人工湿地の浄化性能を追究

その成果が高く評価される

日本水環境学会優秀発表賞image002平成26111()に東北大学青葉山キャンパスで行われた第1回日本水環境学会東北支部研究発表会において、土木工学専攻1年の森拓馬さんが優秀発表賞を受賞しました。本発表会は、公益社団法人日本水環境学会東北支部が主催する若手研究者の奨励を目的とする研究発表会で、審査対象者19名に対し、3名が優秀発表賞に選ばれました。

森さんの喜びの声とともに、発表した「PETボトルリサイクル工場排水を処理する多段型人工湿地の浄化性能」の研究について詳しくお話を聞きました。

 

―この度は優秀発表賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

この研究について理解していただけるかどうかが大事だと考え、発表のときは自分なりにわかりやすく伝えるよう心掛けました。難しい質問もあり緊張しましたが、丁寧に対応したのが良かったと思います。研究を続けてきて、成果が得られたことに満足しています。そのうえ賞をいただけたので、研究に対するモチベーションもますます高くなりました。

 

―研究について具体的に説明いただけますか。

日本水環境学会優秀発表賞image004 私たち環境生態工学研究室では、自然の湿地での沈殿、生物分解、酸化反応と還元反応の連動といった浄化メカニズムの原理を応用して、人工的に水質浄化性能を向上させた人工湿地の研究を行っています。現在、全国15か所で人工湿地を用いた排水処理が行われていますが、家畜を飼育する畜舎に限られていて、工場などの産業排水に適用されている例はほとんどありません。産業排水等に広く利用できるようにするためには、その処理技術の信頼性を高めることが必要です。そこで、実際に静岡県富士市にあるPETボトルのリサイクル工場の排水処理に使われている人工湿地の水浄化性能について研究を行いました。

 

―人工湿地のシステムや研究方法について説明いただけますか。

 日本水環境学会優秀発表賞image006研究の対象である人工湿地の面積は143㎡。50tの排水処理を目安にしています。人工湿地に流入した工場の残留排水と洗浄廃水を4段の鉛直流式に構成された調整濾床を含む4つの濾床でろ過しながら浄化する仕組みになっています。有機物を生物的に分解する方法と物理的に除去する方法で水処理を行っていることが特長です。物理的な方法だけでは汚れが溜まって目詰まりを起こしてしまうからです。微生物が有機物を食べて酸化させる生物的分解を併用することで、スムーズに汚れを除去することができます。この人工湿地の日本水環境学会優秀発表賞image008水質浄化性能を検証するために、どんな有機物がどのくらい残っているのか、各濾床の除去率を調べました。

 

―どのような結果が得られましたか。

 水の有機汚染度を示す値であるBOD(生物化学的酸素要求量)の平均除去率は90%、水の富栄養化を表す指標であるT(全窒素)の平均除去率は75%T-P(総リン)の平均除去率は87%という結果でした。水質項目に関わらず濾床1の寄与率が高く、逆に濾床3の寄与率が低いことが明らかになりました。また、冬は微生物の活動が鈍ることから、除去されにくいこともわかりました。

 

―どんなところがこの研究の魅力ですか。

 高校のときから環境に興味があり、日本大学工学部の土木工学科なら環境について学べると思い入学しました。だから、水をテーマにした環境について研究できることは、自分にとって最大の魅力です。特に人工湿地の研究は土木工学科でも新しい分野。大学院に進学したのも、中野和典先生にご指導いただく中で、もっと研究を続けたいと思ったからです。また、実際にどのような成果があるのかを現地に行って見ることができるのも、この研究ならではの魅力だと思います。最初に排水がきれいな水になっているのを見た時は、とても感動しました。

 日本水環境学会優秀発表賞image010

―今後の目標をお聞かせください。

 日本水環境学会優秀発表賞image012濾床3の浄化性能の向上が人工湿地のシステムの課題であることがわかったので、その改善策を検討します。さらに2年目に入って、どういうふうに変化していくのかを観察していきたいと思います。人工湿地の研究を極めることが大きな目標です。

 

―ありがとうございました。今後の研究成果も期待しています。

 

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