復興住宅をテーマにした作品で最優秀賞を受賞 

 平成23年11月8日(火)、第15回JIA東北建築学生賞の公開審査が仙台市の「せんだいメディアテーク」で行われました。東北地方の大学、高専、専門学校の建築学科等の学生を対象に、応募された学校の課題で未発表の建築設計作品の中から、書類審査を通過した作品について公開で審査するというものです。本学部建築学科からエントリーした3作品すべて書類審査を突破し、公開審査に挑みました。その結果、建築学科4年の仲田亮平さん(写真1列目左)が見事最優秀賞(1位)を受賞しました。

 仲田さんに、受賞の喜びと作品に対する思いを語っていただきました。

「避難者のための集住体」―被災者と街の復興をテーマに

 

―最優秀賞受賞おめでとうございます。まずは感想をお聞かせください。

 正直、上位に残るのも難しいかもと思っていました。見た目の印象では他にも図面のレイアウトが上手な作品が幾つもあり、自分の作品は埋もれてしまうのではないかと。審査員の投票による1次審査では得票数でトップになり、最終審査に進み少し自信を深めましたが、プレゼンテーションは少し緊張しました。「これからは、若い人がどう考えるかが大事。期待している」と講評をいただいたので、設計に至った発想が評価されたのだと思います。

 

―受賞した作品は、どのような課題で制作したものですか。

 前期授業の設計課題「避難者のための集住体」で作成したものを夏休み中にブラッシュアップしたものです。東日本大震災で住むところを奪われ、いつ戻れるかも分からない福島県の被災者たち。現在は避難所から仮設住宅に移り始めていますが、その被災者のために郡山に復興住宅を設計するとしたら、どのように造るかがテーマでした。100世帯を目安とし、次のことを踏まえて設計を考えました。

 

 

 

―具体的な設計主旨についてお話しいただけますか。

 故郷に家も職もあって避難している人たちが、いつかは帰れるという希望を持ちながら、生活するためにはどうすればよいか、そこが一番のポイントでした。テレビなどのメディアでは、農業や漁業などの第一次産業の被災者に注目が集まっていますが、実は原発周辺の5つの町では、第二、三次産業の職種の方々も少なくありません。その方々はどこにいるのだろうと調べてみると、何割かは関東圏に行っていることが分かりました。多くの仮設住宅は郊外に造られています。「関東に行った人は、交通の便の悪い場所より、都市部に住みたいのでは―それなら郡山市の中心街に仮設住宅を造ろう」と考えたのです。空洞化している郡山市街地中心に、就労意識の高い、エネルギーの溢れる人たちが住むことによって、街を活気づけるきっかけにもなると考えました。

人を元気にすることができる建築をめざして

 

「TRANSFORM―暮らしの記憶―」という作品にはどんな意図がありますか。

 この作品では、2012年から2030年までの復興ストーリーを重視して設計しました。おそらく、計画的避難区域以外の郡山市民の方々の多くは、特に時間が経つにつれ、現状を自分のこととして意識し難くなるかも知れません。そこの意識のズレを共感につなげるために、復興が進むにつれて建物の形を変えていくという手法を取り入れたのです。

 2012年、郡山市街地に、木造のフレームに仮設住宅のユニットを組み込む形で復興住宅を建てます。また、集住体の中心にモニュメンタルな役場の仮分庁舎を置きます。街は被災者と連携しながら、少しずつ賑わいを取り戻していく―。2015年には、故郷へ戻る被災者の姿もあり、諦めかけていた人も希望を持ち始めます。同時に、被災者がいなくなるとユニット住宅も減っていき、建物のカタチも変わっていきます。多くの被災者の方々が帰れるようになった2020年。郡山市民の暮らしの中にも記憶として共有され、2030年には、残ったモニュメント(分庁舎)が郡山と被災地の新たな復興の第一歩として、暮らしの記憶が残ったメモリー(記録)となります。被災者と郡山の街が互いの力を借りて、元気になっていくというわけです。
第15回東北建築学生賞最優秀賞受賞作品.pdf

 

―建築の魅力はどんなところだと思いますか。

 建築の道へ進んだのは、大きな建物を設計してみたいという思いからでした。実際に学んでみると、スケールよりも緻密さが重要な分野であると分かりました。今は、モノをつくることもさることながら、ストーリーをつくることの大切さや面白さを実感しています。自分の考えを形にして人に伝えられるところが、建築の魅力だと思います。

 

―これからの目標についてお聞かせください。

 まだ、模索しているところですが、人々の暮らしをよくするための建築に携わることができたらいいなと思っています。今回の作品でも考えたように、建築というもので人を元気にできる、応援できるんだということを伝えていきたいですね。

 

 

―ありがとうございました。今後の活躍を祈念しています。