環境化学工学研究室の院生2人の研究が
高く評価され最優秀および優秀講演賞を受賞

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917()19()に九州大学で開催された公益社団法人化学工学会第46回秋季大会のシンポジウム <最先端プロセスを支える基礎物性 -測定とシミュレーション->において、工学研究科生命応用化学専攻博士前期課程1年の中村彪さんが最優秀講演賞、同1年の渡邊正輝さんが優秀講演賞を受賞しました。本研究の成果は、最先端・次世代研究開発支援(NEXT)プログラム、科学研究費助成事業・基盤研究(B)によるものです。2人の喜びの声とともに、研究について詳しくお話を聞きました。

 

最優秀講演賞受賞 中村彪さん(生命応用化学専攻博士前期課程1)

「高圧下における密度・粘度・ガス溶解度測定装置の開発」

2014化学工学会講演賞受賞image004大きなプラントで新しいものを創る時には、設計するための基礎データとして物性値が必要となります。従来、密度、粘度、ガス溶解度の測定は個別の装置で行われ、それぞれ多くの試料を必要としていました。そのため、効率が悪くコストもかかってしまいます。そこで本研究では、極めて少ない試料で密度、粘度、ガス溶解度の3つの物性を同時に測定できる装置の開発を行いました。さらに開発した装置で実際にデータを測定し、文献データと比較することで健全性を検証。改良を繰り返し、高精度なデータ測定を実現することができました。学会では、装置の開発とそこから得られた測定結果について発表しました。

この研究は先輩から引き継いだものではなく、一からのスタートだったので、なかなか上手くいかないことが多く試行錯誤の連続でした。神戸大学大学院工学研究科、独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)と共同で研究を進める中で、伝説の技術者の方に装置を設計していただくなど、皆さんの協力があって開発に結びつきました。国内でこうした実験をできる装置がないこともあり、企業の方からも絶賛されています。

 口頭発表は初めてだったので、壇上に立つまでは緊張感でいっぱいでした。発表が始まると指2014化学工学会講演賞受賞image006導教員の児玉先生のご指導のおかげで、練習通り上手くプレゼンテーションできました。質疑応答では、開発した装置についての質問が来ると思っていましたが、測定に関する質問が多かったのは意外でした。測定データの精度が高かったことで、今後の研究推進に期待を持たれたようです。受賞の実感はないのですが、発表に至るまで頑張った過程を評価してもらえたのは大変嬉しかったです。

今後は、開発した装置で世に出ていない新たな物質のデータ測定に挑むことが目標です。初心に返り、また一から研究に取り組んでいきたいと思います。

 

優秀講演賞受賞 渡邊正輝さん(生命応用化学専攻博士前期課程1)

「磁気浮遊天秤を用いたイオン液体のCO₂溶解度に及ぼすアニオン効果の検証」

2014化学工学会講演賞受賞image008 CO₂の吸収量が高いイオン液体を見つけることを目標に研究を進めています。イオン液体は陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)で構成されていて、アニオンの種類によってCO₂溶解度が大きく変わることがわかっています。そこで、磁気浮遊天秤を使ってイミダゾリウム系イオン液体のアニオンの種類を変えてCO₂溶解度について測定し、アニオンの添加効果を検証しました。磁気浮遊天秤は、1mLほどの極めて少ない試料でCO₂溶解度を測れるというメリットがあります。アニオンをどのような構造にすればCO₂をよく吸収するかを文献データと比較するなどして、その傾向を導き出しました。日本でこの研究に取り組んでいる研究機関はほとんどなく、自分の出した測定結果が世界で最初のデータになるかもしれないと思うと胸も高鳴ります。

2014化学工学会講演賞受賞image010 学外で発表したことはありますが、全国大会は初めての経験。緊張していないつもりでしたが、レーザーポインターを握る手が小刻みに震えていたのがわかりました。たくさん質問をいただき課題が見つかるとともに、この研究に興味を持ってもらえたことを実感できました。授賞式で自分の名前を呼ばれた時は、驚きのあまり起立するのも忘れていました。学部生の頃からこの研究に携わり、実験の仕方などを先輩に教わりながら続けてきたので、その成果が大きな賞に結びついて感無量です。

 最大の目標はCO₂吸収率の高いイオン液体を見つけること。まずは、測定の精度をさらに高め、より信頼できる測定方法の確立を目指します。これからもコツコツと努力して成果を積み重ねていきたいと思います。

 

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