独創的な建築設計作品とプレゼンテーションの妙味で優秀賞と奨励賞に輝く

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 10月18日(金)に、せんだいメディアテークで行われた第17回JIA東北建築学生賞(公益社団法人 日本建築家協会東北支部主催)において、建築学科4年の樋口卓史さんが優秀賞を、同じく星陽太郎さんが奨励賞(東北専門新聞連盟賞)を受賞しました。公開審査に選ばれたのは37作品。審査員の講評による第一次・第二次審査が行われ、10作品が第三次審査のプレゼンテーションに進みました。二人はそれぞれの作品のコンセプトや考えを発表し、審査員の方々に高く評価された結果、賞をいただくことができました。二人の喜びの声とともに、受賞作品について紹介いたします。

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優秀賞「都市の茶の間―集落的建築」
建築学科4年 建築計画研究室 樋口 卓史さん

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幼少の頃の白石市(左) 現在の白石市を調査(右)

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一次審査で説明を聞いてくださった審査員の方々には、自分の考えを上手くアピールできたと思います。ギリギリのラインでしたが、第三次審査のプレゼンテーションに残り、“実現性の高さ”と“学生らしさ”をバランスよく盛り込んだ提案であることを強調しました。


 「都市の茶の間―集落的建築」pdf

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「建築を造ることは、未来を造ること」という言葉がありますが、建築の魅力は答えがないことだと思います。%e7%ac%ac%ef%bc%91%ef%bc%97%e5%9b%9e%e6%9d%b1%e5%8c%97%e5%bb%ba%e7%af%89%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%b3%9eimage016だから常に新しいものに挑戦できるし、未来を変えていくこともできる。建築を造るだけでなく、社会やその土地の風景まで考えた建築設計を目指していきたいと思っています。

 

奨励賞(東北専門新聞連盟賞)「修験道資料館-見る・歩く・感じる―」 建築学科4年 建築歴史意匠研究室 星 陽太郎さん

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実は、こんなもっともらしいことを言っても、私自身、そのことについてよく知っていたわけではありません。その存在を知ったのは、研究室で会津の修験道の施設を見学に訪れた昨年、3年生の時のことでした。
 その思想に触れて以来、自然と人間との関係について考えるようになり、ある時ふと、古来より人は自然に依存しながら命をつないできたのに、今や科学技術の進歩によって、自然を支配したかのように振る舞い、敬意と畏怖を失っていることに気づきました。そしてさらに考えを深めていくなかで、東日本大震災は、自然がそうした私たちの傲慢を諌めた出来事だったのではないか、とすら感じるようになりました。

 であるなら、震災からの復興に向けて必要なことは、何よりもまず、傲慢になった私たちが謙%e7%ac%ac%ef%bc%91%ef%bc%97%e5%9b%9e%e6%9d%b1%e5%8c%97%e5%bb%ba%e7%af%89%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%b3%9eimage018虚になって、自然への敬意と畏怖を取り戻すことではないか。そのためのモデルになるのが、自然から深い智慧を学んできた修験者です。今回、4年生の設計課題として復興がテーマに与えられ、彼らがどのように自然から学んでいたのか、その精神を伝える修験道資料館を郡山という都市の市街地に造ることこそが、今最も必要だと考えて、取り組むことにしました。


「修験道資料館―見る・歩く・感じる―」pdf

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