第一線で活躍するプロの建築家による講評会が行われ
学内審査で選ばれた8作品の中から最優秀作品が決定!

 『平成30年度日本大学工学部建築学科卒業設計作品展』が、2月12日(火)から14日(木)の3日間にわたり、郡山駅前のビッグアイ6階市民ふれあいプラザにて開催されました。学内審査によって選ばれた8作品を展示し、広く一般の方々にも学修成果をご覧いただくとともに、初日には、8名のJIA(公益社団法人 日本建築家協会)福島地域会員の建築家の方々による講評会も行われました。第一線で活躍するプロの建築家を前にプレゼンテーションを行う学生たちは緊張しながらも、作品に込めた熱い思いを伝えていました。

『サイノカワラ―記憶の遡行―』 牧野 美里さん

 石巻市民の心の拠り所である北上川沿いに、東日本大震災の記憶を遡行し、命を思いながら石を積むことをテーマとするメモリアル施設を提案。震災を次世代につなぐ空間として、また緊急時の防災としての機能も付加した。

『YOKOHAMA Kids Museum―アートからなる子どもの遊び場』 杉山 夏菜さん

 みなとみらいを敷地に設定し、隣接する海や公園と融合した外部空間を提供しながら、美術館とランドスケープの融合、体験型のプログラムや空間構成により、創意工夫の面白さや好奇心を刺激する子どもの遊び場を提案した。

『さるくが育むまちの日常―路空間の滋養』 荒木 千春さん

 長崎市の斜面市街地の四つのエリアの空き家・空き地を路として再生させ、子どもたちの豊かな遊び空間にすることを提案。まち歩きしながら体力不足を解消し、まちの魅力を体感する子どもを通して地域コミュニティも形成する。

『ファンクションルーフ―雪を旨とすべし―』 鈴木 宏明さん

 只見町役場の建て替えを行い、雪まつりと施設の融合や雪を使った教育の場を目指すことで、雪文化に寄り添った地域コミュニティの場をつくることを提案。屋根形状、勾配に配慮し雪を積極的に活用できるよう計画した。

『星峠―棚と小屋がつくる未来―』 小野 菜津実さん

 中山間地域の代表的な農地である「棚田」という地形を段階的に守る計画、手法を考案。農業従事者のための小屋の機能を軸に必要な施設を計画するとともに、稲作に変わる生業として「アクアポニックス」の導入も提案した。

『湖展―水と向き合う建築―』 安藤 紗弥加さん

 水質汚染が顕著な湖を対象に、湖面のギャラリー、自然を体感する公園、生態系を観察できる展望施設を計画。水質が良くなることで花が増加するなど、建築の存在により水に対する意識の向上につなげることを目指した。

『地図にない建築―内海を漂う方舟―』 兵頭 秀子さん

 無機質な政策とインフラに侵食されつつある瀬戸内海の島々が100年後も続いていくために、時系列で課題を抽出し、観光と教育の場の整備を通して街の在り方を提案。人工島と組み合わせることで、その可能性も探っている。

『はじまりの塔―日常性バイアス―』 仰木 啓大さん

 農村漁村地域の新しい集落の在り方を考え、自然災害への対策、生業の継続といった2つの課題に対応できる建築を提案。生活や生業を支える5つの塔は機能転換を行い、大災害時には避難所として機能させる。

 作品の意図や何を表現したいかを一生懸命説明する学生たち。審査員の方々からはプロ目線での鋭い質問や厳しい意見もありましたが、学生ならではの発想や視点に感心する場面もありました。一人ひとりの発表に丁寧かつ真剣にアドバイスしていただき、学生にとっては大変有意義な審査会となりました。


人をもっと楽しくさせる建築を提案できるよう、いろいろ経験を積んでいきたい

 各作品のプレゼンテーション終了後、公開審査が行われました。審査員一人ひとりが推薦する作品を挙げ、評価する点について説明されました。学生たちが一喜一憂しながら審査の様子を見守る中、最終的に2つの作品に絞られ、最後は挙手による投票により最優秀作品1点が決定。荒木千春さんの作品『さるくが育むまちの日常―路空間の滋養』が見事、JIA福島地域会賞に輝きました。受賞した荒木さん(写真左)は、「みんな素晴らしい提案だったので、自分が選ばれたことに驚いています。実際に地域の方々や地区会長と何度もお会いして話を聞いたので、いい作品にしたいと思って取り組みました。まちの魅力が伝わったとしたら大変嬉しいです。現実を踏まえたプロの方々のアドバイスは大変勉強になりました。人をもっと楽しくさせる建築を提案できるよう、いろいろ経験を積んでいきたいと思います」と喜びを噛みしめながら、建築への思いを一層強くしていました。JIA福島地域会長の三瓶一壽氏(写真右)からは、「年々、皆さんのレベルがあがってきており、可能性のあるいい提案が多くて嬉しく思います。テーマの捉え方が堅実で考え方もしっかりしている。是非とも建築設計の世界で活躍されることを期待しています」とエールをいただきました。この場をお借りしまして、審査に携わっていただきましたJIA会員の皆様に厚く御礼申し上げます。

 賞に関わらず、ここに選ばれた8作品は、それぞれ自分にしかできない提案や手法でアプローチした魅力的な作品ばかりです。作品と向き合い、最後までやり遂げたことを自信にして、力強く未来に向かってほしいと思います。そして培った経験を活かして、今後益々活躍されますことを祈念しています。