新しい研究分野に挑戦する苦労と喜びが詰まった優秀ポスター賞

2013%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%af%e3%83%adlpso%e5%84%aa%e7%a7%80%e3%83%9d%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc%e8%b3%9eimage002 3月18日(月)、科学研究費補助事業・新学術研究領域研究「シンクロLPSO」平成24年度成果報告研究会において、平成24年度機械工学専攻博士前期課程修了の千葉健太郎さんが優秀ポスター賞を受賞しました。「新学術領域研究(研究領域提案型)」は、研究者や研究者グループにより提案された、我が国の学術水準の向上・強化につながる新たな研究領域について、共同研究や研究人材の育成等の取り組みを通じて発展させることを目的に、文部科学省が研究費を補助するものです。平成23年度から始まった「シンクロ型LPSO構造の材料科学」に、本学部総合教育物理学教室材料強度物性研究室も参画しています。 
 今回、研究成果についてポスター発表を行った16件の中で優秀ポスター賞に選ばれたのは千葉さんを含め3名でした。千葉さんの喜びの声とともに研究についてお話を伺いました。

 

―優秀ポスター賞おめでとうございます。受賞の感想をお聞かせください。

 機械工学専攻1年次では思うような研究成果が得られず、発表の機会がありませんでした。2年次になってようやく成果が出ましたが、発表するのは今回で3回目です。最後に発表の機会に恵まれ、このような賞をいただけて大変嬉しく思っています。表彰状には私の名前が書かれていますが、指導していただいた先生方や研究室の先輩・後輩など多くの皆さんのご支援のおかげであり、深く感謝しています。

 

―研究の内容について詳しくお話いただけますか。

 私が発表したのは「Mg97-Zn1-Y2(mol%)合金押出材の強度に及ぼすキンクバンド間隔の影響」についての研究成果です。Mg97-Zn1-Y2(mol%)合金は、微細結晶粒のα-Mg相及び、溶質原子濃度の変調と結晶構造の変調が同期したシンクロ型長周期積層構造(LPSO)相か2013%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%af%e3%83%adlpso%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%af%e3%83%adlpso%e5%84%aa%e7%a7%80%e3%83%9d%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc%e8%b3%9eimage004らなるマグネシウム合金です。この合金は従来の展延性マグネシウム合金と比較し高い強度を有していますが、強化因子のひとつとして、塑性変形する際にLPSO相中にキンクバンドという変形組織が形成されることが考えられます。現在、キンクバンドがどのようにできるのかなどについては研究が行われていますが、力学特性に与える影響について統計的に調査した報告はありません。そこで、キンクバンドの数量を画像処理によって統計的に調査し、キンクバンド同士の間隔が力学特性に及ぼす影響について調査しました。試料は熊本大学で作製したものを使用し、九州大学等と共同で研究を進めています。

 

―どのような研究成果が得られましたか。

 試験片を精密に切りだし、エメリー研磨などで形状を整え、不活性ガス炉で熱処理を行いました。その後、電解液に浸けて表面を鏡面状態に仕上げた試料に、圧延を施すことによって、キンクバンドを導入しました。その後、試験片をレーザー顕微鏡観察し表面に生じたキンクバンドの数量や方向・間隔などを、画像処理により統計的に調査しました。一般的な結晶性材料において、結晶粒径と硬さはホール・ペッチの関係という式で表わされますが、この研究ではキンクバンドの間隔と硬さの間にホール・ペッチの関係が成り立つことがわかりました。また、キンクバンドを導入した場合、室温だけでなく400℃付近の高温においても強化されることがわかりました。

キンクバンドの間隔から求めたホール・ペッチの関係

キンクバンドの間隔から求めたホール・ペッチの関係

キンクバンドの導入による硬さの増加

キンクバンドの導入による硬さの増加

 

―研究の魅力はどんなところですか。

 予想と異なる実験結果が出たり、前例のない出来事が起こることばかりで、苦しいことも多くありました。しかし、自分で得た実験結果を元に発表を行い、他の研究者の方や先生方から評価していただいた際には、研究を行っていなければ得られない喜びを感じることができました。

 また、最後までご指導いただいた先生方、研究を通して同じ苦労を経験した先輩や後輩との繋がりを築くことができたのも大きな経験だと思います。

 

―これからの抱負についてお聞かせください。

2013%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%af%e3%83%adlpso%e5%84%aa%e7%a7%80%e3%83%9d%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc%e8%b3%9eimage010 学部・大学院での研究を通して、未知のことや予想外の結果に直面したとき、議論を重ね工夫をし、様々な方法でアプローチし続けていけば解決策にたどり着けることがわかりました。また、議論の際に相手が何を伝えたいのか把握し、それに対して適切な答えを返すことや最後までしぶとく課題に取り組み続ける姿勢も身につきました。
 4月からは社会人。学生の時と比較してあらゆる面で変化すると思いますが、常に様々な経験をして多くの方々と交流を持ち、いつまでも成長し続けていきたいです。

 

―ありがとうございました。今後の活躍を心より祈念しています。

 

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