気投票で同点3位に輝いた建築学科4年の天城周恵さんの作品『路上舞台―日常のハレー』。選定した郡山市の大規模商業施設の跡地に、小規模なホールと図書館を核としながら、郡山市民の多様な学び、新たな文化・音楽活動の拠点として、また幅広い年齢層の住民が世代を超えて交流できる施設をめざし、計画・設計しました。

 学生たちにとって審査員から直接指摘やアドバイスをいただいたことは、大変貴重な経験になったはずです。これを糧にして、今後の制作活動に大いに励んでほしいと願っています。

 

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