生命応用化学科研究室紹介

環境化学系

環境照射化学研究室

教授:沼田 靖

光を使って新しい分析方法を開発する

21世紀は光の世紀といわれています。光はいろいろな科学技術の進歩に貢献しています。特にレーザーは高出力や高分解能という利点をもっており、分子の電子状態や量子準位を測定するのに最適です。レーザーを物質に照射したときの散乱光のひとつであるラマン散乱を使って新たな定量分析法の開発を行っています。また、いろいろな電磁波(光)や超音波を物質に照射し、廃棄物から有用成分の抽出方法を開発しています。

【主な研究テーマ】
●マイクロ波や超音波を用いた環境リサイクル技術の開発
●種々の分光法によるその場定量法の開発
●三次元イメージングを用いた生体物質の構造解析と定量分析

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光エネルギー変換研究室

教授:加藤 隆二

時間分解レーザー分光法を駆使した人工光合成反応機構の解明

seimei_hikarienelgyパルスレーザーを当てると瞬間的に光化学反応が始まり、その後の反応の様子を調べることができる。この計測技術、過渡吸収分光法を使って、光エネルギー変換材料、人工光合成材料で起こっている光化学反応の機構の解明を進めている。

【主な研究テーマ】
太陽の光を利用する新しい化学反応系の解明と探索
●新しい光エネルギー変換反応系の探索とデバイス化
●レーザー分光を用いた光エネルギー変換デバイスの反応機構解明
●光エネルギー変換材料の機能を評価する新しい計測技術の開発

【主な設備】
超高速パルスレーザー、過渡吸収分光装置、時間分解蛍光分光計

【メッセージ】
人類の未来になくてはならない人工光合成技術の実現に向けて頑張りましょう。

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環境化学工学研究室

准教授:児玉 大輔

人類の課題・地球環境の保全に向けて全力を注ぐ

seimei_kankyokagakukogaku重要な問題となっている地球温暖化。イオン液体によって温室効果ガスの二酸化炭素を分離・回収し、地中や深海に隔離・貯留するための研究に取り組んでいます。私たちが扱うイオン液体とは、陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)のみからなる室温で液体状態の塩(えん)です。目的に合わせてイオン液体を合成し、研究室で開発した測定装置でガス吸収特性などを調べています。一方、二酸化炭素は、皆さんの生活を支える重要な物質の1つ。穏和な臨界条件を持つ二酸化炭素を利用し、次世代電子材料や医薬品など機能性ナノ微粒子を創る研究、バイオマスから有用成分を抽出する研究など超臨界流体を利用した地球環境保全技術の開発や地球にやさしい省エネルギー分離プロセスの開発にも取り組んでいます。

【主な研究テーマ】
●イオン液体を利用した温室効果ガス吸収特性の解明と応用
●超臨界流体を利用した省エネルギー分離プロセスと環境保全技術の開発
●深共融溶媒を利用した二酸化炭素/炭化水素分離回収プロセスの開発
●冷媒および熱媒体の物性評価と発電サイクルの開発

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環境電気化学研究室

専任講師:小林 以弦

 

【主な研究テーマ】
●固体高分子型燃料電池用金属セパレータ材料の開発
●燃料電池用白金フリー酸素還元触媒の開発
●六価クロムフリー新規クロムメッキ浴の開発
●玄米中に含まれる微量Cdの電気化学的定量法の開発

環境分析化学研究室

専任講師:佐藤 公俊

汚染防止の研究開発で、安全な水環境を実現する

seimei_kankyobunsekikgaku人はもちろん動植物への影響も心配されるのが水の汚染です。当研究室では、海水・河川水・湖沼水・地下水などの環境水中の有害物質の測定や有害物質を除去する研究を行っています。環境水中の極微量金属を定量する方法としては、金属を吸着して集める吸着法を利用した濃縮法が有効です。そこで私たちは、シリカゲルに特別な試薬を加えた吸着剤の開発を進めています。作物の肥料や下水処理装置などから出るリン酸や窒素化合物が環境中に流れ出ると、富栄養化の原因となります。リンや窒素を除去する除去剤を開発する研究にも取り組んでいます。

【主な研究テーマ】
●環境水中の新規有害金属測定法の開発
●排水中のリンおよび窒素回収法の開発
●微量有用成分の新規濃縮法の開発

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応用化学系

有機材料化学研究室

教授:根本 修克  専任講師:市川 司

新しい機能性有機材料及び高分子材料の創製を目指す

seimei_yukizairyokagakuプラスチック製品の形で私たちの生活に密着している「高分子」は、電子産業などにおいても精密成型材料、注型材料、封止材料あるいは接着剤などとして用いられています。その中で耐熱性、すなわち熱に強い高分子は幅広い用途に用いられています。また、天然に豊富に存在する元素であるケイ素を含む高分子は優れた耐熱性を示すため、ケイ素を含む新しい骨格の有機材料・高分子材料を作り出すための研究を行っています。

【主な研究テーマ】
●ケイ素を有する光・電子機能性高分子材料の創製
●イオン性基を有するポリシロキサン系高分子材料の創製
●表面改質を可能とするケイ素含有材料の創製
●耐プラズマ特性を有するケイ素含有材料の創製
●燃料電池用白金フリー酸素還元触媒の開発

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光物理化学研究室

教授:奥山 克彦

蛍光現象の多角的研究から物質の構造の探究とその機能を利用した有機EL素子の開発をめざす

seimei_hikaributsurikagaku現在、量子化学計算は、コンピュータの能力の増強と相まって、計算手法や基底関数の高度な改善を行い、適用汎用性の拡大や計算精度の高度化が図られています。本研究室では、敢えて量子化学計算の不得意な現象の物理量を、分子分光学的に測定し提供することで、次世代の計算手法の開発に貢献することを目的に研究活動を行っております。
また、福島第一原子力発電所事故以降は、分子分光学の技術と知識を、福島復興のために活用できないかと考え、放射性物質の新しい除去方法や測定方法の開発を試みています。

【主な研究テーマ】
●フレキシブルな部位をもつ分子の分光特性
●分子の電子状態相互作用に関する分光学的観測
●量子化学計算による分子設計
●環境放射能測定
●空間線量測定
●放射性物質の植物における土壌からの移行係数測定

【主な設備】
Nd:YAGレーザー(2台)、高分解能単一分散分光器

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無機材料化学研究室

教授:上野 俊吉

構造と組織を制御して、新しい高温セラミックス材料を開発

seimei_mukizairyokagaku航空機エンジンやガスタービンあるいはその周辺の新技術で用いられる高温セラミックス材料は、常に”これまで以上”の過酷な環境(耐熱性、耐食性など)に耐えるスペックが求められる。そのため、新しい構造と組織の制御が必要とされる。新しい構造や組織を形成させるとき、無理に形作ると、破壊や剥離の原因となる。無理のない構造や組織を形成させるには、気晶反応や共晶反応のような反応を利用した組織制御、ΔTや融解エントロピーを制御した凝固や、自然酸化膜を利用した原子の拡散による成膜など、自然現象や化学反応をうまく利用することが重要である。多くの自然現象を組み合わせることで、構造制御法や組織制御法は、まだまだ無限に存在する。本研究室では、社会的に要求のある新規材料に対して、新たな製法を提案し、新規材料の開発研究を進めている。

【主な研究テーマ】
●機能性セラミックスの合成と物性解明
●凝固に伴う諸反応を利用したセラミックス複合材料の作製
●セラミックスの水蒸気腐食に関する研究
●産業廃棄物を原料としたセラミックスの作製プロセスに関する研究

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糖質生命化学研究室

教授:小林 厚志

糖質の多様性を知り、糖質の可能性を引き出し、糖質の活用法を開発する

植物由来の再生可能資源である糖質は、基本的な構成成分の構造が単純であるものの、その多様性は非常に大きいものとなっています。同じ構成成分から成り立っているセルロースと澱粉の性質が大きく異なることからもそのことがよくわかります。このような単純な構造から引き出される多様な性質を活用し、我々の生活をより良くするための有用物質の開発を行います。具体的には環境調和型反応である酵素反応や無駄エネルギーを必要としない常温常圧で起こる反応を用いる製造方法を開発します。

【主な研究テーマ】
●有用糖質生産のための酵素的配糖化反応の開発
●新規高分子材料としての多糖誘導体の開発
●糖質と低分子化合物との相互作用解析
●糖質化学を基盤とする生物境界面の機能解析

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生体無機化学研究室

准教授:内野 智裕

生体組織修復材料の開発により生活の質を向上する

seimei_seitaimuki病気やけが等で失われた組織の修復に、人工材料による修復が求められています。本研究室では,主に骨や歯などの生体硬組織に焦点を当てています。セラミックスを基軸に、金属、有機高分子を用い材料の表面形態や化合物の微構造(結晶構造)を分子レベルで制御することにより、生体組織と同等の機械的性質や、異物反応を示さない高い生物学的親和性を示す材料の設計を進めています。このような材料の設計開発は、再生医療工学の基盤技術として期待されています。

【主な研究テーマ】
●セラミックスを基材とした生体組織修復材料の創製
●金属イオンおよび薬物の放出挙動を制御したインテリジェント材料の創製
●結晶形態制御による機能性材料の創製

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有機機能分子化学研究室

准教授:庄子 卓

“有機合成”により新奇な有機機能分子を創出する

seimei_seitaimuki我々の生活に欠かせない医薬品や、スマートフォン等のディスプレイに用いられる有機EL素子は”有機化合物”から構成されています。このように特定の働き(機能性)を持つ有機化合物は”有機機能分子”とよばれます。有機機能分子は動物や植物の構成成分のような天然物から得られることもありますが、大抵の場合はありふれた出発原料から”有機合成”によって創り出されます。今後の社会のニーズに答える有機機能分子の創出には、”新たな合成法と化学反応の開発”が重要な課題となります。当研究室では”有機合成化学”と”有機反応化学”を駆使して、新規芳香族化合物を基盤とした新たな有機機能分子の創出とそれらの機能性の解明を目的として研究を進めています。

【主な研究テーマ】
●アズレン誘導体の新規合成法の開発と機能性の解明
●フェロセン誘導体の新規合成法の開発と電気化学的特性の解明
●インドール、ピロール、フラン、クマリン誘導体などの芳香族複素環化合物の新規合成法の開発
●特異な環境下で発光する多環式芳香族化合物の合成研究
●遷移金属錯体をもちいた新たなクロスカップリング反応の開発

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生命化学系

生命分子工学研究室

教授:春木 満

生命分子の機能向上・新機能付加を行い、健康増進および環境や産業への応用を目指す

seimei_seimeibunsi_2酵素などの生命分子は非常に複雑である一方、優れた機能を色々と持っています。その性質を生かし、健康の増進と持続可能な社会の構築に応用する研究を行っています。たとえば、ペプチドという生命分子を用いて、癌細胞の増殖を抑える方法を探っています。さらに癌細胞をターゲットとして結合するナノ粒子と組み合わせ、癌細胞に選択的に作用する薬剤の開発をめざします。また、バイオエタノール生産に役立つ酵素を進化工学的手法を用いて改良したり、堆肥中の微生物から有用な酵素をみつけることも目指しています。

【主な研究テーマ】
●進化工学的手法による酵素の活性向上・耐熱化
●ペプチド・核酸ライブラリーを用いた新機能分子の創製
●培養細胞を用いた癌・高血圧予防物質の開発
●クリックケミストリーにより機能性分子を付加した薬剤送達・診断用ナノ粒子の開発

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分子遺伝学研究室

教授:岸 努

細胞周期のメカニズムを読み解く

seimei_biosignal細胞分裂周期のメカニズムの解明に取り組んでいます。細胞分裂には、S期の開始、染色体の分離、有糸分裂の終了の3つの重要な制御ポイントがあります。私たちは、G1初期に選択的に分解されるSwi5という転写因子が分解を受けずに安定化すると、3つの重要な制御ポイントの通過がいずれも阻害されることを見出しました。なぜG1初期におけるSwi5の分解が、その後の細胞周期の進行に重要なのかを解明することにより、これまで知られていない細胞周期のメカニズムを読み解いていきたいと考えています。得られた成果を抗癌剤開発へ応用するための基礎研究にも着手しています。

【主な研究テーマ】
●細胞周期を制御する分子機構の解明
●染色体の分離を正確に行う分子機構の解明
●細胞に与えられたストレスに対する応答機構の解明
●新しい薬剤スクリーニング系の開発

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生体材料工学研究室

教授:石原 務

患者に優しく難治性疾患を治療可能にするDDS医薬品/化粧品を開発する

医療技術の進歩は多くの疾患の治療を可能にしましたが、依然としてほとんどの薬物療法には副作用などの課題が存在します。DDS(ドラッグデリバリーシステム)とは、既存薬物に工夫(加工や修飾)を施した薬物投与形態であり、副作用を低減し患者の生活の質を向上させることができます。当研究室では、難治性疾患治療と副作用の低減を目指し、工学的手法を駆使し化学修飾タンパク医薬や遺伝子治療用核酸キャリア、そして合成高分子を利用したナノ粒子型製剤などの開発をおこない、医薬品としての臨床利用の可能性を検討しています。また、DDS技術を利用した新しい化粧品の開発にも携わっています。

【主な研究テーマ】
●核酸分子を運搬できるナノメディスンによる下肢虚血性疾患治療
●プロスタグランジン封入ナノ粒子による慢性動脈閉塞症治療
●体内動態を制御可能な新規抗体医薬の開発
●細胞内の活性酸素を効果的に消去できるバイオ医薬の開発
●メラニン産生抑制物質によるシミ産生防止効果の検討

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酵素学研究室

教授:平野 展孝

多様な機能を持つ酵素を材料に生命反応を“創る”

seimei_kosogaku生命反応は、多種多様な生体分子の協働作用によって成り立っています。当研究室では、多様な機能を持つ生体分子(酵素)を材料に、新しい生命反応を“創る”ことを目指しています。例えば、様々な生物由来の多様な酵素を用いて、植物バイオマスからのバイオ燃料・化成品製造に役立つ生命反応を創り出すことや、環境・健康に役立つ有用物質を合成する生命反応を創り出すこと、また、それらの生命反応を遺伝子組換え技術によって微生物へ導入することで、環境・健康に役立つ有用物質を生産する微生物を創り出すことを目指しています。

【主な研究テーマ】
●植物バイオマス利用を目的とした酵素の開発
●健康に役立つ物質を合成する酵素の開発
●有用物質生産を目的とした微生物の開発

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ナノバイオ研究室

教授:齋藤 義雄

バイオとナノテクが融合したバイオナノテク分野の世界最先端研究

seimei_nanobio当研究室でのバイオナノテク分野の研究で、特に力をいれているのは遺伝子診断装置、診断チップ、診断キット等の開発研究で、これからの個人化医療(テーラーメイド医療)には欠かせないものです。例えば、薬が効くか効かないかの個人差は、その人の薬物代謝酵素の遺伝子の違いを調べればたちどころに分かります。このような遺伝子診断を簡便に安く同時多量に行う装置と試薬を、大手民間企業と共同で開発しています。人工DNAをナノテクノロジーの材料とするDNAナノテクノロジーの研究も精力的に行っています。

【主な研究テーマ】
●遺伝子診断のための新しい蛍光プローブの開発
●蛍光性核酸塩基のデザインと合成
●画期的なDNAチップの開発
●機能性核酸の合成と応用

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バイオインフォマティクス研究室

准教授:山岸 賢司

生命現象のメカニズムを原子・分子のレベルで解明、医薬品開発に応用

タンパク質や核酸などの生体分子は、私たち生命体が生きていく上でとても重要な役割を担っています。そこで当研究室では、これらの生体分子を介した生命現象のメカニズムを、原子・分子のレベルで明らかとすることを目指し、最新のコンピュータシミュレーション(第一原理計算)を用いた研究を行っています。そして、現代の私たちが抱える様々な疾病(新型インフルエンザウイルスや骨粗鬆症、生活習慣病など)に有効な治療薬の設計開発に応用しています。

【主な研究テーマ】
●分子シミュレーションを用いた生体分子の構造機能解析
●コンピュータ支援による医薬品分子の設計
●計算化学を用いた新機能性核酸の分子設計
●ゲノムシーケンス解析

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