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令和4年度高大連携推進教育懇談会を開催しました

高校教員と工学部教職員が密に連携を図るための
高大連携推進室が本格始動へ!

高校教員と工学部教職員が密に連携を図るための<br>高大連携推進室が本格始動へ!

 7月30日(土)、工学部では高校の校友教員および協力教員を招いて、高大連携推進教育懇談会を開催しました。本年度4月に高大連携推進室を開設し、高校生の皆さんの学び発見の場として探究心を育むとともに、将来の進路選びをサポートするために、高校および高校教員の皆さまとの連携を密に図る体制を整えました。その一環として、今回は建築学科を卒業した校友教員であり、現在北海道おといねっぷ美術工芸高等学校の校長を務める池原智宏氏による講演会および高校教員と工学部教職員との意見交換を図る高大連携推進教育懇談会を実施。工学部からの情報提供のほか、高校教員の皆さまから貴重なご意見・ご要望をいただきました。大変有意義な一日となりました本会につきまして、池原氏の講演を中心にご報告いたします。

『北海道―小さな村の奇跡の学校』
~おといねっぷ美術工芸高等学校の取り組み~ 校長 池原智宏氏

おといねっぷ美術工芸高等学校 校長 池原智宏氏

 人口わずか683人の北海道で一番小さな村に、全国各地から約120名の生徒が集まっている村立高校「おといねっぷ美術工芸高等学校」。ものづくりや地域の人々との交流を通して、生徒、保護者、地域、教職員が一体となって、一人ひとりが輝き、夢を語り感動あふれる学校づくりを推進しています。本学部建築学科卒業生で同校校長である池原氏に、「ものづくり」を通した独自の教育や寮での集団生活などから、未来を担う人間力を育成する取り組みについてご講演いただきました。
 講演に先立ち、おといねっぷ美術工芸高等学校のプロモーションビデオでの学校紹介がありました。そこには、生き生きと学ぶ生徒たちの姿が映し出されていました。動画終了後は、ご自身の高校・大学時代から、これまでの経歴についても紹介していただきました。池原氏は、昭和61年3月に北海道旭川工業高等学校建築科を卒業後、高校教員を目指して日本大学工学部建築学科に入学。大学の学生寮(俊英学寮)で集団生活を過ごした大学生活を振り返りながら、自立心やコミュニケーション力などを育んでくれた俊英学寮が故郷の一つであり、教員人生に大きな影響を与えてくれた場所だったと語りました。おといねっぷ美術工芸高等学校も生徒全員が寮での集団生活を経験する中で大いに成長しており、学校生活と寮生活の両輪による相乗成果が表れていることにも触れました。そして、大学での授業やお世話になった先生方について、当時を懐かしみながらお話いただきました。地元北海道で教職に就いた池原氏は、母校を含め6つの工業高校に赴任した後、令和3年4月におといねっぷ美術工芸高等学校の校長に就任されました。その間、工学部進学アドバイザーの永田先生や工学部次長の浅里先生、そして先輩である校友教員の方々に大変お世話になったそうです。会場の校友教員や招待教員の方々も自身の経験と重ねて、改めて工学部校友の絆の強さを実感しているようでした。

おといねっぷ美術工芸高等学校のプロモーションビデオでの学校紹介

 さらに本題である、おといねっぷ美術工芸高等学校の現状と課題へと講演は進んでいきました。日本最北端の稚内市に近い北海道上川地方北部に位置し、寒暖差が60℃になることもある音威子府(おといねっぷ)村。そんな村の地域活性化を目的に設立されたのが、道内唯一の工芸専科の高校、おといねっぷ美術工芸高等学校です。
昭和25(1950)年に北海道名寄農業高等学校の分校として開校し、昭和59(1984)年に工芸科へ改組、平成14(2002)年に現校名に改称。これまで職業科目の自動車一般やインテリア実習、芸術科目として工芸を取り入れるなど、時代の変化に対応した教育課程を編成し、少子化や村の人口減による高校存続の危機を乗り越えてきたと言います。現在は、「造形体験を重ね、創造力を育成する」ことを教育目標に、校名にある美術と工芸に特化した専門教育を展開。豊かな心と人間性を育み、生徒の可能性を引き出し、夢を叶える学力を身につける教育活動に取り組んでいます。寮生活を通して礼儀や規律、友情を育みながら成長できることや保護者と地域住民が一体となり、魅力ある学校づくりに取り組んでいることなども特長として挙げました。生徒のものづくりの風景や行事の写真、卒業制作作品、部活動での活躍などから、生徒たちは好きなことに没頭できる環境の中で、互いに切磋琢磨しながら伸び伸びと成長していることが伝わってきました。池原氏は、安定した教育を実践できる環境維持が大切であり、学習成果を道内外に広く発信し知名度を上げることも、生徒数を確保する上で大事だと示唆しました。全国各地から入学希望者が集まっているという同校の実績は、近年定員割れの高校も多々ある中で、小さな村の大きな奇跡と言っても過言ではありません。

池原氏に送られる盛大な拍手

池原氏は、これからも夢を持った生徒が集まる学校であり続けていきたいと述べるとともに、力強い絆で結ばれた校友との有意義な時間に感謝し、校友として母校のために尽力したいと決意を新たにしていました。会場の教員からも「ためになった」、「学校運営のヒントになった」といった感想が聞かれ、大変感銘を受けているようでした。工学部に対しては、今後もこうした卒業生の講演を開催し、校友のみならず学生たちにも聞かせてほしいとの要望も出されました。最後に池原氏に送られた盛大な拍手には、講演を聴いた皆さまの感謝の気持ちが溢れていました。

活発な意見交換が行われた高大連携推進教育懇談会

活発な意見交換が行われた高大連携推進教育懇談会

 昼食を挟んで午後には、校友教員と工学部教職員との懇談会、招待教員への学部紹介、そして全体で行う高大連携推進教育懇談会を実施しました。校友教員の皆さまとの懇談会では、工学部に対する様々なご意見やご要望をいただきました。校友だからこその厳しいご意見もいただきましたが、それを真摯に受け止め改善していくことで、より一層、絆を深めていけるものと確信しております。

 招待教員の皆さまには、工学部の教育概要や学生生活サポート、就職実績等について紹介させていただきました。研究活動については、自動車安全技術会の学生安全技術デザインコンペティションで世界大会にも出場した実績があるバイオメカニクス研究室に所属する学生たちが説明しました。

高大連携推進教育懇談会
バイオメカニクス研究室に所属する学生たちの研究活動説明
実験設備「ロハスの橋」の施設見学

 また、施設見学を兼ねて実験設備「ロハスの橋」をご覧いただきながら、構造・道路工学研究室に所属する学生たちが高耐久コンクリート床版の研究について説明しました。実物大の橋を使った実験設備を見ることは滅多にない機会なので、教員の方々もどのように実験しているのか興味深く聞き入っていました。

 その後、校友教員とともに、高大連携推進教育懇談会にご参加いただきました。本懇談会に先立ち、工学部次長の浅里和茂教授がご挨拶し、工学部の教育環境についても触れました。続いて、広報担当の遠藤拓教授が令和5年度入学者選抜の詳細や新カリキュラム、オープンキャンパスについて説明いたしました。さらに、広報委員会副委員長の杉浦隆次准教授が、高大連携推進室の概要や開設したWebサイトについて紹介しました。また、高大連携推進室で行った大学見学や出張講義、オンライン見学の実績なども紹介し、今後も様々な形で高校生の学びをサポートしていきたいと意気込みを示しました。

工学部の教育環境についての説明
高大連携推進室の概要や開設したWebサイトについての紹介

 ご参加いただきました方々からは、「日頃より、進路指導に役立つ情報やアドバイスをいただき、大変ありがたい。こうした懇談会も定期的に行ってほしい」、「大学から直接話を聞けるのは、生徒にとっても説得力がある。高大連携をぜひ推進していただきたい」との声が聞かれました。本学部では、問い合せ窓口一本化により、高校からのご相談やご要望にワンストップで対応し、より密接に連携を図ってまいりますので、お気軽に高大連携推進室をご利用ください。

 最後に、日頃からの本学部に対するご理解とご協力に感謝し、この場をお借りしまして、ご参加いただきました高校教員の皆さまに御礼申し上げます。

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高大連携推進室サイト