最新のコンピュータシミュレーションを駆使した
バイオインフォマティクスの研究が最優秀ポスター賞に選ばれる

 10月5日(金)に日本科学未来館で開催された『トーゴーの日シンポジウム2018~バイオデータベース:つないで使う~』(科学技術振興機構(JST)バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)主催)において、生命応用化学専攻博士前期課程1年の渡邊妙子さんが優秀ポスター賞を受賞しました。本シンポジウムでは、生命科学系データベースの開発者・利用者の活発な研究・開発意欲を奨励するため、最も優れた1件のポスター発表に対して『優秀ポスター賞』を授与しています。2018年度は63件の一般発表があり、バイオインフォマティクス研究室に所属する渡邊さんが発表した『ライフサイエンスデータベースを利活用したバイオインフォマティクス研究』が、優秀ポスター賞として選出されました。
 渡邊さんに受賞の喜びと研究について詳しくお話を聞きました。

生体分子シミュレーション、ゲノム解析、AR技術など
研究室で進めている研究内容を発表してきました

 

―優秀ポスター賞受賞おめでとうございます。感想をお聞かせください。

 ありがとうございます。学会への参加自体が初めてで、しかも研究機関等の研究者の方ばかりが参加されているシンポジウムでしたので、私が優秀ポスター賞に選出されるとは思ってもいませんでした。参加者の方々の投票の結果ではありますが、難関の試験に合格したような感覚です。後輩からもメールで「おめでとう!」と言われて、「やったー!」と喜びたい反面、ポスターの作成には指導教員の山岸賢司先生や研究室の先輩方にご助力いただいたので、自分の力ではないという複雑な気持ちもありました。今回は先生や先輩方のおかげだと深く感謝しつつ、次は自分の力で評価をいただけるように頑張りたいと思います。

 

―研究発表の内容について詳しく説明いただけますか。

 私たちの研究室では、様々なライフサイエンスデータベースを利活用した次のようなバイオインフォマティクス研究を進めています。

①Protein Data Bank(PDB)というタンパク質構造のデータベースを利用して、生体分子に対する分子シミュレーション解析を進め、生体分子の構造と機能の解析を行っています。

近年では、核酸分子とその標的タンパク質との相互作用について解析を進め、新機能性核酸分子の開発を目指し、精力的に研究に取り組んでいます。

②国立生物工学情報センター(NCBI)というゲノムデータベースを利用して、口腔内サンプル由来の細菌叢メタゲノム解析を進めています。16S rRNA遺伝子に依存しないNグラム配列に基づく細菌叢解析法の開発を目指しています。

③ChemDBやCCDC(Cambridge Crystallographic Data Centre)などの分子構造データベースと連動して、分子構造をAR技術により表示できる携帯端末の開発を進めており、化学教育への展開することを目標に研究を行っています。

 ポスター発表では、研究室を代表して、研究室で進めている上記の3つの研究内容について紹介しました。私が取り組んでいるのが、①のタンパク質のデータベースを使った分子シミュレーション解析です。特に、核酸とタンパク質がどのように相互作用しているのかを解析して、医薬品などに利用できるようにすることが目的です。

 

―どのような点が評価されたと思われますか。

 フラッシュトークという1分間のプレゼンテーションを行い、研究の概要を伝えました。その結果、ポスター発表の場には大変多くの研究者の方に来ていただき、発表時間を通じて、質疑が絶えない状況でした。大変注目された研究であったこと、これが評価につながったのではないかと考えています。
 質疑では、製薬会社の方も説明を聞きに来られるなど、様々な分野の方が私たちの研究に興味を持っていただいていることを実感しました。でも、今の自分では、他の人がわかるように的確に答えるのはとても難しかったです。もっと勉強する必要があると感じています。学会発表を通じて、とてもいい経験になりました。また、現在、研究室で取り組んでいる研究は、それだけ注目されている研究であることを改めて実感することができました。

複雑な生命のしくみを分子という視点で、
ひとつひとつ理解できることが魅力です

 

―どんなところが研究の魅力ですか。

 私たちの体の中で起きている様々な化学反応を、コンピュータの中でシミュレーションすることで、なぜ反応が起きるのか?原子レベルでその仕組みを知ることができます。分子シミュレーション解析では、複雑な生命の営みをひとつひとつ理解することができること、これが最大の魅力です。このような、情報技術を駆使したバイオインフォマティクスは、今後益々発展することが期待されており、様々な分野に展開できることも魅力です。バイオインフォマティクスを用いて研究を進める上では、化学の幅広い知識が必要になりますが、それらを身につけることは自分自身にとってとても良い勉強になっています。

 

―将来の夢をお聞かせください。

 バイオインフォマティクス、特に分子シミュレーションを用いた研究を進めていると、様々な事象を原子レベルで考えるようになりました。研究を通じて、ものの見方や考え方が変わってきたように思います。自ら考えられる能力を身につけ、何らかの形で研究に携わることができる立場で働くことを目標としています。

 

―ありがとうございました。今後益々活躍されることを期待しています。

 

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