学生の活躍

土木工学科4年の綿貫毅さんが南米大陸最高峰のアコンカグア登頂に成功しました

“今しかできないことに挑戦したい!” その思いを実現しました。

 この度、ワンダーフォーゲル部に所属する土木工学科4年の綿貫毅さんが、南米大陸最高峰のアコンカグア登頂に挑戦しました。アコンカグアは標高およそ7,000mで7大陸の中ではエベレストの次に高い山です。登頂率は入山者の3割程度で、成功率の低い山とされています。今年1月にはプロスキーヤーで登山家の三浦雄一郎氏が挑戦しましたが、ドクターストップにより登頂を断念するというニュースもありました。綿貫さんは、国内の近場の山には1か月に1回程度登ったり、2年生の春休みにはマウンテンバイクでオーストラリア大陸を横断した経験もありますが、海外登山は初めてでした。どのような冒険が待ち受けていたのか、その体験を語っていただきました。

初めての海外登山は苦難の道のり。登頂できたのはいろんな支えがあったから。

 いずれは海外登山も経験したいと心には思っていましたが、いよいよ大学生活も残りわずかとなり、今しかできないことに挑戦しようと、友人と一緒に海外登山を計画。しかし友人が都合により行けなくなったため、一人で登ることになりました。それで、比較的に整備されていて季節も夏であるアコンカグアを選んだのです。どうすれば登れるのか調べながら、両親を説得するという第一関門をクリアし、大学にも渡航計画書を提出。2月10日に日本を出発しました。第二の関門は英語の通じない現地での入山手続きでしたが、スペイン語のガイドブックで説明しながら、なんとか入山の許可を得ることができました。2月13日、アコンカグアの頂上を目指していざ出陣。天候にも恵まれ、快調に山頂を目指していきました。初めての標高で眠ると高山病になる可能性が高く危険だとされています。登っては少し降り、登っては少し降り、急激に高度を上げないようにジグザグに登っていきました。

 登頂の前日には標高6,000m近くのハイキャンプ・コレラの広場に到着。しかし、ここに来て食欲がなくなり、頭痛がして吐き気にも襲われました。高山病により血中酸素が急激に下がったものと思われます。その時、助けてくれたのが、同じ時に山頂を目指していた日本人でした。最初は壁を作って距離を置いていましたが、のちに登山の経験が豊富な登山家であることがわかり、もっと早くに心を開いていればよかったと反省しました。その方の支えもあり、8日目、苦難を乗り越え、ついに山頂に到達!しかし、その時は登頂した喜びよりも、やっと帰れるという安堵感の方が強かったです。印象に残っていることと言えば、地上とは違う空の青さ。眩しいほどに濃い青が目に焼き付いています。その後、天候が一気に崩れたため、同じ日に登頂できたのは4人しかいなかったそうで、大変幸運でした。きっと、ここに来られなかった友人の思いが山頂まで導いてくれたのでしょう。

 しかし、下だりはさらに大変でした。体力も使い果たし、意識も朦朧とする中、同胞に見守られながら、2月23日、なんとか下山することができました。高山病の怖さ、高所順応のための準備がいかに大事かが身に染みて分かりました。この体験を次に活かしたいと思います。それでも、通常20日間くらい掛かる行程を11日間で達成し、最初は無理だと言っていた外国のツアーの人たちも一緒に喜んでくれましたのは嬉しかったです。他にもたくさんの出会いがありました。入山した時、京都大学の学生から、血中酸素濃度を測るパルスオキシメーターをもらいました。それが大変役立ちました。自分が下山した後、これから登山するという慶応義塾大学の学生に会い、今度は彼にメーターを渡しました。まさか現地で日本人に会うとは思ってもみませんでしたが、それが縁となり、日本に帰ってから3人での再会を果たしました。思い出とともに、貴重な財産になりました。

充実した大学生活を送ることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。

 山に登ると日常を忘れて、そのことだけに集中できます。水のありがたさ、食べ物のありがたさを感じるなど、普段の生活では気づけないことに気づかされるのも重要なこと。また、自分が何かアクションを起こそうとした時に、周りの人たちがサポートしてくれるのもありがたいと思いました。いろいろなことに挑戦し、充実した大学生活を送ることができ、皆さんに感謝しています。
 ワンダーフォーゲル部の後輩たちには、学生のうちに自分の登りたい山に登ってほしいと思います。せっかくの4年間、皆さんも自分のやりたいことに挑戦して、悔いのない大学生活にしてください。