光触媒反応による有機物分解機構の研究が評価され
優秀ポスター賞と優秀発表賞のダブル受賞

2015化学系学教会セラミックス協会受賞image002 生命応用化学専攻博士前期課程2年の飯田祐一郎さんが、平成27年度化学系学協会東北大会において優秀ポスター賞を、さらに平成27年度日本セラミックス協会北海道・東北支部郡山地区セミナーにおいて優秀発表賞を受賞しました。いずれも酸化チタンナノ膜を利用した排水処理方法に関する研究で、分解機構のメカニズムの解明することによって処理効率の向上を目指しており、繊維・染料産業への実用化も期待されています。

 飯田さんの喜びの声とともに、研究について詳しくお話を聞きました。

 

2015化学系学協会セラミックス協会受賞image004―優秀ポスター賞、そして優秀発表賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 ありがとうございます。先に発表した『紫外線下での酸化チタン微粒子膜に吸着したメチレンブルーの光分解機構』で優秀ポスター賞、次に多孔質の酸化チタン膜を使ってメチレンブルーの光分解評価実験を行った成果を口頭発表し、優秀発表賞をいただきました。異なる学会でそれぞれ評価され、嬉しさと同時に今後の研究への励みになりました。

―研究について詳しく説明いただけますか。

 繊維・染料産業などで流出される排水に含まれる有機物染料は、凝縮や活性炭吸着、生物学的処理、光触媒反応などを用いて処理が行われています。その中で、私は光触媒反応に着目しました。紫外線を照射することで有機物を脱色し、無色化することができる光触媒反応処理には、酸化チタンが用いられています。JIS(日本工業規格)の「光触媒製品における湿式分解性能試験」でも、水に溶解した有機染料であるメチレンブルー(MB)を光触媒反応で無色化することができるとされています。この反応における有機物の分解機構を解明することで、処理効率の向上につながると考え、定量評価するための研究に取り組みました。

 2015化学系学協会セラミックス協会受賞image006この研究の特徴的なところは、溶液中ではなく空気中で光触媒反応実験を行ったことです。溶液中では撹拌により、酸化チタンに対してメチレンブルーの吸着と脱離が連続的に起こっているため、脱色と脱メチルの分岐比を定量評価することが困難だからです。多孔質構造の酸化チタンナノ微粒子膜にメチレンブルーを吸着させた試料を空気中で紫外線照射した後、エタノールで酸化チタン膜に吸着した分子を脱離させ、その溶液の吸収スペクトルから脱メチル化と脱色の定量評価を試みました。その結果、脱色したメチレンブルーを定量化すると30%無色化していました。30分間紫外線照射を行った膜では、80%無色化していることもわかりました。

―どのような点が評価されたと思われますか。

2015化学系学協会セラミックス協会受賞image008 まず、定量的に評価したことだと思います。他大学の先生も今までわからなかったことを解明したと興味を示されていました。さらに、溶液中で実験するというこれまでの概念を取り払い、空気中での実験を試みたことも独創的だったのではないでしょうか。また、日本セラミックス協会での口頭発表の時には、多孔質構造の酸化チタン膜を使って実験したところが評価されたようです。

 

-今後の目標についてお聞かせください。

 この研究に関しては、条件を変えて実験しようと考えています。今回の発表を通して、さまざまな方からアドバイスをいただきました。例えば、空気中の濃度を変えて実験したらどうか、温度を2015化学系学協会セラミックス協会受賞image010変えたらどうか、また水分によっても分解反応が変わるのではないかというように、この研究への期待も込めてアドバイスいただけたものと思っています。ぜひ活かしていきたいです。

―どんなところが研究の魅力ですか。

 予期していないことが起きるのが研究の魅力です。どうしてこうなるのか、なぜなのかを追究していくことに興味があり、面白さを感じています。

 放射線測定の会社に就職が決まり、将来は放射線を吸収するような研究に取り組みたいと思っています。研究を通して、地元福島の復興に携わり貢献できるように頑張ります。

―最後に後輩のみなさんにメッセージをお願いします。

 失敗にくじけないでほしいです。失敗は終わりではなく結果の一つ。ノーベル賞を取った人も失敗を繰り返して成果につなげています。諦めずに成功するまで続けることが大事だと思います。

―ありがとうございます。今後の活躍も期待しています。

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